連立与党は七日、代表者会議を断続的に開き、細川首相が同日中の結論を求めていた所得税減税と「国民福祉税」構想をめぐる大詰めの調整を続けた。その結果、六兆円減税は特例公債を発行して実施、財源に関しては首相が記者会見で発表した国民福祉税構想は撤回し、与党協議機関を今国会中に設けて一年以内に結論を出す方向で大筋固まった。財源問題の結論を出す時期などをめぐり社会党になお異論が残っているものの、八日午前に最終決着する方向だ。税制問題が決着すれば政府は八日中に景気対策を決定、首相が訪米に出発する十日には九四年度予算大蔵原案を内示する運びだ。(関連記事2面に)
連立与党は七日、三回にわたって代表者会議を開いた。午前の会議で社会党の久保書記長は首相が先に発表した国民福祉税構想の撤回が再協議の前提という認識を強調。これを受けて首相は同日午後、首相官邸に藤井蔵相を呼び、さきがけ日本新党の園田代表幹事と打開案の調整に入るよう指示した。
園田氏は午後四時過ぎからのこの日二回目の代表者会議で打開案を示した。与党関係者によると、当初の打開案は九七年四月から税率七%の国民福祉税を導入するという構想の骨格を残したうえで、与党の協議機関で今後も協議するとの項目を付け加えただけだったとされる。
このため打開案には社会党が反発。公明党の市川書記長らが改めて妥協案を示し、いったん代表者会議を中断して各党が協議。午後七時過ぎに再開し、七日中の決着に向けた大詰めの折衝をした。
この中では首相がすでに発表した六兆円減税を撤回することは難しいとの意見で一致、時限立法で総額六兆円の所得・住民減税と政策減税を先行実施することで合意した。さらに財源に関しては国民福祉税構想を白紙に戻し、今国会中に設ける与党協議機関で新税などを協議することになった。協議機関で結論を出す時期については、「一年以内」とする方向で調整を続けている。
社会党は八日朝、与党代表者会議に先立ち三役会議で対応を協議するが、同党内でも「受け入れざるを得ないのではないか」との意見がある。
これを受けて首相は七日夜、武村官房長官らと八日以降の予算編成などの日程を協議し(1)午前中に税制改革問題を決着させ政府・与党首脳会議を開いて首相が発表する(2)与党政策幹事会と経済対策関係閣僚会議を夕方に開き総合経済対策を決定する(3)八日午前までに決着すれば十日に九四年度予算大蔵原案の内示はできる——などを確認。与党側の協議が順調に進めば、首相が八日夕にも記者会見して、先の国民福祉税構想の撤回を正式に表明することになる。
落札価格が発表されると、会場に驚きとも落胆ともつかぬ空気が流れた。
一月二十六日午前十時過ぎ。横浜港に臨む流通センターの一般競争入札で落札したのは五洋建設などの共同企業体。落札額は百五十五億八千万円だった。
だが、銭高組が参加する企業体は百五十億円。落札額より低い額で応札したのに受注できなかった。発注者の第三セクターが設定した「最低制限価格」を下回ったためだ。十八企業体のうち五つが失格。東急建設の副社長、川田昭も「勉強したのに」と失望の色を隠さない。
「粗悪工事を防ぐ」。一般競争入札に最低制限価格制を設けている直接の理由はこれだ。しかし、日本の大規模工事は大手ゼネコンが受注し傘下に連なる下請け、孫請けが利益を分け合う形で業界秩序ができている。「米国流に競争が過度に進むと零細業者は生き残れない」(東北地方建設局幹部)という声は建設官僚の本音のようだ。
国が発注する大規模工事でも今春から一般競争入札が始まる。指名競争入札が始まった明治三十三年以来の改革だ。談合や贈収賄など不正の温床を一掃、市場の透明性や競争性を高めるためという。しかし、落札価格の上下限を官側が縛り過ぎれば競争原理は働かない。
東京・大手町の建設省関東地方建設局の二階会議室。一月十九日午後、八地方建設局の主任監査官会議が開かれた。入札手続きを第三者の目でチェックしようと、春にも導入する「入札監視委員会」について同省上席監察官の生田長人が説明。「大変なものをしょい込んでしまった」とつぶやいた。
監視委は中央建設業審議会(建設相の諮問機関)が昨年十二月に出した入札改革案の目玉の一つ。まず地建局長の私的諮問機関として設置し、将来、本格的な組織とする方向で検討することになった。だが地方厚生課長の中山啓一は「四—六月の様子をみてから」と語るだけ。引き延ばし戦術にも映る。
一般競争入札を支えるもうひとつの重要な装置が民間に建設会社の審査を任せる「保証制度」。米国では一般的で、透明性が高く中建審も検討を提言した。だが、建設省審議官の小鷲茂は「検討の日程すら決めていない」とすげない。
「多額のわいろを出さなければ商人は入札に参加もできない」。江戸の儒学者、新井白石は「折りたく柴の記」で幕府発注工事の実態を描写。落札後、役人にキックバックがあることも記している。和を以(もっ)て貴しとなす業界の歴史は長い。
「大店法を存続させて票が増えるのは塩谷さんだけだね」。通産相の熊谷弘は一月二十一日、大臣室で同じ静岡三区の自民党議員、塩谷立を皮肉った。
村田敬次郎らとともに熊谷を訪問した塩谷の目的は、産業構造審議会・中小企業政策審議会合同会議を舞台にした大店法見直し審議の最終答申案の確認。答申を前に、熊谷の口から直接「廃止はない」との言質を得ることができた。
「廃止なし」を聞くのは、同席した商務流通審議官の川田洋輝、流通産業課長の斎藤浩も初めてだった。「らつ腕大臣のツルの一声で最終答申に大店法廃止の文字が入るかもしれない」。最後の懸念材料は消えた。
答申内容の調整を担当する川田・斎藤のコンビは、関係する三つのルートを事前に抑えておく必要があった。ひとつは規制緩和論者の中内功率いる日本チェーンストア協会。もうひとつは大店法廃止阻止のため小売商団体が結成した全国中小小売商団体連絡会(田中利夫代表幹事)。そして大臣の熊谷。
「米国スタイルの郊外大型店だけが台頭していいのか。地域社会の文化や伝統の担い手である商店街が消滅すると取り返しのつかない損失になる」。田中らの強い訴えに、「単純な市場メカニズムだけで大店法問題は片付かない」と考える理論派斎藤の心は振れた。
問題はチェーン協。チェーン協の出方は専務理事の平戸正尚ら通産OBとの日ごろの情報交換から、ある程度類推できた。「存続させた方が競争が制限されて都合がいいと考える幹部も多いようだ」。一月七日、中内は新年恒例のあいさつに通産省を訪ねた。「今回は廃止はありませんよ」と念を押す川田に、中内は「求めているのは運用の適正化で、廃止ではない」と答えた。
将来の廃止につながる見直し条項を切り落とす替わりに、チェーン協が要求する営業時間規制などの緩和項目を中小団体に飲ませる。双方痛み分けの“演出”だ。
「審議会の結果は民意であり、通産省の考えではない」と斎藤は語る。ただ規制の世界では民意という名の「官意」が少なくない。ドライな自由競争を直接取り入れない日本的な漸進主義は、しばしば官の権限維持と表裏一体の関係にある。=敬称略 (官僚問題取材班)
【ワシントン7日=関口和一】クリントン米大統領は七日、九五年度(九四年十月—九五年九月)の政府予算案となる予算教書を議会に提出した。歳出は国防費などの削減により前年度(見込み)比二・三%増に抑え、物価上昇分を引いた実質ベースではマイナスの緊縮財政を打ち出した。その結果、九五年度単年度の財政赤字は千七百六十一億ドルと六年ぶりの低水準。さらに、医療保険制度改革により九五年度だけで百十億ドルの追加削減を目指している。同時に発表した経済見通しでは、九四年の実質経済成長率を年平均で三・一%(第四四半期対比では三・〇%)と予測している。(米予算教書は「きょうのことば」参照)=関連記事8、9面に
九五年度の歳出総額は約一兆五千百八十億ドルで、歳入総額は前年度比七・四%増の約一兆三千四百二十億ドル。歳入の増加は、昨年成立した増税策と景気回復に伴う税収増が最大の要因で、追加増税策は盛り込まれていない。
九五年度の財政赤字見通しの千七百六十一億ドルは、ブッシュ前政権下の見通しに比べて一千億ドル以上少なく、予定通り削減が進めば、トルーマン政権時代以来初の三年連続の赤字縮小となる。また国内総生産(GDP)に対する財政赤字の比率は二・五%と、クリントン政権の削減目標を一年早く達成することになる。
歳出削減は、三百件以上の政策的事業について予算を削減する。連邦政府職員の削減加速と行政改革による経費削減を見込んでいる。一方、雇用や教育などへの人的投資、環境・エネルギーなどへの技術的投資、さらに交通・情報基盤投資など米国の将来への投資は増額する。
医療保険制度改革については、予定通り改革が実現すれば、九五年度の財政赤字は千六百五十一億ドル、対GDP比で二・四%まで削減が可能としている。前政権下での見通しの五・二%に比べて大幅な下落で、九九年度にはさらに二・一%まで下がると予測している。
連立与党は七日、政務・政策合同幹事会を開き、九四年度(平成六年度)税制改正項目として(1)酒税をビール大瓶一本当たり八・九円引き上げる(2)固定資産税の評価替えに伴う登録免許税、不動産取得税の負担増を緩和する措置として段階的に土地評価額を引き上げる(3)マスコミ関連七事業に対する事業税の軽減措置を五年後に撤廃する——などを決めた。与党はこれで所得税減税とその財源問題を除くすべての改正項目についての協議を終えたことになり、減税論議に決着がつき次第、九四年度与党税制改正大綱を取りまとめる予定だ。実際の増税時期は法律成立後一カ月程度の周知期間後の製造元蔵出し分からになり、酒造メーカーが増税分を販売価格に転嫁する見通し。
酒税をめぐっては、たばこ税と並んで与党内では引き上げに反対する声が強かった。しかし、しょうちゅうとウイスキーとの酒類間で課税額に格差があることが欧州連合(EU)などから批判を受けていることから、格差是正のため、しょうちゅう乙類を一・八リットル当たり約五十七・六円、同甲類を約六十六・六円引き上げることを決定。これに伴い、酒税全体のバランスを考慮し、ビールなどの税率も上げることにした。清酒への課税は冷害に伴うコメの不作などにも配慮し、一・八リットル当たり十二・六円の引き上げに抑える。
登録免許税と不動産取得税については、住宅取得を促すため、宅地基準価格の評価替え(全国平均で三・〇二倍)に伴う負担増を抑えることを重視した。
細川首相は七日深夜、首相官邸で記者団の質問に答え増減税問題の取り扱いについて、八日の昼までには最終決着を図る意向を明らかにした。首相は決着の最終期限について「明日(八日)の昼までだ。とにかく明日中には決める」と述べた。
連立与党が酒税引き上げを決めたことにより、ビール各社は十年ぶりのビールの値上げに踏み切る見通しだ。増税分は大瓶一本(小売希望価格は三百二十円)あたり約九円だが、小売価格で十円引き上げる可能性が大きい。一方しょうちゅうは甲類の一・八リットル入りが千百七十円から千二百四十円程度、乙類が同千二百円から千二百六十円程度に値上がりする見通しだ。日本酒は一・八リットルが十円強の値上がりになると見られる。
「ご搭乗の皆様、機長からごあいさつ申し上げます」。スピーカーから流れる落ち着いた声は乗客に安心感を与える。ビジネスマンが多いときは静けさが好まれるのでスピーチは抑制気味に配慮する。欧州系航空会社の機長、P・ヴェプファ氏の「機長の決断」(中村昭彦訳)は操縦室の実態を克明に描き出している。
▼この本はトップの意思決定や危機管理について示唆するところがあるようだ。航空機事故は自動車事故より発生確率は小さいが、発生すれば大惨事になる。機長は運航に当たって「とらわれ過ぎず、見過ごさず」大局的視野を持つ必要がある。「猛烈なスピードのなかにあっても、思考のうえでは、航空機より人間の方が先行していなければならない」とされる。
▼「困難からの脱出より、困難に陥らないよう心を配ること」が重要だとヴェプファ機長は言う。ミスや誤解を防止するために、二人のパイロット(機長と副操縦士)が「飛行経過の一部始終を連帯し、十分に呼吸を合わせ、信頼を寄せ合い、狭い操縦室内で絶えず共同作業に終始」するシステムが採られている。
▼最新のハード、ソフトを組み合わせた航空機でも危機に見舞われることがある。何かの故障で操縦席にも煙が充満してくるような場合「複雑な自動装置の電源をすぐ切れ」と指示している。システムでの対応のために地上との距離や他機の存在が分からなくなるからだ。「機長は手動操縦カンを放すな」「集中力、機転、素早い対応がプロの条件」という。操縦室の息が合わず乱気流に巻き込まれがちな細川機長にも学んでもらいたい。
日本経済新聞が四日から六日にかけて実施した三千人緊急電話世論調査で、細川内閣の支持率は五二・五%と前回調査(九三年十二月)に比べ一二・二ポイント下落、昨年八月の発足以来、最低となった。調査の直前に首相が決断、公表しながら社会党などの反対で迷走を続けた「国民福祉税」騒動が、記録的ともいえる首相の高支持率を大幅に引き下げた格好だ。同税に「賛成」(六・二%)、「やむをえない」(二六・〇%)を合わせた容認論は三二・二%で、「賛成できない」(三八・七%)、「強く反対」(二六・七%)を合わせた反対論は六五・四%に達した。ただ、将来の消費税・間接税の引き上げについては「高齢化社会対策の財源ならやむをえない」と理解を示す意見が半数以上にのぼっており、今回の「国民福祉税」への反発は、その決定の唐突さと決定過程の不透明さに集中した形となっている。(関連記事3面に)
本社の世論調査による細川内閣の支持率は発足直後の昨年八月には六九・六%を記録。コメ市場の部分開放を決めた直後の前回調査でも六四・七%と四・九ポイントの低下にとどまった。先月末には政権の命運をかけた政治改革法が成立、内閣支持率が再び上昇に転じることが予想されただけに、今回の大幅下落は「国民福祉税」ショックの大きさを物語る結果になっている。
支持率の低下に伴い、不支持が一二・三ポイント増の二七・二%にのぼり、支持率の減少分がそのまま不支持に回った格好。支持しない理由も「政策が悪い」(四四・一%)、「実行力がない」(三九・七%)、「安定感がない」(三九・三%)、「調整能力がない」(三九・二%)といった項目(複数回答)が上位を占め、「国民福祉税」をめぐる混乱が色濃く反映した形だ。
半面、将来の消費税・間接税の引き上げに関しては「賛成だ」(六・二%)、「高齢化社会対策の財源ならやむをえない」(五三・七%)とする容認論が六割に達し、「なるべく避けるべきだ」(二七・六%)、「絶対に認められない」(九・五%)との反対論を大きく上回った。この一方で、今回の「国民福祉税」の決め方には、「あまり議論をせずに決めるやり方には不満を感じる」(四〇・三%)、「密室で突然決めるやり方は反対だ」(三七・三%)と八割近くが反発。首相支持率の足を引っ張った最大の要因は、新税そのものよりも、政府決定の方法にあったことをうかがわせている。
政党支持率では、自民党が前回に比べ四・八ポイント増の二八・〇%と、下野以来初めて上昇に転じたほか、社会党も一二・八%(前回一一・二%)と増加した。これと対照的に首相の率いる日本新党が五・二ポイント下げて九・四%に急落。政権の中核である新生党も一〇・三%と前回を一・八ポイント下回り、ここにも「国民福祉税」騒動の影響が出ている。
7日に固まった94年度税制改正項目
▼酒税の引き上げ
・ビール1リットル当たり14円
・清酒同7円
・しょうちゅう(甲類)同37円
・しょうちゅう(乙類)同32円
▼不動産取得税の負担急増を緩和
・94年度は宅地基準評価額を1/2に減額
・95—96年度は2/3に
▼登録免許税の負担急増を緩和
・94—95年度は宅地基準評価額を2/5に
・96—97年度は1/2に
▼地方税の不公平税制の是正
・信用金庫、信用組合、労働金庫の固定資産税(現行の非課税を94年度に1/10課税。以後、毎年1/10ずつ課税を増やし、98年度に1/2課税に)
・マスコミ関連業への事業税の軽減措置(94年度以降、段階的に課税比率を高め、98年度に軽減措置を廃止)
・医師の社会診療報酬や生命保険会社の厚生年金基金委託分の事業税非課税(94年度は現行維持、95年度で重要見直し項目に)
自民党の河野総裁は七日、東京・立川市で開いた党主催の講演会で、「国民福祉税」をめぐる政府・与党内の混乱について「指導者の言葉は重いものなのに(細川首相の発言は)出たり、引っ込んだりしている」と批判した。その上で「首相には言葉の責任をとってもらわないとならない。藤井蔵相らの責任もはっきりしてもらわないと困る」と述べ、混乱を招いたことに対し首相らが何らかの責任をとるべきだとの認識を示した。
同時に「(日本の政策が)どうなるかわからないのでは、国際的不安定のもとにもなる。内閣が(姿勢を)直さないならば自民党が直す」として、細川政権と厳しく対決していく考えを強調した。
生物の遺伝子(DNA)配列の情報を国際協力で管理する「国際共同DNAデータベース構築機構」という活動がある。日本もこの活動に参加しているが、その体制は余りにも貧弱。研究開発の国際化に取り組む日本としては、こういう分野にこそ応分の投資が必要である。このままであれば、諸外国から再び、基礎研究ただ乗りの批判を受けかねない。 人間をはじめ、稲や大腸菌など様々な生物の遺伝子の配列が解明されるようになっている。人間を考えてもDNAは約三十億の塩基(遺伝情報のアルファベットに相当)が並んでおり、配列に関するデータはばく大なものになる。様々な生物で解明が進めば、そのデータ量は無限大に近いと言っても過言ではない。
日々、研究者が解読するDNAデータをどう管理するか。大規模なコンピューターで統一的に管理しなければ、どこにどのデータがあるかも分からないし、データの活用も不可能になる。このような観点から作られたのが「国際DNAデータベース」である。日本は国立遺伝学研究所、米国は国立バイオテクノロジー情報センター、欧州は欧州バイオ情報研究所がデータベースの構築・運用に当たっている。
それぞれのデータベースは常時データを交換しており、持っているデータベースの内容は完全に同じになっている。データの利用者や解読した配列を登録する人は、どこのデータベースを使ってもよい。まさに、研究成果を国際的に共有する対等なシステムである。
しかし、そのための体制となると日本はなんとも貧弱である。年間予算を見ると米国が約五十四億円、欧州が約三十五億円に対し、日本は約一億五千万円に過ぎない。この業務を支えるスタッフも米国が五十人、欧州が三十五人に対し、日本はたったの六人である。とても、これで対等な業務を遂行することができるとは思えない。
国内から遺伝研のデータベースを利用する研究者の数も一九九〇年には月に百人程度と多くなかったが、最近では千六百人と急増している。このため、待ち時間が長くなり、直接、米国や欧州のデータベースを利用するユーザーも出ているという。 まさに、日本の科学技術の底の浅さを示す話である。直接、経済的なメリットが期待できる分野には投資するが、それを支える基盤的なところには目を向けない。科学技術が過去の成果の積み重ねであることを考えると、研究データを大切にすることが科学技術振興の基本である。
国際DNAデータベースは早急に体制を整える必要がある。全般的な科学技術の基盤について、もう一度見直すべきである。
経済団体連合会の次期会長に豊田章一郎副会長(トヨタ自動車会長)が就任することになった。日本中が浮かれたバブル経済とその反動である深刻な不況という「天国と地獄」に振り回されて、経済界はいまだに方向感覚を失ったままである。新会長に求められるのは、企業が国際競争力を回復して国内外に貢献できる道筋を示すとともに、その実現に向けてリーダーシップをとることである。
つい昨年まで、経団連といえば、すぐ政治献金を連想するぐらいだった。自民党政権を資金面で支え、政官界に相当の発言力を持っていた。だから、財界団体の中でも常に中央の座を占め、経団連会長は“財界総理”ともいわれていた。
しかし、連立政権の発足と前後して、平岩現会長は経団連が国民政治協会などを通じての企業献金のあっせんから手を引くことを決めた。政官財のゆ着と非難されないように、カネで政治を動かすのではなく、望ましい国民経済の姿を政治家や国民に提示し、その実現に向けて努力するという方向への転換と見ることもできる。理念を基本とし、その実現に邁進(まいしん)することこそ、新会長の最大の任務である。
米欧との間では、工業品の輸出拡大とそれに続く現地生産化で繰り返し摩擦が起きている。このため、経団連は企業のグローバリゼーションについて「共生」の考えを打ち出している。しかし、冷戦構造の消滅に伴って、米国政府の経済政策は大きく転換しており、最近の日米政府間の包括経済協議のように、国家対国家の対立が際立ってきている。そうした中で自由な企業活動を確保するため、外国の民間経済界との交流、相互理解の促進を図るべきである。
バブル崩壊後の深刻な長期不況や米国の対日市場開放要求などで、日本経済の問題点が浮き彫りになってきた。その一つは、米国が「ケイレツ」と指摘する閉鎖的な一九四〇年体制(戦時自給体制)である。過去、日本の競争力の根源ともなったケイレツは、昨年夏以降の円高を機に崩れ出した。日本の企業間のもたれあい、なれあいの関係は薄れざるをえない。
生産拠点の海外移転、割安な輸入品への購入切り替えなどが進み、素材産業や輸出産業は大幅なリストラ(事業の再構築)を迫られている。それに伴い、日本の長所とされてきた長期雇用すら、ゆらぎ始めている。天然資源に乏しく、通商で生きるしかない日本の企業が競争力を取り戻すためには、企業革新のみならず、教育、科学技術政策などを含めた広範囲な構造改善が求められている。経団連はその具体的なビジョンを提示する役割を担っている。
建設談合もそうだが、企業の不祥事が起きるたびに、国民の企業不信が高まる。また、会社第一主義が個人のゆとりと豊かさの実現を妨げてきたことも否めない。高齢化社会の到来、環境保全の重要性などを踏まえると、経団連は企業倫理の確立や企業の社会貢献活動にとどまらず、絶えず企業とは何か、基本に立ち返って改革を率先する必要がある。
厚生省は七日、中央社会保険医療協議会(館竜一郎会長、中医協)に、薬価基準を今年四月から六・六%(医療費換算で一・九七%)引き下げると報告した。
薬価基準は医療機関が保険診療に使う医薬品の公定価格で、前回一九九二年実施した八・一%(医療費換算で二・四%)の引き下げ以来二年ぶり。
薬価基準の引き下げ率が出たことにより、九四年度の医療機関に対する診療報酬(医療費)改定で大蔵省と厚生省の最終的な調整が始まる。大蔵省は診療報酬の三%程度引き上げ(薬価の引き下げ分を除くと実質一%)を四月一日に実施する方針だが、厚生省はさらに積み上げを考えている。
診療側は医療経営の悪化などから平均六・五八%の診療報酬の引き上げを要望している。
連立与党内の減税・財源問題をめぐる調整で最後の焦点となっている財源問題の「検討期間」は「年内に結論を得る」ことで決着の方向だが、「年内」が協議機関で結論を得る時期なのか、税制改革法案を成立させる時期なのか、与党内で解釈に幅が出ている。
新生党や公明、さきがけ日本新党は、秋に税制改革の臨時国会を開き、法案を成立させるべきだとする立場。来年の通常国会に持ち越されると、法案の審議は九五年四月以降となり、統一地方選にぶつかる上、夏の参院選を控えて冷静に審議できる状況にはならないとの判断だ。
「減税食い逃げ」を警戒する財政当局も、臨時国会での決着を「生命線」と譲る気配を見せていない。
社会党などは「九五年度の予算編成が終わるまでに協議会での結論を得ればよい」との構え。「不確定な臨時国会を条件に付けるのはどうか」(幹部)と、現時点で臨時国会での決着は約束できないとしている。
参院議院運営委員会は七日、理事会を開き、新会派「新緑風会」結成に伴う常任委員長ポストの再配分問題などを協議した。新緑風会は所属議員数に応じて常任委員長三ポストの配分を要求。一方、自民党は「選挙から次の選挙までの間は常任委員長ポストの配分を変えないのが慣例」として、現在のポスト配分の維持を主張して譲らず、八日の同委理事会に協議を持ち越した。
▽…民社党の米沢書記長は七日の与党代表者会議で国民福祉税をめぐる長引く議論に「今日も未明になるのかなあ」とポツリ。公明党の市川書記長が「寝込みを襲ったと言われないようにしないと」と言うと、新生党の小沢代表幹事も「起床ラッパみたいにか」とニヤニヤ。ただ、同税の撤回を要求する社会党の久保書記長は「五反田のお茶屋でやれば、夜でも飯を食わせてくれる」としゃあしゃあとしたもので、結局長期戦に。
▽…この日、自民党の河野総裁は東京・立川市で開いた党の講演会で「『天気』の悪いときの友人はありがたい」と野党の悲哀を込めて低姿勢に切り出した。ただ、政治改革に話を転じて「考えてみればまさに自民党案による、自民党の政治改革だ」とアピール。返す刀で政府・与党の国民福祉税をめぐる「迷走」ぶりを指摘、「連立内閣を最初面白いと思った人もいるかもしれないが、今や面白すぎる」と皮肉たっぷりに細川内閣を批判していた。
山花政治改革担当相は七日午前、都内で開かれた全逓中央委員会であいさつし、ゼネコン疑惑捜査の政界波及について、同氏が担当検事と昨年接触したことを明らかにしたうえで、「今回の政治改革法成立の遅れが影響していると心配している」との懸念を示した。現職閣僚が検察の事件捜査について言及するのは異例のこと。
細川首相は七日午後、東京・九段で開かれた「北方領土返還要求全国大会」であいさつし、昨年十月に来日したエリツィン・ロシア大統領との会談に触れ、「合意文書と『法と正義の原則』を基礎に解決するとの明確な交渉基盤が確立された」と述べ、返還の早期実現に積極的に取り組む決意を改めて表明した。首相は「北方四島の返還がいまだ実現していないことは誠に遺憾だ」と懸念を表明。ロシアとの関係改善については「最大の懸案である北方領土問題を解決して、二国間関係の完全な正常化を図る必要がある」として、領土問題の解決が不可欠との考えを改めて強調した。
自民党税制調査会(村山達雄会長)は七日、党本部で正副会長・顧問・幹事・部会長会議を開き、所得税減税と細川首相の国民福祉税構想への対応などをめぐって意見交換した。会議では、「景気対策優先で、消費税増税を財源としない所得税減税の対案を示すべきだ」などの意見が出たものの、当面は与党内の減税財源をめぐる調整を見極めたうえで、改めて対応策を検討することを決めた。
▽9時46分 官邸で石原官房副長官。
▽10時20分 佐藤自治相ら。
▽11時25分 武村官房長官。この後、鳩山官房副長官。武村長官が加わる。
▽12時7分 九段会館で平成六年北方領土返還要求全国大会。
▽13時24分 官邸で藤井蔵相。小川大蔵省主税局長が同席。
▽16時59分 武村、鳩山正副長官。
▽20時25分 武村、鳩山、石原正副長官。
▽23時6分 公邸に。
9:10 村山社会党委員長が宿舎を出る際、「細川首相は国民福祉税のイメージを残したいのだろうが、漠然と福祉といっても駄目。年金目的税のように使途を明確にしたものでないと」
10:30 小沢新生党代表幹事が党常任幹事会で「社会党がああいう状況なので、代表者会議をやってみないと先の見通しは分からない」
11:35 武村官房長官が首相と会ったあとで「総理の腹は決まっているようですから、心配しないでいいですよ」
11:41 連立与党代表者会議、政府側に代案提示を要請することで一致、休憩
11:45 久保社会党書記長が記者会見で「首相の発表した税制改革草案を追認する再協議なら断らざるを得ない」
12:05 社会党右派・中間派の「デモクラッツ」が緊急集会、協議期間は「一年」に短縮するよう執行部に求めることで一致
12:27 首相が「与党の決定を受け入れるのか」との質問に「ですから、それはこちらにボールが投げられるのかどうか。いずれにしても代表者でこなしてもらわないと」
13:27 藤井蔵相が首相との会談後、「新たな案を作るよう指示されたのか」との質問に、ぶ然とした表情で「そうです」
14:20ごろ 東京都世田谷区の小沢氏の自宅前で男が焼身自殺を図る。警視庁は同氏のSPを3人から6人に倍増
14:50 小川大蔵省主税局長、首相からの代案作成指示について「園田さきがけ日本新党代表幹事がまとめる。その事務的な手伝いを大蔵省と自治省でする」
15:15 自民党税制調査会の村山会長が記者会見、「自民党政権時代は税が決まる過程が詳細に報道されたものだが、今の与党には大衆討議の場がほとんどないみたいだな」と皮肉
16:05 代表者会議が再開、約40分で休憩
16:53 小沢氏が記者団から「ボールはどこにあるのか」と質問され「ボールとは何だ。知らない。探してよ」
16:55 公明党の市川書記長が記者団に「ギアがかみ合い始めた」
17:05 大蔵省で斎藤事務次官が定例記者会見。記者団の「(国民福祉税構想は)唐突ではなかったか」「国民不在の手法を改める気は」の質問に不機嫌な表情で「ご忠告として受け止めておきます。ご意見として承っておきます」
17:10 社会党本部で久保書記長が「進展はあったのか」の質問に「顕微鏡で見なければ分からないものは進展とはいえない」
19:12 代表者会議再開
19:55 社会党本部で村山氏と同党所属の閣僚が協議
20:10 代表者会議終了。久保氏が「評判が悪いから夜の会議はやらないことにした」
21:20 大蔵省幹部が「大蔵省が負けりゃいいんでしょう」と渋い表情
21:50 政府筋が8日の首相会見を予告し「(首相が)素直に反省するということですよ。人間細川がわかるようにね」
新生党は七日、政治団体に関する所得税不正還付事件をめぐり、同党を離党していた大谷忠雄氏の会派離脱届を衆院に提出した。大谷氏は無所属となる。これに伴う衆院の新勢力分野は以下の通り。
自民党・自由国民会議二二二▽社会党・護憲民主連合七四▽新生党・改革連合六〇▽さきがけ日本新党五五▽公明党五二▽民社党・新党クラブ一九▽共産党一五▽改革の会五▽無所属九
自民党島根県連(会長、青木幹雄参院議員)は七日、役員会を開き、竹下元首相に新選挙制度での総選挙に自民党公認で出馬するよう申し入れることを決めた。小選挙区比例代表並立制で無所属で出馬して支持者が混乱するのを避ける狙いとみられる。近く青木会長が口頭で竹下氏に要請する。
島根県連役員会では来年の参院選、統一地方選への方針、政治改革関連法成立による新たな対応などを話し合った。
所得税減税と「国民福祉税」創設をめぐる連立与党間の調整は七日、年内に新税導入を確定したい新生党と、これに難色を示す社会党の双方が歩み寄る展開となり、八日に決着する展望が開けてきた。世論の風圧を受けた新生、公明両党が社会党の主張する「与党内協議機関では新税導入の前提抜きで論議を進める」ことを容認へ。社会党も連立政権を支持する右派が新生、公明両党の主張に沿い一年以内をメドに協議機関で新税導入の結論を出す方向に柔軟な姿勢に転じている。ただ、同党内では党の主体性を重視する左派がなお難色を示しており、最終決着は八日午前に持ち越した。
(1面参照)
小沢新生党代表幹事、市川公明党書記長の「一・一ライン」が大蔵省の唐突な増税強行路線に乗ったものの、社会党が反対を貫いたことで、連立与党内の減税財源論議は社会党の主張をくみ、与党内に設置する協議機関で改めて話し合う方向になった。新生党では渡部代表幹事代行らが社会党への譲歩に動き、新税導入の是非を含めて協議機関で検討することでほぼおさまった。社会党案への譲歩は「首相の威信」を傷つけることにもなりかねないが、首相の訪米を控えて、「早期決着には社会党への大幅譲歩もやむを得ないし、論議を年内に限定すれば新税導入の道が開け『実』を取れる」(さきがけ幹部)との判断だ。
こうした動きに呼応する格好で、社会党の右派も事態収拾に動きだした。右派政策集団「デモクラッツ」が七日の会合で、与党協議機関での福祉税導入の結論は一年をメドに結論を出す方向で取りまとめるよう執行部に働き掛けることを決めた。
しかし、村山委員長は同日夜の三役会議で、右派が協議機関を軸にした調整案受け入れを主張する中、結論を八日に持ち越した。この後、村山氏、大出副委員長、野坂国会対策委員長、渡辺総務局長らは都内で対応を協議したが、「協議期間を一年と区切ると、結果的には消費税率の引き上げ容認しか選択はなくなる」「減税実施を断念しても消費税の実質引き上げは回避すべきだ」などの意見が出て、八日朝に再協議することにした。
首相の訪米日程をにらむと、与党内調整の決着が八日午後にズレ込めば、首相の訪米に「来年度予算案の大蔵原案内示が間に合わない事態になる」と首相周辺は説明している。首相にすれば景気対策の裏づけなしで日米首脳会談に臨むことになる。社会党右派は村山氏を説得、社会党が「名」を取る形の財源問題の決着にこぎつけたい考えだ。党内では「左派があくまで反対すれば、決着に動く右派と反目、党が分裂しかねない」(社会党出身閣僚)との見方も出ている。
先の通常国会で成立した政治改革関連法については「高く評価する」「一応評価する」を合わせて六割が「評価」の考えを示し、六年越しの懸案に決着のついたことに有権者が安どした様子がうかがえる。もっとも、政治改革法が細川首相と河野自民党総裁のトップ会談で急転直下、成立となったことに関しては「あまり好ましくない」「密室の談合であり、許すことは出来ない」が半数を超えており、国民福祉税と同様に政策決定過程に厳しい目を注いでいると言えそうだ。
政治改革を「一枚看板」に掲げてきた細川内閣は、前回調査でも有権者の七割近くが首相の姿勢を評価するなど、高支持率の最大の要因となってきた。その政治改革法が成立したことについては「高く評価する」(一〇・八%)「一応評価する」(五〇・二%)と、六割の人が好感を持って迎えている。
ただ、政治改革法によって日本の政治が今後、よくなるかどうかを聞いたところ、「かなりよくなる」(三・二%)「今より少しはよくなる」(三五・五%)と、望ましい方向に転じていくと見る向きは四割弱にとどまった。一方で「変わらない」とした人が四六・九%に達し、「悪くなる」と答えた人も一割いるなど、政治不信の容易に解消しない状況が垣間見えた形となっている。
政治改革法の最終決着が首相と河野氏のトップ会談で図られたことでは「歓迎する」との積極的な支持が、わずか八・〇%にとどまった。「やむを得ない」との消極的支持が三二・五%の一方で、「あまり好ましくない」が三八・二%、「密室談合で許すことは出来ない」が一八・一%に上った。
特に女性の拒否反応は男性より強く、「歓迎する」が五・〇%と、男性の一一・三%の半分以下。「あまり好ましくない」は四一・三%(男性三四・六%)「密室談合だ」が一九・七%(同一六・二%)と、いずれも女性が男性の数字を上回っている。有権者は「透明」で「公開された」政策決定手続きを望んでいることを示した格好だ。
大蔵省が七日発表した九三年の国際収支速報によると、経常収支の黒字額は前年比一一・七%増の千三百十三億五千万ドルとなり、九二年に続いて過去最高水準を更新した。貿易収支の黒字額も同六・九%増の千四百十四億二千九百万ドルとなり、過去最高を記録した。ただ円表示の経常黒字額、貿易黒字額はそれぞれ三年ぶりに前年の実績を下回った。今後の動向について大蔵省は「輸入数量の増加で、ドル換算でみても経常黒字は一進一退の状態になる」(国際金融局)とみている。
貿易収支の内訳をみると、九三年の輸出額は前年比六・二%増の三千五百十二億七千九百万ドル。輸出数量は同〇・五%の減少だったが、昨年二月以降の急激な円高に対応して輸出企業がドル建ての輸出価格を引き上げた結果、金額は増加した。品目別にみると、半導体や船舶、自動車部品などが好調だった半面、自動車が同三・五%減と落ち込んだ。
輸入額は同五・七%増の二千九十八億五千万ドル。木材や衣類などは大幅に増えたが、原油価格の下落で石油製品や原油・粗油などは大きく落ち込んだ。
貿易外収支の赤字幅は昨年より六一・六%減少した。投資収益収支の黒字が大幅に増えたことが主な原因。
一方、円表示の経常黒字額は同二・〇%減の十四兆六千十六億円だった。
同時に発表した九三年十二月の国際収支速報によると、経常黒字額は前年同月比九・三%増の百二十五億六千七百万ドル、貿易黒字額は同八・七%増の百四十一億四千六百万ドルで、いずれも十二月としては過去最高となった。
自民党が盛り返し、社会党の支持率も増えたが、日本新党の支持率は急落し、新生党も低下した——。今回の政党支持率調査を概観すると、こんな結果が浮かび上がった。自民党は野党に転落して下がり続けた支持率が四・八ポイント上昇して二八・〇%に。新生党は前回に続いて低下に歯止めがかからず、上昇カーブを描いてきた日本新党も初めて五・二ポイントの大幅ダウンとなった。一方で新党さきがけは前回(二・三%)から倍増して四・九%と、結党以来最高の数字を記録した。
自民党の支持率は昨年七月調査での三〇・二%から、二六・九%、二三・二%と回を追うごとに低下を続け、有権者の四分の一の支持も得られない状況にまで落ち込んでいた。今回は年齢別に見ると、特に五十歳代と六十歳代でそれぞれ一二・五ポイント、八・八ポイントの高い伸びを示し、高年齢層が自民党支持に戻りつつある格好。
職業別でも、学生を除く各層で安定して支持を取り戻している。特に国民福祉税創設をめぐる混乱を嫌ったのか、主婦の支持が前回の一九・四%から二五・五%へと六・一ポイント上昇したのが目を引く結果となっている。
これに対して上昇を続けてきた保守新党では、新生党が一〇・三%(前回一二・一%)と、二ケタを切る寸前まで支持率が下がった。日本新党も九・四%(同一四・六%)と、初めての減少に転じた。
「新党グループ」では、新党さきがけだけが支持率を着実にアップさせた。武村官房長官が国民福祉税構想の際に、細川首相の女房役でありながら、いち早く手続きの不備を認め、修正に柔軟な姿勢を見せたことを好感したものと見られる。
国民福祉税をめぐる混乱では、構想を白紙に戻す最大の“立役者”となった社会党の支持率は一二・八%と、一・六ポイントの微増にとどまった。主婦層は一四・八%(前回一〇・〇%)と増えたものの、学生が逆に一・一%(同四・三%)と大幅に減少し、幅広い支持率増加にはつなげることが出来なかった。
九三年の経常収支の黒字は過去最高を更新、不均衡是正に景気浮揚が不可避であることを示した。黒字の増加自体には歯止めがかかり「九四年は微減に向かう」(都市銀行調査部)との声は多いが、千三百億ドル超の黒字が大幅に減少するとの見方は少ない。いち早く内需回復の道筋をつけ、製品輸入拡大など最近の素地を生かすことが政府の課題だ。円換算した黒字減少で売り上げ減少に直面する輸出企業にとっても、それが一層の内需転換に踏み出す条件といえる。
四半期ごとにみた経常黒字は円換算では九三年四—六月から、ドル換算でも十—十二月に前年同期比でマイナスに転じた。ドル換算の黒字は、円高で輸出額が水膨れする「Jカーブ効果」によって底上げされてきたが、最近になって輸入数量の伸びの方がそれを上回り、黒字増加に歯止めがかかってきた。
こうした動きを踏まえても九四年の急速な黒字減少のシナリオは描きにくい。昨年来の原油価格の下落は輸入の目減りにつながり、黒字減らしには逆風。根本的な「治療」は内需が回復し、国内需要を賄うための輸入が増えるのを待つしかない。
武村官房長官の話 調査の時点で考えると、税制改革をめぐる動向に対する反応が表れたものと思われる。しかし、将来の間接税の引き上げをやむを得ないとする考え方が約六割、今回の政府の決定の仕方についての不満が約七割であることを合わせ考えると、この支持率の低下は、その決め方をめぐっての影響が大きいようだ。心しなければならないと思う。
(%、カッコ内は前回93年12月調査)
▼細川内閣を支持しますか、しませんか
(1)支持する52.5(64.7)
(2)支持しない27.2(14.9)
(3)いえない・わからない20.3(20.5)
▼(支持すると回答した人に)
支持する理由は何ですか=複数回答
(1)新鮮さがある54.1(60.6)
(2)人柄が信頼できる38.2(39.7)
(3)非自民の連立内閣だから35.5(29.8)
(4)清潔である34.2(36.0)
(5)実行力がある24.0(15.6)
▼(支持しないと回答した人に)
支持しない理由は何ですか=複数回答
(1)政策が悪い44.1(36.4)
(2)実行力がない39.7(31.6)
(3)安定感がない39.3(30.4)
(4)調整能力がない39.2(21.3)
(5)非自民の連立内閣だから20.1(21.6)
(5)人柄が信頼できない20.1(16.8)
▼細川内閣に望む政策は=複数回答
(1)景気対策56.3(52.4)
(2)福祉の充実41.6(37.1)
(3)政治倫理・政治改革38.9(37.9)
(4)税制改革35.7(33.7)
(5)行政改革32.1(29.0)
▼現在、支持または好意をもっている政党は
(1)自民党28.0(23.2)
(2)社会党12.8(11.2)
(3)新生党10.3(12.1)
(4)公明党4.3(4.0)
(5)日本新党9.4(14.6)
(6)民社党2.2(2.0)
(7)共産党2.6(2.9)
(8)新党さきがけ4.9(2.3)
(9)社民連0.4(0.3)
(10)その他の政党0.7(0.4)
(11)支持・好意政党なし18.9(20.9)
(12)いえない・わからない5.5(6.0)
▼減税の財源として細川首相がいったん決断した、消費税を国民福祉税に衣替えし、97年4月から税率7%とする案についてどう考えるか
(1)賛成する6.2
(2)やむを得ない26.0
(3)あまり賛成できない38.7
(4)強く反対する26.7
(5)いえない・わからない2.4
▼国民福祉税の税率を7%にした政府の決定の仕方についてどう考えるか
(1)減税や高齢化対策の財源がないことを考えれば、今回の決定の仕方も当然だ8.0
(2)今回の決定の仕方はやむを得ない11.0
(3)あまり議論せずに決めるやり方には不満を感じる
40.3
(4)密室で突然決めるやり方は反対だ37.3
(5)いえない・わからない3.3
▼将来の消費税・間接税の引き上げについてどう考えるか
(1)引き上げに賛成だ6.2
(2)高齢化社会対策の財源ならやむを得ない53.7
(3)なるべく避けるべきだ27.6
(4)絶対に認められない9.5
(5)いえない・わからない3.0
▼政治改革法が成立したことについてどう考えるか
(1)高く評価する10.8
(2)一応評価する50.2
(3)あまり評価しない29.0
(4)全く評価しない5.9
(5)いえない・わからない4.2
▼政治改革法が細川首相と河野自民党総裁のトップ会談で決着したことについてどう考えるか
(1)歓迎する8.0
(2)やむを得ない32.5
(3)あまり好ましくない38.2
(4)密室の談合であり許すことはできない18.1
(5)いえない・わからない3.3
▼政治改革法の成立で日本の政治はよくなると思うか
(1)かなりよくなる3.2
(2)今より少しはよくなる35.5
(3)変わらない46.9
(4)かえって今よりも悪くなる9.6
(5)相当悪くなる1.0
(6)いえない・わからない3.7
▼次にあげる細川首相を除く政治家のうち、だれを最も支持・評価しますか
(1)河野洋平5.9
(2)橋本竜太郎12.6
(3)渡辺美智雄5.4
(4)海部俊樹17.5
(5)羽田 孜11.1
(6)小沢一郎4.1
(7)武村正義8.5
(8)横路孝弘3.4
(9)土井たか子14.4
(10)その他4.9
(11)いえない・わからない12.2
▽…米大統領が次会計年度(十月から翌年九月)の予算案について議会に示す報告書。一般教書、経済報告(経済教書)と併せて「三大教書」と呼ぶ。各政府機関は行政管理予算局(OMB)が立案した予算計画を基に、大統領経済諮問委員会(CEA)、財務省などの経済見通しを参考にしながら予算を要求する。
▽…大統領が最終決定した内容を議会に予算教書として提出する。上下両院は予算の骨格について決議し、五月半ばをめどに両院協議会で予算のガイドラインを策定する。その後は、両院各委員会の折衝などを通じて調整を進め、通常は九月半ばごろまでにすべての歳出法案をまとめる。
「官僚の地位は昔から強く、いま強まっているのではない。特に台所を預かるものは強い。我々の家庭でもそうなのだから」(平岩経団連会長、税制問題は大蔵省の独走ではないか、との問いに対して)
「細川神話」は色あせたか——日本経済新聞社の三千人緊急電話調査で、細川内閣の最大の強みだった異常なまでの高支持率に急ブレーキがかかった。八頭立ての連立政権に唯一求心力を働かせてきた「政治改革」のヤマを越えた瞬間「国民福祉税」騒動が直撃。中身の是非より「決め方」「やり方」を問題視する声が圧倒的に多く、高支持率に乗った“殿様流パフォーマンス政治”の限界をのぞかせた。同時に「政策が悪い」「調整能力がない」と、基本政策で隔たる寄り合い所帯の「負の側面」を有権者は強く意識し始めたようだ。(1面参照)
「五〇%を割ったら政権維持は赤信号」。政権発足直後からの高い内閣支持率に対し、永田町ではこんな見方が広くささやかれていた。足元の連立与党は「ガラス細工」のもろさを内包し、政権基盤は決して安定していたわけではない。むしろ政権を支える最大の柱が世論であり、この「追い風」を失えば先はない、という意味合いを込めて語られていたものだ。今回の五二・五%はいわばその赤信号ぎりぎりの数字と言える。
支持しない理由で「政策が悪い」がトップを占めたほか、「調整能力がない」が飛躍的に増加した。政治改革こそ実現したものの、焦眉(しょうび)の急である景気対策などは遅々として進んでいない。寄り合い所帯の連立政権の意思決定システムがなかなか機能せず、首相が指導力を発揮できない場面の連続に有権者がいら立ちを強めてきた事情があるようだ。
これまでは「改革」「自然体」を売り物にパフォーマンスでしのいできたが、首相に近い新党さきがけ幹部は「これからはそれではもたない。マフラーを着ければ一〇%、プロンプターを使えば五%ずつ支持率が落ちる」と指摘する。いったん世論の風向きが逆転すると、首相がこれまでの政治手法を変えなければ「坂を転げる石」になりかねないと警告する。
福祉税騒動は世論の流れが変わる分水嶺(れい)になったのかも知れない。首相側近は「消費税率引き上げだけは『殿様流』ではだめだ。名称を福祉としたことが決定的に国民を怒らせた」と反省を込めて指摘する。
調査でも構想自体は三割以上が容認しているが、唐突な「未明の記者会見」による決定の仕方に八割近くが不満・反対を表明、首相得意の会見パフォーマンスも今回ばかりは有権者の理解を得られていない。
内閣支持率の落ち込みを分析すると、男性が前回調査より一〇・五ポイント下がったのに対し、女性は一三・六ポイントとより失望感が大きいようだ。支持政党別では福祉税に猛反発した社会党の支持者で「細川内閣支持」と答えた人が前回より二〇ポイント以上ダウンし、半数以下の四八・五%にまで下がった。無党派層でも一五ポイント以上落ち込んで「支持」は三七・七%しかない。
福祉税騒動を通じて与党内は新生、公明両党と社会、民社、さきがけ各党に二極分解を始めたようにも見える。「社会党は抱えていかないと五五年体制に逆戻りする。非自民政権を作った意味がなくなる」(さきがけ幹部)という指摘も足元から出始めた。与党内の微妙な権力バランスと世論の風に乗ってきた「細川グライダー」は今、自らの力で飛ぶことを求められている。
◆主食用輸入米の売却スタート 緊急輸入したコメを卸売業者向けに売却。2月の売却量は5万トンで、3月からは月間35万トンほどを売却していく。
◆第129回通常国会開会式 午後1時から参院本会議場に天皇陛下を迎え、衆参両院の議員が参加して通常国会の開会式を開く。
◆造船重機労連中央委員会 8、9の両日、愛知県蒲郡で開催。今春闘の賃上げ要求をベア9000円(定昇5000円を除く)とすることを決定する。
◆10—12月の短期地価動向 7—9月は商業地で大幅に下落したが、住宅地では下げ幅が縮小する傾向も。この傾向が続くかが焦点。
整備新幹線計画の見直し問題で、政府と連立与党は未着工区間の取り扱いについての結論を先送りし、三—五年後に新しい整備計画を策定することで合意する見通しとなった。五兆円とされる新しい建設財源が見つからないためで、当面は着工済みの三線五区間の整備を進める。未着工区間については、九四年度予算案にルート公表や環境影響評価のための調査費(整備新幹線建設推進準備事業費)を概算要求の二十億円から五億—十億円上積みする方向だ。
連立与党の代表者会議で近くこうした方針を了承したうえで、大蔵、運輸、自治の三閣僚の折衝で最終合意する。その際、全部で五線の整備計画はすべて堅持することを確認、計画を引き続き推進する姿勢を明確にする。未着工区間の取り扱いは、現在の工事進ちょく率が五〇%(現在は約一三%)になった時点で、財源や規格、着工順位などを盛り込んだ新しい整備計画を策定する。工事進ちょく率が五〇%を超すのは、高崎—長野間の工事が完成する九六—九八年ごろで、新しい整備計画の策定は三—五年後に再協議する。
整備新幹線計画の見直しをめぐっては、連立与党の政策幹事会が「二十一世紀初頭に五路線全部を東海道新幹線型のフル規格で開業する」という方針を打ち出している。しかし、未着工区間の扱いの結論を先送りすることになったため、連立与党と政府との合意ではこの方針は盛り込まない方向だ。
整備新幹線には北海道(青森—札幌)、東北(盛岡—青森)、北陸(高崎—大阪)、九州(博多—西鹿児島、博多—長崎の二つ)の五線がある。八八年に北陸の高崎—長野、糸魚川—魚津、石動—金沢、東北の盛岡—青森、九州の八代—西鹿児島の三線五区間を優先して着工することを決め、翌年から順次工事が進められている。
八八年の決定では「五年後に計画を見直す」との項目が盛られており、連立与党と政府が九四年度予算に反映させるため未着工区間の着工へ向けた計画の策定作業を進めていた。
「豊田経団連」には日本経済の立て直しや健全な日米関係の構築、政治や行政との新たな関係づくりなどの懸案が待ち受ける。トヨタ自動車は戦後の高度成長の縮図と同時に巨大な貿易黒字の象徴的存在でもある。「業界を離れた立場で強いリーダーシップを発揮してほしい」(速水優経済同友会代表幹事)という声を引き合いに出すまでもなく、自動車業界を超えた大局的な経済界の意見の把握と、迅速な実行が課題だ。
平岩外四会長は地球環境憲章や企業行動憲章の策定、海外や消費者との「共生」理念の検討などを通じ「節度ある経営」を呼び掛けたものの、急激な変化への対応に追われる場面も多かった。また、九三年秋には自民党などへの企業献金あっせんを廃止すると決めたが、実際の政治改革法では企業献金廃止の方向は見送られた。いわゆる「平岩リポート」が示した「経済的規制の原則廃止」や行政改革でも実現をどう担保するかは不明確だ。積み残しの課題を豊田経団連は背負う。
平岩経団連に対しては「大蔵省や首相が決めたことを追認するのでなく、先取りして経済政策などを要望し実行させるべきだ」と副会長の一人が言うように、「行儀の良さ」を懸念する声も一部にあった。
豊田氏は自動車という製造業を立脚点としており、日本の産業界再生に向けて多少泥くささを出してくる可能性がある。問題は、これまで企業や業界の利益擁護が目立ったトヨタの経営者としてでなく「経済界全体のまとめ役」(稲葉興作日商会頭)として、業種間の利害調整と消費者や株主からの理解をうまく両立できるかという点だ。
「自動車業界の興廃が他の産業に与える影響は大きい。トヨタのトップなら日本全体が見渡せる」(青井舒一東芝会長)、「日米摩擦は自動車問題といっても過言ではない」(山城彬成NKK会長)といった指摘は、トヨタ自身の意識改革を問う声と受け取ることもできる。
豊田氏を支える副会長体制をどうするかも重要だ。五月の人事では電力業界と三井グループをそれぞれ代表して那須翔東京電力会長、末松謙一さくら銀行頭取が「当確」と言われ、小林陽太郎富士ゼロックス会長や今井敬新日本製鉄社長らも候補。時代の変化を反映した豊田色をどう出すかが問われるだろう。
政府の税制調査会(首相の諮問機関)は七日の総会で、増減税の一体処理を求める方針を再確認するとともに、国民福祉税(仮称)の創設を含む細川首相の税制改革草案の理念を支持することでほぼ一致した。しかし、細川首相の打ち出した「三年の減税先行」と「福祉税の税率七%」については「減税先行は二年で十分」「税率は六%に抑えるべきだ」などと言った異論も出た。税調は政府・与党の増減税処理の決定が遅れているのを受けて、九四年度税制改正答申の決定を当初予定の八日から九日に延期することを決めた。
総会後に記者会見した加藤寛会長は「税調としては増減税の一体処理を求める。責任ある処理をしないと日本の財政は大変なことになる」と強調。財政の規律を守っていく観点で減税財源として消費税率の引き上げを確実にする“担保”が不可欠であると主張した。
減税財源を担保する方法について、加藤会長は「(新しい)税率と(増税の)時期を法律に書き込むのが一番いい」と従来の立場を繰り返しながらも、「どう考えれば担保になるか、考え方はいろいろある」と述べ、政府・与党が増減税の一体化を柔軟に処理する可能性に理解を示した。
また財源の担保が確かでない場合に、首相の税制改革草案で六兆円とした減税規模を縮小することについては「そういう可能性もなくはない」と述べ、来年度限りの戻し減税などを実施し、抜本税制改革を先送りする可能性も示唆した。
総会では首相の草案は基本的に税調が想定する「一体処理」の範囲内に入るとの認識で一致。しかし一方で財政の健全性を重視する立場から「景気循環を考慮すれば減税先行期間は二年にすべきだ」「歳出の見直しや行政改革で既存の支出を切り詰め、税率は六%にせよ」との異論もあった。
日本興業銀行など長期信用銀行各行は七日、今月十日から適用する長期プライムレート(最優遇貸出金利)を現行より〇・三%引き上げ、年三・八%とすることを内定した。このところの長期市場金利の上昇を受けた措置で、引き上げは昨年六月以来、八カ月ぶり。長プラ引き上げが景気回復の足かせになることを気にする声もあるが、長信銀では「今回、引き上げても歴史的には低い水準であり問題はない」と説明している。
長プラは、長信銀が毎月発行する法人向け五年物利付金融債(募集債)の表面利率に〇・九%上乗せして決める。新発利金債の表面利率は、既発債の表面利率と流通利回りが〇・二%以上、開いた際に改定するのが通例。
一月発行の利金債で見ると、指標的銘柄の興銀債の流通利回りは二・九—三・〇%程度で推移しており、表面利率(年二・六%)との格差が〇・三—〇・四%前後となっている。このため、長信銀各行では利金債の表面利率の引き上げ幅を〇・三%とすることを内定、これに伴い長プラも同幅引き上げることにした。
長プラは昨年来の長期金利低下を受け、昨年八月から同十二月まで五カ月連続で引き下げられ、史上最低を更新してきた。このため、長信銀では「今回の引き上げ後で見ても長プラは年三・八%と四%を下回っており、十分、低い水準」と見ている。
豊田章一郎氏は愛知県豊田市が生んだ世界のトップ企業、トヨタの創始者、豊田佐吉氏の孫だ。トヨタが豊田市と東京の二本社制を敷いたのは九一年で、東京での活動の日は浅い。在京大企業の経営者が占めた歴代会長とはひと味違うといえる。
経団連会長は財界総理といわれるが「自分には似つかわしくない。そんな言葉はなるべく使わないでほしい」と謙そんする。日本最大メーカーの経営者という威圧感を与えない。実直で気配りを欠かさない人柄は内外で幅広く支持を集めている。
自動車の生産を始めた父、喜一郎氏から幼いころ粘土のこね方を教わったのが印象深いという。モノづくりの大切さを知る技術者だ。一九四七年に名古屋大工学部を卒業。「内燃機関用噴射弁の研究」で工学博士号を取った。二十七歳でトヨタの経営陣に加わった。元町工場長として乗用車「コロナ」の生産を立ち上げたが「製造技術が下手で散々たたかれたのを覚えている」という。
八一年にトヨタ自動車販売社長に就任。直後のトヨタ自工との合併、米ゼネラル・モーターズ(GM)との提携という難題を「物事にこだわらない」姿勢で乗り切った。
この十年余り、日本の自動車業界を代表する経営者として日米摩擦の最前線にあり、通産省や米国の業界トップとの折衝の経験は豊富だ。対日批判には「全体の貿易黒字はだんだん減っている。単純に数値目標を設けてクリアせよというのは短絡的で良くない」と言い切る。「多弁ではないがイエス、ノーが明快。外国人に好感を持たれる」というのが友人の評だ。
経団連では喜一郎氏のいとこ、豊田英二現名誉会長を継ぎ九〇年五月に副会長に就いた。副会長を長年務めて会長に就いた平岩氏と違って、経団連での活動歴は四年足らず。「全体像をまだつかんでいない。突発事項も多くかなり時間を取られるだろう」と覚悟している。
盛田昭夫ソニー会長は愛知県立第一師範付属小の四年先輩に当たる。山本卓真富士通会長、歌田勝弘味の素名誉会長らと大正十四年生まれの「ウシ十四(どし)会」、飯田庸太郎三菱重工業会長ら旧制東京府立一中出身の政財界人による「如蘭会」に加わる。長岡実東京証券取引所理事長とは一中の同期生で親交が深い。「政治家は苦手」というが、古くは岸信介元首相を囲む会にも参加した。細川首相の実弟、近衛忠〓日本赤十字社副社長とは家族同士の付き合いで首相とも波長が合うという。
「国民福祉税」(仮称)導入への反対派は五二%、賛成派は四二%。年収八百万円以上の層では賛成派が優勢に——。日本リサーチセンターが首都圏の五百人を対象に実施した電話調査で、細川首相が税制改革草案の一環で提唱した国民福祉税に対するこんな賛否結果が明らかになった。
調査は構想がいったん白紙撤回された四—六日に実施。国民にとって“寝耳に水”の決定だった国民福祉税への関心は「非常に関心がある」と「やや関心がある」を合わせて全体の七〇・四%と高水準。「全く関心がない」「あまりない」の八・〇%を大きく上回った。
導入についての賛否は手続き論や差し引き増税になることへの反発を反映して、「導入は不要」とするのが五二・〇%と過半数を占めた。一方、「必要」とするのは四二・二%だった。ただ所得税・住民税減税の財源となるだけに、減税の恩恵を受ける層での支持は鮮明。年収八百万円以上一千万円未満では四九・二%の賛成に、反対は四四・九%。年収千二百万円未満の層では賛成が五〇・八%と半数を超え、反対の四五・八%をしのいだ。
平岩外四経団連会長は七日の記者会見で「経団連会長は体力と精神力がタフでなければ務まらない。若い人が全力投球でやり遂げることが必要であり、在任は四年間が限度だと思う」と述べ、次期会長の豊田章一郎氏についても、在任期間は二期四年が望ましいとの考えを示した。
通産省の熊野事務次官は七日の記者会見で、「ある日突然出てきたとは思っていない」と述べ、国民福祉税についての批判に反論した。増税については「政府税制調査会などで議論されていたし、政治の舞台でも検討されていた」と指摘した。必死に細川首相の打ち出した構想を援護した。
難航している所得税減税と「国民福祉税」の導入問題で与党内の合意を急ぐよう、七日の記者会見で財界首脳からの要望が相次いだ。平岩外四経団連会長は「景気対策は本来一日も放置は許されない。努力を尽くしてまとめて欲しい」と語った。山城彬成経済同友会副代表幹事(NKK会長)は「日米首脳会談では減税規模を言う必要がある。税制改革と景気対策では、当然景気に重点を置かねばならない」と述べ、増税措置の内容は与党内で検討機関を設けて決めるべきだと指摘した。
平岩会長は七%の国民福祉税を三年後に導入する構想について「経済改革研究会(首相の私的諮問機関)の報告書と同じ方向であり、提案自体は評価する」とした。ただ決定の仕組みについては「非常に唐突だった。経団連の主張とは違ったものが出たので戸惑った」として、適切でない面があったと認めた。
また山城氏は国民福祉税を福祉関連の目的税にする考え方について「福祉の概念がはっきりせず、逆に無駄遣いになるおそれがあるので基本的に賛成できない」としながらも「社会党がどうしても目的税にせよと言うなら、政治的な妥協も必要だ。その方が通りやすいならやらないよりも良い」との考えを示した。
大蔵省が七日発表した九三年十二月の対内・対外証券投資動向によると、日本人投資家による海外株式への投資(対外株式投資)は三十五億四千三百万ドルの買い越しとなり、過去最高を記録した。欧米やアジアの株式市場が堅調で、日本人投資家の投資が集中したことが主因だ。海外債券への投資(対外債券投資)も、米国債が月末に下落したものの欧州債が堅調で、四十一億四千四百万ドルの買い越しとなった。
一方、外国人投資家による国内株式への投資(対内株式投資)は三十二億七千五百万ドルの買い越し。東京市場の割安感に加え、円相場の下落で企業業績の回復に対する期待が高まったことが主な原因とみられる。国内債券への投資(対内債券投資)は、長期金利の低下で高値に対する警戒が強まったことや、円安を背景に利食い処分が目立ったことから、二十四億五千万ドルの売り越しとなった。
通産省が七日発表した九三年十二月の総需要電力量(速報)によると、全体の電力需要は前年同月比三・〇%増の六百五十九億キロワット時と二カ月ぶりに増加した。家庭向けなどの民生需要の検針期間が前年同月より一日長かったのが主因。産業用の大口需要は九三年七月以来六カ月連続で前年同月の実績を下回っており、依然として長引く景気低迷が影を落としている。
九三年十二月の電力需要の内訳は、民生用が前年同月比七・五%増の三百三億キロワット時、産業用が同〇・五%減の三百五十六億キロワット時だった。民生用が大きな伸びを示したのは、検針期間が長かったことに加え、寒さが前年より厳しく暖房用の電力需要が増加したことが響いた。
関西経済連合会の宇野収会長は七日の記者会見で増減税の時期について「当面は減税を先行しても、一年後に財源を議論するという担保が必要」と語り、財源問題の先送りに懸念を表明した。また宇野氏は「国民福祉税を目的税として(使い道を)縛ってしまうのはどうか。財政の赤字体質を改善しなければならない」と述べ、新税の福祉目的税化に反対の見解を示した。
平岩経団連の歩み
90年12月 平岩外四氏が会長就任
91年4月 地球環境憲章を策定
7月 証券不祥事で田淵節也野村証券会長(当時)が副会長を退任
9月 企業行動憲章を策定
11月 訪欧で厳しい対日批判。「共生」の検討着手
92年4月 自然保護基金の創設を決定
8月 株価下落で平岩会長と宮沢首相が緊急協議
11月 東南アジアに使節団派遣
93年1月 年頭活動方針で政界再編への期待感を表明
5月 総会で「ポスト行革審」設置提唱
9月 企業献金のあっせん廃止を決定
平岩会長が経済改革研座長に就任
12月 経済改革研が最終報告
平岩外四経団連会長(東京電力相談役、79)は七日の経団連正副会長会議で、次期会長に豊田章一郎副会長(トヨタ自動車会長、68)を推せんし、了承を得た。豊田氏は五月二十七日に予定している経団連の定時総会で正式に八代目会長に就任、「豊田経団連」が発足する。自動車業界出身の会長は初めて。
同会議後、平岩、豊田両氏は記者会見した。平岩氏は「内外いろいろ多難な時期だが、総合的にみて豊田氏なら完全に会長の職務を成し遂げてくれると確信して推せんした」と指名の理由を説明。さらに「豊田氏自身のやり方で経団連を運営して欲しい」と述べた。
豊田氏は「平岩会長の指導や副会長の協力も得て何とか責任を果たしたい。経団連の立場としては日本経済を健全な姿にするのが最優先の課題だ」と抱負を語った。
豊田氏は五月に発足する新体制の副会長人事については「決定の時期を含め、平岩会長と相談して決めたい」と述べるにとどめた。これまでの例では三月七日に開く次の経団連正副会長会議までには決定する見通しだ。
全国銀行協会連合会(全銀協)は七日、今年一月の預貸金速報を発表した。都市銀行十一行の貸出金残高は二百二十二兆千五百八十七億円で前年の同月に比べ〇・七%減った。前年同月比で貸出残高が減少するのは、全銀協が五四年から統計をとり始めて以来初めてで、企業の設備資金、運転資金の需要低迷を裏付ける結果となった。全銀協は「貸出金利の低下にもかかわらず企業の資金需要は低迷しており、当面は弱い基調が続く」(調査部)とみている。
他業態の貸出残高では長期信用銀行が前年同月比〇・四%増の四十七兆三千八百三十一億円、信託銀行が同二・三%増の二十五兆千五百七十三億円。都銀と合わせ、三業態とも伸び率は低下基調を強めている。
貸出残高が減少したのは、九三年の一月末が休日だったため残高が高止まったことに対する反動もあるが、全銀協は「企業の資金需要の低迷が引き続き最大の要因」(同)としている。
減少を続ける前年同月比での伸び率は昨年五月に〇・三%まで下げた後、いったん上向きかけたが、年末から再び下がり始め、一月に都銀で残高が純減した。
預金から手形、小切手相当額を差し引いた実質預金の一月末の残高は、都銀で前年同月比〇・四%減の百七十八兆五千百九十三億円。法人預金が微増する一方、個人預金は流動性預金を中心に取り崩された。
長期信用銀行の主な資金の調達手段である債券(金融債)の発行残高は前年同月比一・五%減の五十一兆八千七百九十二億円。金融債の発行残高は八カ月連続で前年同月の水準を下回っている。
証券取引審議会(蔵相の諮問機関)の公正取引特別部会(座長・河本一郎神戸大学名誉教授)は七日、自社株買いの解禁に伴う証券取引制度の整備に関する報告書を採択した。商法、証券取引法を改正したうえで九五年四月には自社株買いが解禁となる見込み。報告書は自社株買いの方式として市場からの買い入れに加え、公開買い付け制度(TOB)を証取法に盛り込むよう求めた。実施前後の情報開示(ディスクロージャー)も必要としている。
報告書は取引の透明性を確保できるなどの理由を挙げ、自社株買いにTOB制度を導入するのが適当とした。また、自社株買いをインサイダー(内部者)取引規制のうえで「重要事実」と位置付け、関連情報の開示を求めている。
具体的には(1)自社株買いの取得計画は株主総会の議案とした段階で公表する(2)株主総会での取得計画に関する決議内容は有価証券報告書で開示する(3)取得状況については四半期ごとに大蔵大臣に提出し、公表する(4)有価証券報告書でも取得状況を開示する——としている。ただ、株価への悪影響を避けるため、取得予定日を開示する必要はないと説明している。
証券界などから要望の強かった自社株取得の実施方法を証取法など法令に盛り込むことは見送られた。代わりに相場操縦にあたりかねない自社株買いの例として、寄り付き前に前日終値を上回る価格での買い付け注文を出すことや多数の証券会社に同時に委託することなどをあげた。
自社株買いについては解禁に向けて、法制審議会で商法改正作業が進んでいる。証取審部会は法制審に並行して、自社株買い実施に際して公正な市場取引を確保するための規制策を検討してきていた。二十一日の証取審総会で報告書を正式に了承する予定。規制策のなかには証取法の改正が必要なものもあり、大蔵省は改正案をまとめ、商法改正案と同時に通常国会に提出する考えだ。
第二地銀最大手で、経営再建中の兵庫銀行の吉田正輝社長は七日、関連ノンバンク十社の再建計画の見直し策を発表した。ノンバンクが融資事業から完全撤退し、役職員を半減させることを条件に取引金融機関に対して金利軽減幅の拡大と支援期間の延長を正式に要請する。兵銀本体も十社すべての貸出金利を免除するほか九四年度から十年間で八百億円弱の貸出債権を放棄する。九二年十月に兵庫銀行が策定した支援計画が今回、はやくも破綻(たん)したことでバブルに傷付いた金融機関救済の難しさが鮮明になった。
再建計画の見直し策ではまず関連ノンバンクが融資業務から完全撤退することを宣言。融資を本体業務とする兵銀ファイナンスは今後、債権回収に特化させていく予定だ。
役職員数についても第一次再建計画策定前には六百五十九人(九二年三月末時点)いた職員数を半分以下の三百二十四人に削減、百二十四人(同)に上る役員数も三十六人にまで削り込む。新規職員の採用の取りやめや定年の繰り上げで人数を削減する計画。
役員報酬も三月分から兵銀本体で一〇%カット、一次再建計画策定前の五〇%の水準にまで抑え込む。また、関連ノンバンクの役員報酬についても二〇%カット、「リストラへの意欲を示す」としている。
こうしたリストラで節減できる人件費は年間三十二億二千四百万円。物件費も店舗の統廃合や交通費の削減で一次再建計画策定前から二十一億円を削減する。
また兵銀本体による兵銀関連ノンバンク支援では、十社すべての金利を全額免除する。貸付金についても九四年度から十年間で八百億円を債権放棄する。
ただ「これでは支援に限界がある」ため、銀行、生損保に対しては年二・〇%(現行年三・二五—五・五%)、これ以外の農林系金融機関などに対しては年三・七五%(現行四・七五—五・五%)にまでそれぞれ軽減幅を拡大する。こうした金利減免措置で関連ノンバンクの金利負担は年間三百七十億円程度軽くなる。支援期間も十年に延長、一兆三千百億円に達する借入金も二〇〇四年三月末まで返済猶予してもらえるよう正式に要請をはじめる。
吉田社長は今回の見直し案がまとまれば「一息つくことができ、関連ノンバンクの期間損益は九六年三月期から黒字になり経営状況は完全に好転する」としている。
三和銀行は八日から低利、固定金利の新型住宅ローン「セレクト」の取り扱いを始める。金利スワップを活用することで従来の固定金利型住宅ローンより金利を年〇・五%以上低くし、融資金額も五千万円まで拡大した。金利スワップを活用した住宅ローンは業界で初めて。年間六百億円の取り扱いを目指す。
この商品は当初十年間、金利を固定し、その後、変動金利か固定金利を選択する。固定金利を決定する場合は従来のように長期プライムレート(最優遇貸出金利)とは連動せず、市場での金利スワップ手法を活用し、毎月決定する。
二月分については年四・九三%で、従来の住宅ローンの固定金利である年五・四六%より〇・五%以上低い。借入金額二千万円(毎月返済のみ)で期間二十年の場合、これまでのローン商品と比較すると返済額は年間約七万円少なくなるという。また、融資金額については五百万—五千万円とし、期間についても最長三十年に延長するなど借りやすくした。
野村証券投資信託委託と大和投資顧問は、ファンドマネジャーの給与を年功序列給から年俸制に変更する方針だ。顧客から預かった資産の運用を担当する優秀なファンドマネジャーが納得するだけの処遇をすることで、会社全体の運用力を向上させる。国際分散投資の時代を迎え、資産運用の分野は、外国の証券業者との競争も激化しており、外国証券などへの人材流出を防ぐ狙いもある。野村投信が九五年四月、大和投資顧問が九六年四月から実施する計画だ。
野村投信は現在八十人、大和投資顧問は三十八人のファンドマネジャーがいる。年俸制導入にあたり、野村投信はファンドマネジャーの個別の運用成績を客観的に評価するコンピューターシステムを開発した。国内外のあらゆる金利や株価指数などをもとに、個別の商品ごとに運用成績基準を作り、実際の運用結果がその基準を上回ったかどうかで一年間の成績を評価する。大和投資顧問も独自の評価システムを構築している。
年俸制を導入しても、上司の主観的な評価に基づいて決めるやり方では、結局、給与や賞与に大きな差が出ない可能性が高い。コンピューターシステムを使った客観的な評価をすることで、ファンドマネジャーの年収は実績に基づいて大きな格差が生まれる可能性が高い。野村投信、大和投資顧問とも、年俸制の導入から五年程度かけ、年金や退職金の問題などを徐々に詰め、新しい制度を定着させる。
信用金庫大手の城南信金(東京都品川区)は七日、一年未満の貸し出しに適用する短期プライムレート(最優遇貸出金利)を〇・五%引き下げ年二・七%にすると発表した。引き下げは十日から。新しい金利は都市銀行などが適用する短プラの水準(現行年三%)よりも低くなる。ただ同信金は短プラの適用率を調整するため、すべての取引先で借入金利が下がるわけではない。
短プラ引き下げの理由について同信金は「不況の影響を受けている取引先の中小企業の金利負担を軽くするため」としており、同時に日銀に対して公定歩合引き下げを求めている。
日本公社債研究所と日本経済新聞社は二月十七日、「日経金融年報94年春季号」(年二回刊行)を発行します。
掲載対象は日銀、政府系金融機関、銀行、証券会社、生命・損害保険など約千六百社。九三年九月中間期の業績、主要経済指標を収録、資金量、経常利益など各種ランキングも掲載しました。
▽B6変形判、七百ページ、定価四千五十円(税込み)、送料三百八十円。
藤井蔵相は七日、企業会計審議会(蔵相の諮問機関)の会長に森田哲弥日本大学教授を任命した。同時に新委員として北村敬子中央大学教授、村松敦日産自動車顧問、吉牟田勲筑波大学教授を選任した。会長の新井清光早稲田大学教授や委員の宮内康夫日立製作所監査役、武田昌輔成蹊大学名誉教授が六日付で退任したのに伴う人事。
住友、富士など都市銀行七行は七日、スーパー定期預金の金利を引き上げた。引き上げの中心は預入期間が三年や四年の長期物で、引き上げ幅は〇・〇五%。住友、富士の両行は預入期間が二、三、四年のものをそれぞれ〇・〇五%ずつ引き上げた(富士は預入額三百万円以上のものだけ)。東海、大和なども預入額三百万円以上の三、四年物を〇・〇五%ずつ引き上げた。郵便局のニュー定期の金利は先週末と変わっていない。
郵政省(8日)郵政審議会委員=新日本製鉄社長今井敬、滋賀県政策監上原恵美、一橋大学教授溝口敏行
証取審部会の「自己株式取得等の規制緩和に伴う証券取引制度の整備について」の報告書の要旨は以下の通り。
1、はじめに=略
2、証券取引の公正の確保を図るための措置の必要性=略
3、証券取引の公正を確保するための諸措置について
1、内部者取引規制(中略)
会社による自己株式取得の決定(中略)は内部者取引規制上の重要事実として考えることが適当であり、今般の商法改正案に対応し、法令によりこれを重要事実として規定すべきである。(中略)
具体的な取得予定日、取得予定数量、取得方法等を公表することは株価に大きな影響を及ぼしかねず、(中略)公表を行わなくとも自己株式取得を行えることとすることが適当である。(以下略)
2、自己株式の取得方法の在り方(中略)
我が国における相場操縦禁止規定は「売買取引を誘引する目的」等主観的要素、取引の態様等を総合的に勘案した上でその適用の有無が判断されてきているものであり、取得価格・数量等の外形的な基準によりあらかじめ相場操縦違反とはならない行為を類型として法令に規定することは難しい。(中略)
市場における自己株式の取得に関する一種のセーフ・ハーバー・ルールを法令で規定することまたは取引の態様を法令で限定することは困難である。(中略)自己株式取得の取引の性格や相場操縦禁止規定違反に関する過去の判例等をも勘案すると、例えば以下のような行為は相場操縦禁止規定との関連で問題が生じ得ることに留意する必要がある。(中略)
・寄り付き前に前日の終値を上回る水準の指し値で自己株式の買い付けの委託を行うこと。
・市場における取引終了時間前の一定の時間帯に自己株式の買い付けの委託を行うこと。
・多数の証券会社に同時に自己株式の買い付けの委託を行うこと。
・直近の約定価格または買呼値気配を超える価格で自己株式の買い付けの委託を反復継続して行うこと。
・相場が一定の価格を下回ったときに自己株式の買い付けの委託を反復継続して行うこと。(中略)
公開買い付けの手続きを用いた自己株式取得は、すべての株主に均等に会社への売却機会を与え得るとともに、(1)取引の透明性を確保し得る(2)一般の投資者に対して公平に当該取得に関する情報を適切に開示できる、等の点で有効なものと考えられ、また、短期間に大量の株式消却を行いたいといった企業のニーズにも対応できるものである。(中略)現行の公開買い付けと同様の手続きを用いた自己株式取得を行い得るよう制度の整備を図ることが適当である。
3、自己株式取得に関する開示(中略)
(1)取締役会等で株主総会への議案の提出の決定が行われた場合、あるいは、それに向けて具体的な検討をするよう決定された場合においては、内部者取引規制上、その決定の事実を知っている会社関係者等がその決定以降当該会社の株式の売買を行うためには、その前に議案内容を公表することが求められる。
(2)株主総会において決議された自己株式の取得計画は有価証券報告書の記載事項とされることにより、一般の投資者に開示される。
(3)自己株式の実際の取得状況等については、例えば四半期ごとに取得状況等を記載した報告書が遅滞なく大蔵大臣に提出され、公衆の縦覧に供されることにより開示される。
(4)自己株式取得の授権期間終了後において提出される有価証券報告書に当該期間の自己株式の取得状況等が記載されることにより、一般の投資者に開示される。(以下略)
4、自己株式取得と新株発行等との関係=略
4、結び=略
【ワシントン7日=春原剛】米国防総省は七日、九五年度(九四年十月—九五年九月)の国防予算案を発表した。総額二千六百三十七億ドル(支出権限ベース・エネルギー省分を含む、前年度比〇・九%減)で、このうち国防総省分は二千五百二十二億ドル。現在、百六十万人強の米軍兵力を十万人近く削減する一方で、新造空母や最新鋭潜水艦などは新規発注する。国防力の質的向上を目指し、研究開発費用を前年度比四%増の八十一億ドルとしている。同時に発表した九九年度までの中期予算案では、国防総省分だけで総計一兆二千三百九十四億ドルと予測しており、ブッシュ前政権の見積もりに比べて九百十億ドルの予算圧縮が可能としている。
目玉は海軍の空母部隊を現在の十二から十一に減らす点。航空団も現在の二十四から二十に減らす。米軍兵力は九五年度終了時点で陸軍五十一万人、海軍四十四万二千人、海兵隊十七万四千人、空軍四十万人の合計百五十二万六千人に圧縮する。
国防産業の保護・育成を目指して、陸海空の各分野にわたって大型の発注案件は確保する。次世代型戦闘機F22や攻撃型潜水艦「シーウルフ」、艦上輸送機V22、CVN76型原子力空母などを盛り込んでいる。昨年、議会の反対で発注を継続したF16型戦闘機は国防総省の発注を完全に停止する方針だ。
個別案件では旧ソ連各国の戦略核兵器の廃棄作業を加速するため、特別予算として四億ドルを前年度に続いて要求。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核兵器開発疑惑のような第三国による核武装を想定し、新型兵器の開発などを探る「核拡散対応戦略」に三千万ドルを計上した。
九五年度予算はアスピン前国防長官が冷戦後の適正米軍規模を提言した「ボトム・アップ・レビュー」を土台に作成した初の政府案。
【ワシントン7日=川合英雄】ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボへの砲撃で多数の死傷者が出た事件に関連して、クリントン米政権はセルビア人勢力への空爆に踏み切るかどうかで慎重な対応に終始している。昨年、限定空爆を主張、欧州諸国の反対で断念した同政権にとって、再度の失敗は許されないことから、空爆で米国が先行する形はとらないと決意を固めているようだ。
大統領はサラエボで事件が起きた直後の声明では、「空爆」という言葉は使わなかったものの、「あらゆる措置を排除しない」と空爆も辞さない決意を示した。しかし、六日の国家安全保障問題担当者を集めた緊急協議の後は、空爆に「地上軍を派遣している国が反対している」ことをあげ、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の意思統一ができていないと強調し、即時の報復空爆論を退けた。
緊急協議で空爆をめぐる議論に相当の時間を割いたことは大統領自身が認めている。しかし、クリントン政権が「決定的に空爆論に傾いた」との印象を避けたいという思惑が、大統領発言の裏に見え隠れする。
クリントン大統領は昨年春、セルビア人勢力への限定的空爆とイスラム勢力への武器禁輸解除で事態を打開しようとしたが、欧州諸国の反対にあい、失敗した。大統領は前言をたびたび翻し、外交政策で評判を落とすきっかけにもなった。今回、強硬論を唱える米国内の世論に乗って成算のないまま空爆論に走り、再び失敗すれば、クリントン外交の権威は完全に失墜する。
今年は中間選挙の年でもあり、大統領には医療保険制度改革など内政に専念したいという思いがあり、地域紛争への介入は極力避けたいというのが本音。欧州連合(EU)が空爆問題でどこまで意思を統一できるかを見極める考えのようだ。
三十年ぶりに米国のベトナム経済制裁が解かれ、両国関係は正常化に大きな一歩を踏みだした。戦争終結から十九年、双方とも深い傷を残したまま、戦後処理が本格的に始まる。長い東西対立の時代に終止符を打った変化の奔流はようやく、かつての冷戦の象徴にも押し寄せ、歴史の一コマに変えた。しかし、戦争の評価をめぐる対立も絡み、国交正常化という最終ゴールへの道筋はなお不透明だ。
制裁解除が発表された四日朝、数人のハノイ市民に感想を聞いた。歓迎から無関心までいろいろあったが、そのなかで二人の発言が印象に残った。
グエン・バン・ホア氏(72)=元シクロ(三輪人力車)の運転手。今は引退し、年金生活を送っている。制裁解除を伝えると、「そもそも制裁自体がおかしい。ずっと前に連中は賠償すべきだったんじゃ」と声を張り上げた。抗米戦争で二人の息子をともになくした。二人とも遺体すら見付かっていない。「子を殺された親の気持ちがわかるか。アメリカ人を憎み続けてやる」と涙声になった。
グエン・ドゥック・カム氏(61)=抗仏、抗米戦争に二十三年間加わり、今は高校の教師をしている。米国の制裁がこれほど長引いたのはベトナム側にも責任があるという。「閉鎖的で硬直した政策が続き、門戸開放が遅れた。制裁は少なくとも五年前には終わらすことができたはずだ」。ベトナムと違い指導者(大統領)に一定の任期がある米国の制度を称賛する。米国人に恨みはないという。
遺体すら帰らない息子の死を嘆き、米国に激しい憎悪を燃やし続ける父。自国の非を認め、米国の長所を積極的に評価する教師。「過去は水に流し、将来を見つめる」「米国の(ベトナム敵視)政策は時代の流れ、国際世論の希望に逆行している」という共産党と政府の公式論の陰にはこれだけ多様な意見がある。制裁解除の是非をめぐって国論が割れた米国と裏返しの状況である。
戦争の勝者が和解を懇願し、敗者が勝者を罰する——。制裁解除はこれまでの倒錯した米越関係に一応の終わりをもたらした。国交正常化に向けた戦後処理に着手する環境がやっと整ったということである。
戦争終結時に双方が凍結した相手側資産の返還交渉は今月から始まる。凍結資産の推定額は双方とも二億—二億五千万ドル程度と大差はなく、交渉はそれほど難しくなさそうだ。今後、大きな懸案として浮上する可能性があるのはむしろ「賠償問題」である。どの戦争でも戦後処理の過程でこの問題を避けて通れなかった。
米国はかつてベトナムに巨額の「賠償」を約束した経緯がある。七三年のパリ和平協定直後、当時のニクソン大統領はファン・バン・ドン北ベトナム首相に秘密書簡を送り「三十二億五千万ドル程度」の復興援助を約束した。書簡は七七年に機密扱いを解かれ、公表された。
米国側は七五年の南部武力解放でこの書簡は死文と化したとの基本認識だ。ベトナム側も二十年以上前の古証文をそのまま持ち出すとは思えない。
しかし、行方不明米兵調査への協力の見返りとして米国がすでに供与しているささやかな人道援助に代わる本格援助をベトナム側が要求する可能性は大いにある。制裁解除の歓迎声明を発表したレ・マイ外務次官(米国担当)は記者団から賠償要求について問われると「ノーコメント」とだけ答え、この問題の微妙な性格をうかがわせた。
「賠償」という言葉を使うかどうかを含めて、米国の対ベトナム本格援助は戦争の評価とも絡む問題だ。ベトナムは「侵略戦争への償いは当然」と内心では思っている。しかし、そうした主張を前面に出し、米国を刺激することが得策でないこともよく知っている。
ベトナム戦争は小国が超大国を退けた、世界史上でも稀有(けう)の事件だった。しかし、そのことがその後の「敗者が勝者を罰する」という奇妙な構図を生むことになった。米国の制裁解除でこれに一応の終止符が打たれた。しかし、敗者の圧倒的力の優位という現実には変わりはない。この“ねじれ”から来る不透明性、不可解性は今後の両国間の関係正常化交渉にも影を落とし続けることになる。 (ハノイ=鈴木真)
【ワシントン7日=春原剛】七日付の米ワシントン・ポスト紙はウィーンで続いている朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)と国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れ交渉について、クリントン米政権がIAEAが理事会を開く今月二十二日を事実上の「期限」と見ていると報じた。国防総省はすでに米韓合同軍事演習「チームスピリット」実施の準備を再開。三月末には迎撃ミサイル、パトリオットの韓国配備も完了する予定で、査察を受け入れるよう北朝鮮に圧力をかけている、と同紙は指摘している。
同紙のウィーン発の記事によると、北朝鮮と交渉しているIAEA当局者は忍耐の限界に達しており、二十二日の理事会では問題解決を国連安全保障理事会に委託することを決めるべきだとの見解を固めているという。IAEAは北朝鮮が交渉に応じる姿勢を見せているとしているが、現時点では問題になっている申告済みの七カ所の核施設への特定・通常査察を受け入れる兆しはないと見ている。
同紙は、米政府内で外交解決を支持していた国務省高官も二十二日までに北朝鮮が査察を承諾しないと、国連安保理で経済制裁決議を採択することになると見ていると指摘している。
【ブリュッセル7日=日下淳】欧州連合(EU)は七日、外相理事会を開き、サラエボの砲撃事件で緊迫を強めているボスニア・ヘルツェゴビナ情勢の協議に入った。ボスニアのセルビア人勢力に対する空爆に踏み切るかどうかの調整が最大の焦点。北大西洋条約機構(NATO)もボスニア問題協議のため、大使級の非公式会議を開催した。
フランスのジュッペ外相はセルビア人勢力に対しサラエボの包囲解除の要求を期限付きで突き付け、聞き入れない場合には空爆も辞さないと強い姿勢をとるよう主張した。ベルギーのクラース外相も空爆支持の姿勢を示した。
しかし、EU議長国のギリシャは「空爆は紛争の全バルカン半島への拡大の恐れがある」と反対。スペイン政府も「紛争は武力行使でなく交渉で解決すべきだ」と表明。メージャー首相が同日、「早急で効果的で、より強力な行動が必要」と述べた英国も、仏などに比べれば空爆には慎重な立場で、加盟国間の調整が続いている。ロシアの空爆反対も無視できない。
理事会は空爆問題のほか、ボスニアのクロアチア人勢力に援軍を派遣したとの疑いが持たれているクロアチアに対する経済制裁の可能性も検討している。 NATOの非公式会議はEU外相理事会と連絡を取りながら、空爆問題を協議している。一両日中にNATOの政策決定機関である北大西洋理事会(大使級)を開く可能性がある。
「チョットカ(正確に)」「プラブナ(流れるように)」——暖房の効いた教室で教師の鋭い声がピアノの伴奏を遮る。「つま先をもう少し手前に」。指示を聞く生徒のまなざしは真剣だ。
モスクワ市内の「サウリェ・バレエ教室」。八年前に創設した比較的新しい教室だが、教師の質や教育方法が高く評価され、現在、五歳から十六歳まで百八十人の生徒を指導している。
生徒は学校の放課後、週五回、一回につき一時間半バレエのレッスンを受け、「ディプロム(卒業証書)」の取得を目指す。ディプロムはプロのバレリーナや教師になるために欠かせない公認の資格だ。
「ボリショイ劇場付属のバレエ学校みたいに厳しい教育で生徒を圧倒しない」(エレーナ・クルシュコバ校長)のがサウリェの指導方針。とはいえ、高い技術水準を維持するためには生徒を甘やかすわけにもいかず、「見込みのない生徒には、親に伝えて辞めるようにしてもらっている」(同校長)。
サウリェはモスクワの各地区に必ずある「ドム・クリトゥーリ(文化宮殿)」の一つに教室を構える。文化宮殿には美術、スポーツ、演劇など各種の教室がそろっている。質、量とも充実した放課後教育は、旧ソ連の遺産とも言える。
かつてと大きく違うのは、社会の変革に伴い生徒の考えも変わっていることだ。
「生徒は卒業後、バレエ教師を目指して本格的なバレエ学校に進学するケースが多かったのに、最近はほとんどがダンサーとして劇団などに加入し、働き始める」とクルシュコバ校長。「二流でもいい。てっ取り早く稼ぎたい」というのが、「バレエ王国」ロシアの現実である。
「将来、何になりたいの」と十五歳の生徒ユリアさんに聞いたら、「バレリーナの仕事は肉体的にきついから女優になりたいわ」と迷わず答えた。(モスクワ=長沢倫一郎) =このシリーズおわり
【ワシントン7日=春原剛】米国務省は七日、総額二百八億六千百万ドルの九五年度の国務省予算案を発表した。米企業の対外進出後押しなど「経済安全保障」の思想を前面に押し出した「九四年平和・繁栄・民主主義促進法案」を基本とした予算案。(1)米企業による海外投資・貿易促進(十億三千八百万ドル(2)民主主義促進(二十八億五千三百万ドル)(3)平和推進(六十四億三千百万ドル)——などの項目を盛り込んでいる。
【香港7日=山本勲】台湾の李登輝総統が九日からインドネシア、タイなど東南アジア諸国を非公式に歴訪する。十一月にジャカルタで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)非公式首脳会議への、李総統出席への支持とりつけが主な狙いとみられる。歴訪には銭復外交部長、蕭万長経済建設委員会主任委員ら有力閣僚や経済人が同行し、経済協力の拡大策も話し合う。
【ソウル7日=平沼隆志】韓国の黄秉泰駐中国大使は七日、一時帰国中のソウルで日本経済新聞記者と会見した。大使は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が経済立て直しのために改革開放の加速化を目指す一方で、核問題を米国との関係改善を有利に進める交渉カードとして利用する姿勢は変えていないと指摘した。核問題解決に向けて中国の説得への期待も表明した。
【ソウル7日=平沼隆志】韓国外務省は七日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金日成主席が、このほど北朝鮮を訪問した米国のビリー・グラハム牧師を通じてクリントン米大統領に「米国との関係改善を希望する」との口頭メッセージを伝えたことを明らかにした。金主席の発言を牧師が整理して伝達した。
ただ、核問題について金主席は、「これまでも核兵器開発をしないと表明してきた」と従来の発言を繰り返すにとどめたという。国際原子力機関(IAEA)の査察問題に触れず、新たな対応策を示さなかったとみられる。
韓国マスコミは韓国政府当局者の話として、北朝鮮の実務者はIAEAが全面的な査察を求めていることを金主席に伝えていない模様で、主席が事態の深刻さを知らない可能性もあると報じている。
【カイロ7日=山田康昭】イスラエルのぺレス外相とパレスチナ解放機構(PLO)のアラファト議長は七日夜カイロ入りし、占領地からの軍撤退問題について会談を行う見通しとなった。ぺレス外相はラビン・イスラエル首相から最終合意への全権委任を受けており、会談が順調に進めば週内に合意文書に調印する可能性もある。
【パリ支局】議員の資格停止に伴うフランス国民議会(下院)の補欠選挙の決選投票が六日、小選挙区制の三選挙区で行われ、社会党が二議席を獲得、議席数を補選前より一つ増やした。残る一選挙区では中道候補が勝った。
【サンパウロ支局】中米コスタリカで六日実施した次期大統領選挙は七日未明(日本時間同日夜)までの開票の結果、野党・国民解放党(中道左派)のホセ・マリア・フィゲレス候補(39)の当選が決まった。同党が政権に返り咲くのは四年ぶり。新大統領は五月に就任する。任期は四年。
【ワシントン7日=小孫茂】米政府の九五年度(九四年十月—九五年九月)予算案は、百十五事業の打ち切りなど歳出削減に重点を置いたのが特徴だ。政策経費などの裁量的経費の「五年間凍結」も実施する。ただ医療保険制度改革については財源を明確に示しておらず、今後の予算審議の最大の焦点となる見通し。一方、米国再生の柱となる「再雇用」対策や教育、技術、環境、健康、犯罪防止は緊縮予算の例外とし、合わせて百四十八億ドル増やす。 (1面参照)
クリントン大統領の議会への予算教書提出を受けて、米議会は具体的な予算審議に入る。政府・民主党執行部はまず予算案の骨格審議を優先し、その後、個別項目の審議に入るという昨年のような方式を取るかどうかは決めていないが、時期的には昨年同様に八月の議会休会前に予算案を可決・成立させたい考えだ。
九五年度予算案で歳出削減の色彩を濃くしたのは、昨年成立した九八年度までの財政赤字削減策が、増税に偏り過ぎとの批判を浴びた反省に基づいている。具体的には三百以上の事業の予算を前年度より減らし、そのうち百十五事業は打ち切る。これによる歳出削減額は支出権限ベースで約三十二億ドルとなる。
国防総省や農務省、エネルギー省、国務省など主要十四省庁のうち十省庁の予算を前年度実績見込みより削減する。これに連邦職員の年度内十一万八千人の削減など行政改革の効果を合わせて、裁量的経費を九五年度は五千四百二十四億ドルとし、前年度比で一・四%減、約七十七億ドル削減する。この経費は九九年度までほぼ同水準で凍結する方針だ。
ただ、社会保障費など毎年増加が避けられない義務的経費は九五年度も七千六百二十九億ドルで同四・四%増と予算全体の伸びを大きく上回り、切り込み不足が目立つ。さらに、九八年度以降の財政赤字のカギを握る医療保険改革については経費見通しを示しただけで、たばこ税増税などの本格的な財源対策は明らかにしておらず、議会審議の難航は必至だ。
緊縮予算の例外となる技術や環境開発を含めた重点投資項目では、職業訓練拡充など再雇用対策や教育改革の経費を前年度より三十二億ドル拡大する。道路や高速鉄道など社会基盤整備費も約十二億ドルを増額、エイズ(後天的免疫不全症候群)対策など健康対策費を十二億ドル、犯罪防止費は二十七億ドルと前年度の百倍強となる。
【ニューヨーク七日=津川悟】七日午前のニューヨーク株式相場は小動き。前週末終値をはさむ落ち着いた動きで推移している。午前十時二十分現在、ダウ工業株三十種平均は前週末比三ドル六六セント安の三八六七ドル七六セント。先週末の米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めに端を発した世界の株式市場での連鎖安は、週明けのニューヨーク市場でひとまず食い止められた格好だ。
寄り付きは、九六ドル安となった四日の動きや海外市場の下落、債券相場の下落を嫌気した売り注文が先行し小幅安で始まった。しかし、「米企業の業績が好調なため市場の地合いは強い」(日系証券)との見方から下げ渋り、一時三八八〇ドルまで持ち直した。
市場関係者によると、、ダウ平均が四〇〇〇ドルに迫り過熱気味だった米市場に金融引き締めが冷水を浴びせ、四日にいったん急落したが、投資資金が豊富な投資家の底値拾いの買いが着実に入っている。金融引き締めについても「インフレを予防し長期金利の反発を抑える」と好感する見方も強く、反発力には乏しいものの底堅い展開となっている。
【ワシントン7日=前田昌孝】クリントン米大統領は七日発表した予算教書に関連して、「米政府は米国の商品やサービスに関する日本の輸入増大と、米国製品の国際競争力向上を目指して、日米包括経済協議を開始した」と述べ、関税貿易一般協定(ガット)のウルグアイ・ラウンドや北米自由貿易協定(NAFTA)に続き、日米包括経済協議の成果に大きな期待を寄せていることを強調した。
また同大統領は「米国のハイテク商品の輸出拡大のため、特定の技術の輸出を制限していた国内の不必要な規制を除去した」と述べ、米国製品の輸出振興策に力を入れていることを指摘。今後、米国が市場開放と輸出促進に力を入れて行く先として「アジア地区と環太平洋市場に特別の注意を払っていく」と語った。
【ワシントン7日=小孫茂】米政府は七日議会に提出した予算教書の中で、九四年の実質経済成長率が年平均で三・一%、九五年も同二・八%になるとの予測を示した。消費者物価上昇率は鎮静状態が続くとみており、クリントン大統領の掲げる「低インフレ・安定成長の持続」に強い自信を示した。同時に九五年度の貿易赤字は千三百五十億—千七百五十億ドル(九三年度実績は千二百三十億ドル)、経常赤字も千五十億—千四百五十億ドル(同千十億ドル)にそれぞれ急拡大すると予測している。
予算教書によると、実質成長率(第四四半期の前年同期比ベース)は九四年が三・〇%、九五年が二・七%。昨年秋時点の見通しから変更せず、年平均値も修正していない。昨年十—十二月が六%近い成長になった直後の見通しとしては控えめだ。失業率も旧統計ベースで九五年平均六・一%と、急低下を見込んでいない。
消費者物価上昇率の見通しについては、九四年、九五年とも昨年秋時点の見通しをそれぞれ〇・三ポイント下方修正した。九九年までの実質成長は二・五—二・七%と米国の潜在成長率の範囲にとどまり、その結果として物価上昇率も三・三—三・四%程度にとどまるとの予測だ。短期市場金利は年平均で九四年が三・四%、九五年は三・八%へと上昇するとして、予防的金融引き締めを引き続き容認している。その結果、長期金利は低水準で安定するとみている。
九五年度の純対外投資は流出超過額が九五年度に一千億—千四百億ドル(九三年度実績は八百九十億ドル)へと急増する見通し。同時に純国内貯蓄は九五年度も三千二百五十億ドル—三千六百五十億ドルと、九三年度の三千三百二十億ドルとほぼ同水準にとどまると予測している。
【ワシントン7日=前田昌孝】米政府は九五年度予算案の重点項目として、環境対策に前年度比二三%増の合計七十四億千五百万ドル(支出権限ベース、以下同じ)を計上した。水質の汚染防止や浄化対策に同二五%増の二十三億ドルの予算をつけたほか、内務省予算などの形で北米自由貿易協定(NAFTA)に伴う環境対策も大幅に増額。エネルギー関連の環境破壊防止にも力を入れている。
環境対策は雇用や技術開発と並ぶ支出減額の例外項目となっている。このうち最も予算額が大きくなるのは水質浄化・汚染防止対策費。次いで内務省関連の天然資源保護対策費で約十九億ドル(同八%増)となるが、この中には北米協定関連の自然保護費が含まれている。北米協定関係では環境保護局関連でも同二倍以上の予算を計上した。
【北京7日=岡崎守恭】中国政府は七日、三月一日から国家機関などに隔週週休二日制を導入する規定を発布した。一日八時間、週四十四時間労働の制度を適用、これを受けてまず公的機関から週休二日制を始めるもので、余暇の増大で中国人社会の消費意識の変化などが一段と加速しそうだ。
各省庁などは労働時間を統一するとしており、あらかじめ決めた週休二日制の日に一斉に休む土曜閉庁方式をとるものとみられる。対象となるのは国家機関、社会団体、組織された従業員などとしており、いわゆる私企業の取り扱いには触れていないが、「官主導」で普及と定着を図る考えのようだ。
【ロンドン7日=藤森克己】七日の欧州株式相場は先週末の米国株式の急落を受けて軒並み安となった。ロンドンのフィナンシャル・タイムズ(FT)百種総合株価指数が一時、前週末比九三・四ポイント安と三四〇〇台を割り込んだほか、パリのCAC四〇指数も一時、七〇ポイントの下げを記録し、フランクフルトのDAX(ドイツ株式指数)は約五九ポイント安で取引を終えた。
この日の下げは米国の金融引き締めへの転換で、欧州の金融緩和が進みにくくなるとの懸念が台頭したため。マルク安でドイツの利下げが遠のく恐れが出ているほか、米国からの欧州への資金流入がストップするとの見方も出ていた。
ただ、売り物はそれほど多くはなく、午後に入りFT指数は一時三四〇〇台を回復する場面もあった。米国相場の動向をにらみながらの神経質な展開となっている。
【ロンドン7日=欧州総局】ベルギー中銀は七日、政策金利である市場介入金利を〇・一五%引き下げ、六・七〇%にすると発表した。また、翌日物貸出金利も〇・一五%引き下げ、八・二〇%にする。いずれも即日実施する。
【ワシントン7日=関口和一】米政府は将来への投資につながる科学技術予算を大幅に拡大する。戦略的な技術分野について九五年度は七十九億七千六百万ドル(支出権限ベース)の予算を計上、前年度見込みに比べ十四億二千三百万ドル増やす。過大な基礎研究への投資を減らす一方で、産業基盤整備への投資を拡大する。商務省の情報ハイウエー予算も初年度(九四年度)の二千六百万ドルに対し、九五年度は四倍の一億ドルに増やす。
【ワシントン支局7日】クリントン米大統領が七日、議会に提出した予算教書の要旨は次の通り。
一九九五年度予算は我々が昨年達成した財政赤字の削減や経済成長そして雇用創出の基礎の上に立つ。民間投資を促し、公共投資を実施することによって我々はアメリカンドリームを再生させている。
本日提出した予算では財政赤字を約千七百六十億ドルに削減する。もし見込み通り九四、九五の両年度も削減できれば、トルーマン政権以来、初めて三年連続での赤字削減となる。
経済計画は財政赤字の削減と投資、貿易の三部門からなる。貿易分野では新経済パートナーシップのために日米包括経済協議を開始した。これで米国製品とサービスの輸入を増加させ、国際競争力を高めるように日本に働き掛けることができる。新規投資の焦点は引き続き雇用、教育、研究、技術、インフラストラクチャー(社会的生産基盤)、医療、犯罪対策に当てる。
医療保険制度改革は、財政赤字削減を一層進めるためのカギを握る。今年中に改革法案が議会で可決されれば、九九年度の財政赤字額は国内総生産(GDP)の二・一%と、七九年度以来の低水準に抑え込めるはずだ。
福祉制度の充実も不可欠の課題だ。しかし最終目標は、国民が福祉制度に頼らず、自ら働く機会を得ることで達成される。そのための支援は惜しまない。また警官の数を十万人増やすなど、凶悪犯罪を防止するための財政面での手当ても必要だ。
さらに情報ハイウエー関連の投資を充実する。世界最強の軍事力も維持しなければならない。国防産業の手助けを含めて、これまで通り支援を継続する。
外交政策の根幹は経済的な競争力を確保することだ。北米自由貿易協定(NAFTA)、関税貿易一般協定(ガット)を通じて輸出促進に努める。
九四年の第四四半期の前年同期比ベースの実質成長率は三・〇%になる見通しだ。九五年から九九年までの経済成長は徐々に緩やかになり、二・五%になる。
失業率は九四年中に〇・三%低下すると見込まれている(現在の雇用情勢は昨年十二月に経済見通しをまとめたときより良くなっている)。一層の失業率の低下が九八年まで毎年続くと予測している。
消費者物価上昇率は九三年の二・八%に対し、九四年は三・〇%と見込んでいる。経済がさらに成長するにつれ、同上昇率は少し高くなり、九七—九九年では三・四%になる見通しだ。
短期金利は経済が拡大するにつれ、現在の例外的に低いレベルから緩やかに高くなるものと見られる。一方、長期金利は低いインフレ率の維持と予算の原則を守るため九三年末のレベルで維持されるだろう。
九五年度の歳出は政府の医療保険制度改革案を除き一兆五千百八十三億ドルで、九四年度の予測に比べ三百四十三億ドル、二・三%の増加である。今後の歳出増加の伸びは低くなる。九三年度から九九年度の間で歳出の総額は年平均四・五%、実質では一%の伸びとなる。対照的に八一年度から九三年度では歳出総額の伸びは年平均六・三%だった。九九年度の歳出(見通し)はGDPの二〇・九%にあたる。九三年度ではGDPの二二・四%だった。医療保険制度の改革は九五年度の歳出に六億ドル追加することになる。
〈裁量的支出〉
裁量的支出の総額は九四年度の五千五百一億ドルから九五年度には五千四百二十四億ドルに減少する。うち軍事支出は九四年度見積もりの二千八百六億ドルから九五年度には二千七百十一億ドルに減少する。非軍事支出は実質で約三%の減少だが、名目では若干増え、二千六百九十五億ドルから二千七百十三億ドルへ十八億ドル(〇・七%)増になる。
裁量的支出は全体的には縮小するものの、支出がどの程度変化するかは省庁ごとに異なる。十四の主要省庁のうち七省庁は名目支出の減少に直面する(実質支出では十省庁)。残りの省庁の支出は増加するが、全体としては九五年度の歳出は減少になる。
少なくとも三百の事業(百十五の事業の打ち切りを含む)、および六百三十六の事業予算案件のうち二百二十八件について、ドルで換算した九五年度予算は減少する。また、三百七十九件の予算案件は実質ベースで削減になる。
▽国民に対する投資 不利な立場で初等教育を受けている者への教育、及び二〇〇〇年を目標にしている就職あっせんなどを通した初等、中等教育の改革に対する持続的な投資の実施。(職業)訓練への投資は、新たな再雇用をもたらすためのシステムなどを含む。これら全体の投資額は来年度八%伸び、向こう五年間で二三%増える。
▽科学技術に対する投資 予算は米産業界の成長、雇用創出、環境保全を推進する計画を支援する。商務省の先端技術計画やその他の省庁が関係する計画、情報ハイウエー整備などに予算増加分の主な部分が振り向けられる。
▽インフラへの投資 最大の投資対象には陸上交通効率化法(ISTEA)にもとづく高速道路計画、大量輸送システム、農務省のへき地開発計画などが含まれる。
▽環境対策への投資 農務省、商務省、エネルギー省、内務省、環境保護局などは地球的な気候変動、軍・エネルギー関連施設の洗浄、エネルギー資源の保全、安全できれいな水と土地活用のための管理体制、環境保護法の執行といった問題に注力する。
▽医療保険制度への投資 増額する予算の多くは国立衛生研究所、エイズ治療・予防接種の両プログラムや麻薬中毒治療などに使われる。さらにより多くの支出を大統領が提案している包括的な医療保険制度改革に振り向ける。今後五年間でこれらの支出は四〇%増額する。
▽犯罪及び麻薬対策 新たに十万人の警察官を増員し、市中に配置するという大統領の提案は予算計画の一部にすぎない。麻薬中毒治療も現政権の重要な新戦略の一つである。関連支出を一八%増額し、今後五年間では四五%増やす。
▽国家安全保障 昨年、国防総省が策定した新戦力計画に基づき、技術的にも優れ、変動する世界での新しい脅威に適合できる軍を持つために投資する。
〈義務的支出〉
義務的支出は医療保険制度改革を考慮しないと九四年度の七千三百四億ドルから九五年度は七千六百二十九億ドルへ三百二十五億ドル、率にして四・四%拡大する。
九五年度の支出の伸びは義務的経費の項目によって軽重をつけて配分してある。高齢者医療保険制度(メディケア)、低所得者医療保障制度(メディケイド)の伸びはそれぞれ八・九%、一〇・六%と他の分野に比べてはるかに大きい。他の分野の伸びはすべて歳出の平均伸び率を下回るか、わずかに上回る程度になっており、歳入の伸び率を下回っている。
九五年度の歳入見込みは医療保険制度改革がなかった場合、前年度比七・四%増、九百三十億ドル上積みの一兆三千四百二十二億ドル。九三年度内に発生した新しい歳入分はすべて大統領令によって創設された財政赤字削減信託基金に繰り込まれる。医療保険制度改革を実施すれば百十六億ドルの歳入増となるが、すべて医療分野に充てられる。
九四年度に引き続き九五年度も歳入増となるのは昨年の大統領の財政赤字削減計画が影響したものであり、結果的に個人、法人などの歳入源は最も速い成長を遂げている。なおこの予算は増税案を含んでいない。
この予算案を実行すれば、九五年度の財政赤字は九四年度の二千三百四十八億ドルから千七百六十一億ドルに低下する見込みだ。この見通し通りなら、八九年度以来初めて二千億ドルを下回ることになる。
さらに削減のインパクトを反映するのは経済全体に対する赤字の規模だ。九五年度の赤字額はGDPの二・五%となり、九四年度の三・五%(推定)、九二年度の四・九%から低下する。この二・五%というのは七九年度以来最低の数字であり、八〇年代の経済政策は終止符を打つことになる。
医療保険制度改革がなければ財政赤字は九〇年代のうちにGDPの二・三%にまで落ちる見通しだ。改革を実施すれば財政赤字のGDP比は、そのコストと積立額を段階的に組み込んでいくことによってわずかな範囲内でぶれるものの、九九年度までには二・一%に低下する。
【シンガポール7日=渡辺康史】香港、マレーシア、タイなどアジアの株式相場は七日、前週末の米利上げを嫌気して軒並み大幅下落した。各市場とも一月上旬の急落後の調整局面が続くなか、悪材料に敏感に反応したことで相場の地合いの悪さが露呈した格好だ。
【ニューヨーク7日=米州総局】七日午前のニューヨーク債券相場は大幅続落。指標である表面利率六・二五%の三十年物国債の利回りは、前週末比〇・〇六%上昇(価格は下落)の六・四〇%となっている。「追加的金融引き締めも時間の問題」との見方が支配的。
《為替》円相場は上昇後小動き。午前十時四十分現在、円は前週末比五五銭円高・ドル安の一ドル=一〇八円七〇—八〇銭となっている。前週末に大幅下落した反動の円買いが先行した。
《金》下落。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心となっている四月物は前週末比二・七ドル安の一トロイオンス=三八五・六ドルとなっている。銀、プラチナも軟調。
《原油先物》続落。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近三月物は前週末比〇・二三ドル安の一バーレル=一五・四〇ドルになっている。
住友化学工業と国際石油資本のシェルグループが中心に進めるシンガポール石油化学コンビナートは今春にも増設工事に着手する。中核となるエチレンをはじめ、ポリエチレンなど既存の誘導品プラントの生産能力をほぼ倍増、九七年までに完成させる予定だ。総投資額は三千億円前後にのぼる見通し。東南アジアでのおう盛な需要増に対応するとともに、住友化学は製品の一部を日本へ輸出することも検討している。日本の石化市場では現在、安価な韓国製品が台頭しているが、さらに東南アジア製品が流入するようになれば、日本の石化各社にとって脅威となろう。
同コンビナートは年産能力四十万トンのエチレンプラントを運営するペトロケミカル・コーポレーション・オブ・シンガポール(PCS)を中核に、欧米企業や現地資本がポリエチレンやポリプロピレンといった汎用樹脂やエチレンオキサイドなど化成品の製造に参画する形で構成している。シンガポール本島の沖合数キロメートルにあるメルバウ島に立地し、一九八四年から既存プラントが本格稼働した。八八年に累積損失を一掃、現在はフル操業状態にある。
PCSは住友化学を中心とする日本企業連合とシェルグループの折半出資会社。急成長する東南アジア市場をにらみ、PCSの約四分の一の株式を保有する住友化学と、シェルグループを中心に、九〇年から誘導品プラントを含めたコンビナート全体の増設を検討してきた。当初は九三年中に着工、九六年に完工の予定だったが、誘導品のうち高密度ポリエチレンを担当する米フィリップス石油が世界的な景気低迷を理由に投資に難色を示したため、計画の取りまとめに時間がかかった。だが、同コンビナート強化を重視するシンガポール政府がフィリップス石油のプラント運営会社に資本参加する方向で話が進展。今春までにコンビナート全体の計画がまとまり、ただちに着工できる見通しとなった。
東南アジアでは工業化の進展とともに、日用雑貨品や包装材料向けに石化製品の需要が増大。さらに日系の家電、自動車メーカーの進出により、工業部材の需要も伸びている。このためシンガポール以外でもインドネシアで丸紅、昭和電工と現地資本が合弁でコンビナートを建設するなど、各国が輸入に頼っていた石化製品の国産化を進めている。
住友化学工業が育て上げたシンガポール石油化学コンビナートが、増設に向けて動き出すことになった。日本の石化会社で海外に本格的なコンビナートを持つのは住友化学だけ。その生産力が強化されれば、同社の国際競争力は一段と高まる。国内生産のコスト高に悩む日本の石化各社が国際展開に拍車をかけるのは必至だが、一方では、輸出市場を自ら縮小する国内の石化プラントの統合・再編も課題として浮上することになりそうだ。
シンガポールのコンビナートで生産される石化製品の価格は「例えば汎用樹脂なら日本で作るものの半分程度だが、採算は日本で作るよりもいい」(住友化学首脳)という。研究開発費を親会社で負担するといった有利な面はあるものの、特定の品種を集中的に生産する効率の良さが強力な価格競争力を生み出している。
増設計画の調査が始まった当初は、増産分の出荷先は東南アジア市場に絞られていた。しかし昨年来の急速な円高を受けて住友化学の幹部は「一部は日本に運びたい」と漏らすようになっている。日本国内の生産拠点である千葉工場は増設余力に乏しいこともあり、汎用品はシンガポール、高付加価値品は千葉といった役割分担ができれば、同社の石化事業は同業他社をはるかにしのぐ競争力を持つだろう。
他の石化会社も昭和電工グループがインドネシアで、また出光石油化学はマレーシアで石化コンビナートの計画を進めるなど、様々な形で海外展開のピッチを上げている。また未踏の地ともいえる中国やベトナムでも事業化に向けた調査が進行中だ。ユーザー業界の海外移転に伴い、こうした動きは一段と加速しそうだ。
ただ一方では、需要の縮小と需給ギャップの拡大に悩む日本国内のプラントをどうするかといった問題がつきまとう。ユーザー業界に追随して海外に進出すれば、これまで日本から輸出していた石化製品は行き場を失う。基礎原料であるエチレンを例にとれば、昨年一年間の日本での総生産量は約五百七十万トン。今年は三十万トン前後減って五百四十万トン程度になる見込みだが、その大半は輸出減少分といわれる。
石化各社の海外進出は国内の需給ギャップをさらに拡大する要因になるといえる。海外展開できる体力のある企業はともかく、競争力のない国内プラントは「お荷物」になりかねない。今後はそうした余剰設備は縮小するか、思い切って廃棄するといった決断が必要になる公算が大きい。
長距離系新電電の日本高速通信(略称TWJ、東京、東款社長)は、米AT&Tからの技術導入による新しい電話サービスを今年十月から順次始める方針を固め、認可申請の準備を開始した。光ファイバーネットワークの全国展開が九四年度末までに完了するのを受け、電話サービスメニューの強化・拡充により業績の下支えを狙う。
今年十月からは、まずVPN(仮想専用網)サービスを始める予定。VPNは公衆回線をあたかも専用線のように使用できるサービスで、日本電信電話(NTT)が「メンバーズネット」の名称で認可申請するなど、実質的な割引メニューとして国内通信事業者が相次いで参入意思を表明している。
VPNに引き続き、無料通話(フリーコール)サービスや情報料課金サービスなども順次提供する方針。
AT&Tが開発したサービスメニューから日本の実情に合ったものを選択しつつ、自社のサービスメニューに組み込む考えだ。
TWJは、多彩なサービスを提供できるインテリジェント・ネットワーク(IN)づくりを、マルチメディア時代に向けた中核戦略に位置付けている。そのシステム構築のため昨年五月、AT&Tとの間で関連する主要機器の包括的な購入契約を結び、ノウハウを含めた技術導入体制を整えている。
TWJは大容量の光ファイバーでネットワークを構築しているため、マルチメディアサービスへの対応が他の長距離系新電電二社より容易といわれる。その特性を生かすのが同社の将来戦略の基本にあり、秋からの新電話サービス開始はその第一歩といえる。
エレクトロニクス関連の調査会社、米データクエストは九四年の日本の半導体市場の成長率は円ベースで四・八%になるとの見通しを明らかにした。家電需要は伸び悩むものの、パソコンや携帯型情報端末などの普及が進むとみている。北米の二〇%(ドルベース)、日本を除くアジア太平洋地域の二五%(同)に比べると日本の成長率は低いが、低成長にとどまった九三年(二・五%、暫定値)よりも、市場環境は大きく好転すると予想しているのが特徴だ。
九四年の日本の半導体市場規模は約二兆八千億円と予測している。九三年は円高を背景に家電メーカーなどが相次いで生産拠点を東南アジアなどに移し、これが低成長にとどまった要因の一つになったが、今後の日本の半導体市場の成長のカギを握るのはパソコンや携帯型情報端末の需要動向だ。データクエストは九四年にはこうした製品の普及率が高まり、メモリーのほか通信用IC、音声・画像処理用ICなど高付加価値半導体の需要増に結びつくとみている。
ただ、日本の半導体市場が大幅に拡大するには「情報通信分野などでの規制緩和が不可欠」(G・ノレット米データクエスト副社長)という。
世界市場の動きをみると、九三年は日本を除くアジア太平洋市場が前年比四二%と大幅に伸び、北米市場が三三%、欧州市場も二六%成長した。最も成長率の高かったアジア太平洋地域で日本の半導体メーカーはシェアを落とし、その分米メーカーが伸びた。
データクエストは九四年の北米市場は三百二十五億ドル、欧州は百七十七億ドル、日本を除くアジア太平洋地域は百九十四億ドル程度で欧州を抜くと予想している。各地域の予測成長率は九三年よりも低いが、情報関連機器や自動車向け半導体の需要が増えるとしている。同社は長期的には世界の半導体売り上げは順調に増え、二〇〇〇年にエレクトロニクス産業全体の売り上げの二〇%に達するとみている。
リコーはこのほど、米ハネウエル社と係争中だったセンサー特許について同社と和解したことを明らかにした。リコーが米国で所有している半導体センサーの特許をハネウエル商品が侵害しているとして九二年十一月に米ミネソタ州連邦地方裁判所に訴えたもので、二日に提訴を取り下げた。リコーがハ社に非独占のライセンスを与えて、その特許使用料を和解金とする。金額は明らかにしていない。リコーは九二年十二月に逆にハ社から自動焦点カメラの特許侵害で訴えられた件で和解している。
リコーが持つ特許は気体の流量を高精度かつ高速に測定する半導体センサーの構造に関するもので、八二年八月に米国特許として登録された。ハ社はこのセンサーを空調システム商品に組み込んでいた。リコーにはこのセンサーを使った商品がないが、特許の無断使用だとして提訴した。
連邦地方裁に請求していたのは侵害製品の製造・販売の差し止めと、故意侵害による三倍賠償だが、裁判の決着を見る前に和解に応じた。
リコーはこれとは逆にハ社から自動焦点カメラの特許侵害で訴えられていたが、「逆提訴してクロスライセンスに持ち込もうとした意図はなく、全く別の訴訟だ」と主張している。今回の和解により、自動焦点技術に始まるハ社と日本の精密機器メーカーを巡る一連の特許問題が一段落したことになる。
九四年の日本の半導体市場の伸び率が九三年を上回るとのデータクエストの予想は、多くの国内半導体メーカーの見方とほぼ一致している。パソコンのマイクロプロセッサー(MPU、超小型演算処理装置)が高性能化するにつれてメモリー容量が増大、「国内需要は相当に増えている」(大手半導体商社)ほか、四月から携帯電話機が売り切り制になれば通信用ICの販売にも弾みがつくなど、好材料があるためだ。
ただ、依然として景気回復の見通しがつかないことから、慎重な見方もある。日本への半導体売り込みに力を入れている外資系メーカーの中には、米テキサス・インスツルメンツ(TI)のように、九四年の日本での売り上げ見通しを九三年並みとみているところもある。
また、業績面では日本の半導体メーカーにとっては国内市場よりもパソコン向けメモリーを中心とする北米の半導体需要の動向が重要な要素になる。九四年の北米市場の伸びがデータクエストの予想通りの水準を維持すれば、国内市場の伸び回復と相まって業績面にも好影響が出そうだ。
三井物産は七日、カナダの電話交換機メーカー、ノーザンテレコムと共同で、ベトナム郵電総局からデジタル交換機と光通信システム一式を受注したと発表した。受注額は六百十万ドル。ベトナム北部の港湾都市、ハイフォン市内の電話局十六カ所に七月までに納入する。
ベトナムの通信機市場はアルカテルやシーメンスなど欧州メーカーが先行してきたが、米国が経済制裁を解除したことで日米欧の企業間で受注競争が激しくなる見通し。三井物産がベトナムから通信・情報機器を受注するのは初めてで、今回のプロジェクトを足掛かりに積極的な売り込みをはかる。
JR総連(福原福太郎委員長、八万四千人)は七日、東京都内で中央委員会を開き、今春闘の賃上げ要求を六—八%とする方針を決めた。
昨年の七—八%より幅を持たせた。要求は今月末までに提出し、金属労協(IMF・JC)や私鉄総連の回答指定日の三月二十四日までに回答を求める方針。
▽…景気回復が待ち望まれるなかで、スズキの鈴木修社長は「日本人はバブル崩壊によって、車の本当の使い方をいや応なく教えられた」と不況の効用を訴える。「日本では自動車メーカーも消費者も戦後一貫して、アメリカ的な大きいこと、デラックスなことを追求してきたが、不況によって質素、倹約という欧州的な価値の大切さを知ったと思う」。
▽…なかでも、家が狭いからせめて車は豪華なものを、という消費パターンについて「車を財産としてとらえるのはいかがなものか。移動の利便性を補う道具という車本来の使い方がようやく広まってきた」とミニカーが主流となる時代の到来を期待する。地価や株価の上昇というバブル再来を期待する声も一部産業界にはあるが、「成長率鈍化は本当の意味で先進国入りしたということ。二度とバブルにはならないで欲しい」とキッパリ。
日米自動車メーカーの競争力がきっ抗してきた。米国ではビッグスリーが日本車と同じ品質水準の新型車で復活をアピールしているが、必ずしも日本メーカーに水を開けたわけではない。日本メーカーは円高による価格競争力の低下で勢いこそ衰えたが、ビッグスリーを迎え撃つ体制づくりを進めている。米国市場では、日米メーカーが抜きつ抜かれつの攻防を繰り広げようとしている。
一月三日、クライスラーは役員を動員し、鳴り物入りで戦略小型車「ネオン」の価格(八千九百七十五ドル)を発表した。九千ドル未満の車が日本メーカーにはないだけに、「いよいよビッグスリーが日本車の独壇場である小型車市場を揺さぶるのか」と日米のマスコミが大きく取り上げた。
しかし、見物にきていた日本メーカーのある役員は「派手な会見だね」と突き放すようにひと言。泰然自若の姿勢を崩さなかった。一月末、トヨタ自動車、本田技研工業など主要メーカーはネオンを日本に取り寄せ、役員による試乗会を実施したが、「なかなかよくできているじゃないか」というものの、反応は極めて冷めていた。
一つにはクライスラーがネオンで見せた価格設定がそんなに衝撃的ではなかったからだ。日産自動車が九二年に「アルティマ」(日本名ブルーバード)を発売した際、一万二千八百ドルという低価格なベース車を設定した。アルティマの販売台数は好調に伸びたが、売れ筋はベース車ではなく、数千ドル上のクラス。低価格のベース車を呼び水に使う戦略だったわけだ。
今回、クライスラーも利幅の薄い九千ドル弱のベース車を売るより、一万一千—一万三千ドルクラスに力を入れているようだ。これだとネオンは、対抗車とされている本田の「シビック」と同じ価格帯で戦うことになる。それなら「シビックはひけをとらない」(鈴木勲・アメリカン・ホンダ副社長)と本田も強気だ。
ただ、ビッグスリーに攻め込むすきを与えないよう、日本メーカーも価格の維持に必死である。本田は来年秋に米国で発売する新型シビックに現行モデルと同じ価格帯を設定する方向だ。自動車メーカーはモデルチェンジを機に、デザイン、性能を充実させた分だけ数パーセント値上げするのが一般的。シビックも全面改良のたびに値上げを繰り返してきたが、今回、その前例を初めて崩す。
「いずれビッグスリーが品質で追いつき、価格競争力が焦点になると感じていた」(山田建己・ホンダR&Dノースアメリカ社長)と言うように、何も付け焼き刃で対応策を考え出したのではない。本田は九六年型シビックの開発に着手した九二年から、価格の防衛をにらんだ戦略を打ってきた。すでに、昨年秋に発売した「九四年型アコード」でも旧モデルに対して価格は据え置いている。
バブル時代末期の九〇年。本田は八六年の円高の反省として九四年型アコードの開発をにらみ、四年の開発期間のうち、プランニングに充てる期間を半年延ばして一年半にした。日米の開発スタッフが米国のユーザーやディーラー、部品メーカーを訪れ、顧客が望むデザインや価格設定、またどの程度部品の共用化や現地化が可能か徹底的に調査した。
実際の開発期間を短縮してまで調査に時間をかけたのは、設計変更を最小限に抑えるためだ。それまで、稼働の直前になって部品やデザインの設計を見直すこともあり、コスト上昇の引き金になっていた。
ビッグスリーが低価格車を連発するなら、日本メーカーはさらに一歩進んだ戦略を打ち出すかもしれない。トヨタ・モーター・マニュファクチャリング(TMM、ケンタッキー州)の張富士夫社長は「あくまでいい車づくりが前提だが、米国に合ったスペック(仕様)も重要」と話す。
日本車の競争力を後退させたのはまず円高。そして品質に対する過信だ。クライスラーのネオンが米国で話題になったのは、米国の消費者が日本車の仕様を過剰と考える前触れでもある。「日本車の高品質イメージを損ねる」としり込みするメーカーもあるが、ネオンの売れ行き次第では最低限の仕様に絞った低価格車の発売に踏み切るメーカーも出てきそうだ。
日本メーカーの動向にはビッグスリーも注視している。クライスラーのイートン会長兼最高経営責任者(CEO)は「競争力に衰えはあるが、日本メーカーには、やると決断したら恐ろしいスピードで対抗車を開発する力がある」と指摘する。
日米自動車メーカーの競争力が逆転したと考えるのは早計ではないだろうか。確かにビッグスリーの競争力は十年前と比較にならないほどの水準に達している。しかし、現時点で明確に言えるのは、双方ともやられたらやり返す、その反撃までの期間が、大幅に縮まっているということだ。ビッグスリーが有利にみえる現在の形勢も、長い戦いの中の単なる第一ラウンドに過ぎない。 (産業部 中山淳史)
トヨタ自動車はエアバッグの自社生産に踏み切る。今夏に基幹部品であるセンサー(感知器)などの生産と最終製品への組み立てを開始する。設計の見直しなどによるコスト削減も進め、九七年をメドに価格を現在の半分まで引き下げ、普及を促進する。同社は安全対策のためエアバッグを全グレードで標準装備とする車種を徐々に増やしていく方針で、二〇〇〇年をメドに国内向けの全車種(トラック・バスを除き約四十車種)の標準装着を完了したい意向だ。
エアバッグは衝撃を感知するセンサーや電子制御装置(ECU)、ガスを発生するインフレーター、バッグなどを基幹部品として構成する。トヨタは現在、ECUの一部を除き、部品生産やハンドルへの組み込みなど工程の大部分を関連メーカーに委託している。しかし「外注生産だけでは自社の技術が育たないし、コスト削減が難しい」(幹部)と判断、自社生産に乗り出すことにした。広瀬工場(愛知県豊田市)でセンサーの生産を開始するほか、ECUを増産、ハンドルへの組み込みも行う。当面は月産一万数千セットを製造、標準化が進めばエアバッグ全体の一五%程度まで自社で生産する方針だ。
内製化に際して、同社では設計を根本から見直す。現在、二百個前後ある構成部品を二五%削減する。設計見直しと標準装着率を高めることによる量産効果でコストを低減、現在一セット五万—十万円の最終価格を三年後には半値近くまで引き下げたい考えだ。
富士電機は発電機器部門のコスト削減に乗り出す。老朽化している主力の川崎工場(川崎市川崎区)に、まず約三十億円を投じて新しい技術棟を建設するほか、ラインの効率化や人員の効率配置などを通じてムダを省く。九六年三月をメドに、総コストで現在より三〇—四〇%の削減を目指す考えだ。将来は同工場の全面建て替えなどによって一層の効率化を進め、国際競争力を強化する。
川崎工場は主要な建物が建築後三十年以上経過しており、効率化を進めるうえでの障害になっていた。将来的には全面建て替えを目指すが、まず技術棟の建設による設計部門の効率化に着手する。
ニッポン放送の筆頭株主、鹿内宏明氏は同社を相手取り、商法上の株主の権利である「帳簿閲覧権」の行使を求める仮処分を東京地方裁判所に申し立てた。ニッポン放送と同社の子会社、フジテレビジョンが検討している上場などについての経営方針に反対しているため。これに続き、同氏側では株主代表訴訟も辞さない構え。九二年のクーデター以来続いてきた鹿内宏明氏とグループの対立は、法廷の場に持ち込まれることになった。
ニッポン放送はフジサンケイグループの中核会社で、民放最大手のフジテレビジョンの親会社。ニッポン放送、フジテレビジョンともに株式を上場することを検討している。
一方、鹿内氏はグループ議長を辞任後も、中核会社であるニッポン放送の一三・一%の株を持つ筆頭株主。
鹿内氏側は「ニッポン放送、フジテレビが上場することによってニッポン放送は最大の子会社であるフジテレビを手放すことになり、デメリットが大きい」として経営方針が対立している。
鹿内氏側では一月末、ニッポン放送に対し、帳簿閲覧権の行使を求めた。しかしニッポン放送側が態度を保留したため、二月に入って、東京地裁に閲覧権の行使を求める仮処分を申請した。
さらに上場を強行することで、株主の利益が損なわれるとして、筆頭株主の立場から株主代表訴訟による損害賠償訴訟も辞さない方針。
一連のゼネコン(総合建設会社)汚職にからみ東京地検特捜部が七日、贈賄罪で大林組の副社長ら二人を起訴したのを受けて記者会見した同社の坂井恒之専務は、公共工事の指名停止の影響で九三年度の受注目標一兆二千四百億円に届かないことを明らかにした。また同社は事件の再発を防止するため二月一日で津室隆夫社長を委員長とする事業活動適正化委員会を設置した。使途不明金の削減や企業倫理の確立などを目指すとしている。
同社の受注額のうち官公庁向けの比率は約三割。年度末の二、三月は公共工事の発注が多く例年だとこの二カ月で数百億—千億円の受注があるという。一月十八日の副社長らの逮捕以降、大林組は公共工事の指名停止になっており「かなり大きな影響があり、受注額の減少は確実」(坂井専務)という。
日本経済新聞社は’94JAPAN SHOPの開催と商業施設技術団体連合会の創立20周年を記念して同連合会と共催でストアデザインの今後を探るセミナーを開催します。
◇演題と講師 「ローコストと集客」杉本貴志スーパーポテト代表▽パネルディスカッション「ポストバブルのストアデザイン」杉本貴志スーパーポテト代表、牛建務インタースペース タイム代表、大熊俊隆オクト環境計画代表、植木真樹M&T代表、島村美由紀ラス・アソシエイツ代表、コーディネーター 石渡強治乃村工芸社ソフトシステム研究本部部長、総合司会 中西洋丹青研究所技術教育研究部研究部長
◇日時 3月26日(土)午後1時—4時30分
◇会場 東京・晴海見本市会場内BCホール会議室
◇受講料 一般八千円、商業施設士六千円
◇主催 商業施設技術団体連合会
◇共催 日本経済新聞社
◇申し込み先 商業施設技術団体連合会TEL 03・3453・8103、FAX03・3453・8109
日産自動車は三井石化と共同で、市場で回収した塗装バンパーを新しいバンパーに再生する技術を確立した。アルカリ溶液に浸して塗装を除去したあと、さらに精米用の除去技術を応用しほぼ完全に塗膜をはがす。新品の素材でつくるのと同程度の強度、品質水準を維持できるという。
日産では九一年に有機塩水溶液を使った塗膜はく離技術を開発しているが、完全にはがすことができなかった。
【ニューヨーク7日=西山彰彦】昨年十月、米アップルコンピュータから無線通信メーカーのスペクトラム・インフォメーション・テクノロジーズの会長兼最高経営責任者(CEO)に就任したばかりのジョン・スカリー氏は七日、辞任を表明した。「不明朗な決算報告をスペクトラムがしていたことがわかった」として、スペクトラムの元幹部を「訴えた」と語った。
ニューヨークに本拠を置くスペクトラムは年間売上高約一億ドル。無線データ伝送方式の特許を保有、AT&Tなどと特許契約を結んでいる。
住友金属工業は六月をめどに子会社の電炉メーカー、キョウエイ製鉄(和歌山市、高島成光社長)に住金鹿島製鉄所(茨城県鹿島町)の大形形鋼工場を売却する。市況低迷で不採算部門となっているH形鋼をコスト競争力のあるキョウエイ製鉄に移管することで、グループとして同部門の競争力を高めるのが狙い。キョウエイ製鉄にとってもH形鋼の品ぞろえが広がり、東京製鉄など有力電炉メーカーの攻勢に対抗する体制が整う。
住金が売却する大形形鋼工場は一九七五年四月に完成したもので、年間生産能力は九十六万トン。このうち大形H形鋼は年間約二十四万トン弱のペースで生産、住金が販売している。従業員は現在約二百五十人。売却金額は百七十億—百八十億円にのぼる見込み。売却後、従業員はキョウエイに出向する。
キョウエイは住金鹿島製鉄所の製鋼工場で生産する半製品のビレットを買い取り、これを圧延して大型サイズのH形鋼を生産、キョウエイのブランドで販売する。
工場売却の狙いはグループ内リストラ(事業の再構築)によるH形鋼のコスト競争力強化。高炉・転炉で生産したビレットは電炉で作るよりも一トン当たり一万円程度安いとみられるが、高炉メーカーは販売・管理などの間接コストが高いため、コスト全体は電炉メーカーよりも高くなっている。販売を住金からキョウエイに移管することなどで、コストは一トン三千円前後安くなるとみられ、住金は東鉄などの国内電炉メーカーや台湾などからの輸入鋼材にも対抗できる体制が整うとみている。
また、これまで中小型サイズのH形鋼を主力商品としてきたキョウエイにとっては品ぞろえの幅が広がり、販売面でも優位に立つことができるとみている。
キョウエイはH形鋼の市況悪化や生産量の低迷で業績が悪化している。住金はキョウエイの四倍増資の増資額六十億円を全額引き受け、住金の出資比率は八二・五%になった。住金主導での再建にあたり事業面での協力を模索していた。
ダイエーファイナンスは七日、ダイエーグループの旅行会社、朝日トラベルエージェンシー(東京・品川、瀬戸田秀広社長、資本金五億円)の株式を八日付でダイエーなどグループ会社から買い取り、全額出資子会社とすると発表した。カード会員向けに旅行パックを通信販売するなど、カード事業と旅行を組み合わせ相乗効果をあげるのが狙い。
三菱マテリアルは、二月一日付で全額出資の新会社「知財サービス株式会社」を設立した。工業、鉱業、情報産業などに関する特許情報や技術情報の収集、解析を主な業務内容にする。特許など各種所有権の管理だけにとどまらず、調査機能も強化し、外部からの受注獲得を目指す。初年度は年商二億円を目標にする。新会社の資本金は一千万円。社長には前特許部長の山口曦一氏が就任した。人員は十三人。
スイスの大手総合化学会社、チバガイギー(バーゼル)は中国国営の染料メーカー、青島染料製造所(青島)と有機顔料の合弁会社を設立する。このほど合意書に調印した。設立時期、資本金など詳細は今後詰める。山東省青島に顔料の製造工場を建設する。チバガイギーが中国に顔料の生産拠点を持つのは初めて。資本金、工場関係などの総投資額は双方合わせて約一千万米ドル。九六年の第四四半期から操業を始め、中国国内向けのほか海外へも輸出する。
山崎製パンは七日、米国の中堅食品メーカー、ヴィ・ド・フランス(バージニア州)からレストラン部門を買収することで合意したと発表した。買収金額は二千万ドル(約二十一億円)。三月に正式調印し、四月下旬には営業権、資産を引き継ぐ。買収するレストラン部門は全米に三十一の店舗を持つ。
ソニーは七日、波長の短い遠紫外域の光を一ワットという高出力で連続して出す「高出力遠紫外レーザー」を開発したと発表した。遠紫外レーザー光を、これだけの出力で連続発振できる装置は世界初という。独自に作製した高品質の結晶を使って、光の波長を高出力のまま短くする。短波長であるうえ出力が高いため、光ディスクの高密度記録やレーザーメス、微細加工などに有効という。九五年をメドにまず次世代の半導体を製造する光源として実用化したいとしている。
遠紫外レーザーは波長が二百六十六ナノ(一ナノは十億分の一)メートルで出力が一ワット。コンパクトディスク(CD)の読み取りなどに使う長波長の光を、ネオジムを含むYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザーに当てる。出てきた光をKTP、BBOと呼ばれる二種類の結晶に順次通し、波長が四分の一の遠紫外光に変換する。
次世代半導体の製造には高度な微細加工技術が必要とされる。従来、最先端の半導体製造装置には、波長がさらに短いエキシマレーザーが用いられたが、装置が大型でレーザー光を断続的に出すことしかできなかった。
三菱商事がスポーツ用品事業に本格的に参入する。関東、東北、関西などの有力なスポーツ小売店八社と包括的な業務提携契約を結んだ。五月にも九社で共同仕入れ会社を設立し、ゴルフ、スキー用品など、あらゆるスポーツ用品を扱う体制を整える。三菱商事が仕入れ業務を担当、小売り八社の販売力を背景に仕入れ力と小売り段階での価格競争力を高める。三菱商事は物流を担当し、店舗開発や経営指導、八社のプライベートブランドの開発や海外拠点の情報ネットワークを活用した輸入も手掛ける。三年後には百億円規模のビジネスに育てる考えだ。
三菱商事と契約を結んだのはみどり堂ビバスポーツ(東京・葛飾、社長二葉信博氏)、ヒマラヤ(岐阜市、小森裕作氏)、カスカワスポーツ(山形市、粕川憲一氏)、パラマウントスポーツ(仙台市、粕川博史氏)、スポーツ館ミツハシ(京都市、三橋隆吉氏)、太陽スポーツ(魚津市、鶴見瑞夫氏)、キシノスポーツ(新潟県湯沢町、岸野一夫氏)、パルスポーツ(大曲市、柏原真人氏)の八社。新会社の資本金は九千万円。三菱商事が五千万円、残り四千万円を八社が均等に出資する予定。
共同出資する小売り八社合計の店舗数は八十六店舗、売上高は九三年実績で三百六十七億円になるという。
「今後十年間で飛躍的に伸びる企業」のトップはビジネスマン、一般個人とも日本衛星放送(JSB)で、任天堂、セガ・エンタープライゼスも上位にくる——。日本経済新聞社と日経産業消費研究所が昨年九月に実施した第六回企業イメージ調査で、こんな結果が明らかになった。長引く不況のなか、上位には通信、サービスが並んだ。
(詳細は八日付の
日経産業新聞に掲載)
「今後十年間で飛躍的に伸びる企業」は、昨年までの「二十一世紀までに最も伸びる企業」に代えて、企業の力や将来性を総合的に判断する代表的な項目として尋ねた。JSBは映画のノーカット放映が売り物の二十四時間放送で「WOWOW」の愛称で知られている。わが国で最初の民間衛星放送会社としての先進性などが評価された。
昨年までの「二十一世紀までに最も伸びる企業」でもビジネスマン、一般個人の両方で上位になっていた任天堂はビジネスマンで三位、一般個人でも二位に、セガもそれぞれ二位と五位ランクされた。ゲーム業界が好調なことに加えて、マルチメディアの事業展開が好感されている。
これに対して、「二十一世紀までに最も伸びる企業」では一位に挙げられていたソニーは、一般個人は九位だったものの、ビジネスマンでは六十一位にとどまった。その他の項目でも、昨年は一位だった一般個人の「よい広告活動をしている」「成長力がある」、ビジネスマンの「社会の変化に対応できる」などでも順位を下げた。AV(音響・映像)不況の影響を反映したものとみられる。
長年、東燃の顔として君臨してきた中原伸之社長の後を受けて、子会社の東燃タンカー社長から転じる。二年前に本社の役員から外れており、「暗やみから太陽のもとに引っ張り出された」と驚きを隠さない。
中原社長の交代は米メジャー(国際石油資本)のエクソン、モービルによる実質的解任といわれている。その背景については「中原社長とは月一回の定例報告以外はコンタクトがほとんどなかったので」と言葉を濁すが、「もう少しソフトランディングができたのでは」と漏らす。
和歌山製油所など、一貫して技術畑を歩んできた。「東燃の技術部門の精神的支柱」と慕う社員が多い。戦後六人目の社長となるが、前任五人のうち三人は技術系出身。事務系出身の中原社長が財務戦略、生産部門のコストダウンで手腕を振るったのとひと味違った経営を期待する声が、社内外に上がっている。
目標は「石油精製の強化と環境問題に対応したエネルギービジネスへの進出」と中原路線の踏襲を掲げる。だが、手法では「適材適所、公平な評価、下意上達、権限委譲」を強調、トップダウン型の中原社長との違いをのぞかせる。
かつては「論理的すぎて冷たい」との評もあったが、子会社の社長業で幅ができたとの見方も。規制緩和問題では、二年後に期限切れを控えた特定石油製品輸入暫定措置法の継続が必要と、業界主流に歩調を合わせる。
趣味のブリッジは「自分でもうまいと思う」腕前。 (G)
東燃は今後五年間で全社の間接部門の人員の二割に当たる約二百人を削減する方針を固めた。製油所など生産部門に比べ事務部門の合理化が遅れているため。石油業界の規制緩和に備えて競争力を強化するのが狙い。大株主である米メジャー(国際石油資本)、エクソン、モービルからの経営効率向上の要求にこたえる意味もあるとみられる。
一方、生産部門では川崎製油所の分解装置新設など製品の高付加価値化の設備投資を進める。
日本電話施設は七日、田中浩太郎会長が同日付で社長を兼務すると発表した。同社は井深次郎社長が一月三日に死去したため、加藤克巳専務が社長代行を務めていたが、後任社長が決まるまでは田中会長が兼務することにした。
田中 浩太郎氏(たなか・こうたろう)東大第一工学部卒、45年(昭20)逓信省入省、73年日本電信電話公社資材局長、74年日本電話施設入社、76年社長、88年会長、長野県出身、71歳。
第二十三回店舗総合見本市「’94JAPAN SHOP」(主催=日本経済新聞社、店舗システム協会)の出展社が決まった。出展社数は百九十七社、出展小間数は七百四小間。「’94イベント・プロモーション・ショー」(主催=日本経済新聞社)は出展社数三十五社、小間数は八十一小間となった。
これに加えて「’94ストア・オートメーション・ショー」ほか二展と合計五展を、三月二十五日から二十九日の五日間、東京・晴海見本市会場で開催する。
’94JAPAN SHOPでは、本年度のテーマに合わせて「ローコスト&デザインクオリティ プラザ」を設け、店舗建築、施工、運営のコスト削減と、デザインクオリティーの維持を両立させる店舗づくりを提案する。
また店舗デザイン、街づくりなどに関する各種セミナーも開き、流通業に関する最新情報を提供する。
出展物はシステム店装材や看板関連、什器(じゅうき)などの店舗演出機器・ツールや、内外装材などの店舗建材・素材などが中心。「商環境デザイニング」ゾーンではストリートファーニチャー、人工樹木などを展示する。
◇演題 (1)トップ秘書になるための必要能力要件(2)効果的なコミュニケーション(3)積極的な傾聴法(4)ケーススタディー(急な予定変更、電話・来客応対など)
◇講師 浅野恵以子MSC主席コンサルタント
◇日時 3月8日(火)午前10時—午後5時
◇受講料 三万二千円(会員二万六千円)
◇演題 (1)企業経営とインハウス業務マニュアル(2)業績を向上させるマニュアルの作成、運用、定着方法
◇講師 勝畑良ディー・オー・エム社長、弥富泰男同社マニュアル第一制作部長
◇日時 3月8日(火)午前10時—午後4時30分
◇受講料 二万九千円(会員二万四千円)
◇会場 日本経済新聞東京本社(東京都千代田区大手町一ノ九ノ五)
◇申し込み・総合案内 日本経済新聞社経済事業部TEL03・3243・9080、情報ファクス03・3940・6000(ボックス番号333000#)
(3月1日)研究本部総合研究所高分子研究所次長兼スチレン事業開発本部スチレン製品事業部開発営業部主席部員、塚根永芳▽フィルター事業部フィルター輸出部長兼国際部主席部員(有機合成品事業部有機化学品営業部長)品川洋次▽兼有機合成品事業部有機化学品営業部長、有機合成品事業部副事業部長池田弘尚
(2月14日)九州支社総務部長(別府支店長)東昌昭▽同顧客サービス部長(宮崎支店営業部長)寺町幸夫▽九州資材センタ所長、伊藤誠▽九州通信機器事業部長(宮崎通信機器営業支店長)泉勝明▽電話帳事業推進部九州事業推進部長、高津鶴己
(2月1日、地名は支店長)〔FA&DAシステム事業本部〕兼東京支社AS/RSシステム営業本部長、常務東京支社長大西忠▽兼東部支社フローシステム営業本部長、取締役東部支社長川野昇▽同支社北関東、下野満朗▽同札幌、尾水和男▽西部支社岡山(西部支社九州)紙谷邦彦▽同中国、村井州弘▽同九州(西部支社中国)池部喬▽滋賀製作所機器&ラック工場長(滋賀製作所ラック工場長)村上紘一▽同システム機器工場長、長峯誠
PS&CM事業本部長(パーキングシステム事業本部長)塚本登
(3月17日)取締役、マーケティング本部長梶原俊文▽同、レディース・ヤングDV部長川島哲男▽監査役、敷島印刷社長荒木護
(2月10日)取締役相談役(副会長)石黒福太郎▽同(常務)加藤武▽同(同)潮野博
(2月7日)兼生産本部生産企画室担当、専務生産本部長橋本長愛▽兼開発本部先行開発グループ担当、常務開発本部副本部長木村俊彦▽管理本部総務部長(人事部長)取締役管理本部副本部長藤岡俊一▽管理本部国際部長兼法務部長(国際業務本部国際業務部長)取締役古谷俊爾▽経営企画室長(アムブレーキ社長)西垣順充▽管理本部財務部長(経理部長)池田寿孝▽営業第一本部営業第二部長(アケボノ・ヨーロッパ部長)深谷邦男▽同技術サービス部長、鶴見州平▽同欧州事務所長、渡部忠男▽生産本部海外生産管理室長、西川英治▽生産本部三春製造所長(品質保証本部品質保証部長)森田輝男
開発本部開発業務部長(営業第一本部営業第二部長)宮沢雅次▽開発本部特許部長兼管理本部法務部主査(管理本部法務・特許部長)富永博隆▽同機構設計部長兼振動・解析グループ部長、井上武久▽開発本部産機・鉄道部長(実験部長)鎌野重康▽同実験部長、平井裕▽同試作部長(開発業務部長)江尻雄三郎▽品質保証本部総括部長(開発本部機構設計部長)荻野欽治▽同品質保証一部長、中島省三▽同品質保証二部長(初期流動管理部長)石井紀雄
(4月1日)LED統括部長(半導体第2工場部門長兼工場長)取締役有田哲二▽カーエレ統括部長(電子機器事業企画部門長)同広瀬清
電子機器事業企画部門長、加治屋由〓朗▽同原価企画部門長、杉浦正幸▽同営業企画部門長、川上昭弘▽同第4営業部門長(電子機器営業企画部門長)山崎義清▽同第2技術部門長(同第3技術部門長)西山和男▽山形工場部門長兼工場長、梶田正喜▽素子製造部門長、金子亘行▽自動車機器開発部門長、渡辺修一▽カーエレ製造部門長(スタンレー鶴岡製作所社長)高橋正美▽大阪支店部門長兼支店長(電子機器第4営業部門長)保坂喜市
日本リース (2月16日)退任(常務)高橋昌生
(2月4日)退任(専務)大植正道
(2月28日)退任(取締役)長井昭憲
(3月1日)専務(常務東京担当)田坂弘和▽経営企画室長兼関連事業担当(財務部長)常務細田信行▽常務営業担当(取締役ラポール事業部長)ブランド事業部長木村祭氏
(2月7日)経営管理室長兼管理本部長(管理部門主管兼人事部門主管)副社長原田武幸▽土木部門所掌(企画営業本部長兼土木本部長)同東京支店長服部信哉▽営業部門営業・海外事業担当(海外事業本部長兼事業管理部門主管)専務牛尾耒里▽工事部門兼技術部門所掌(設計・技術本部長)同技術研究所長田代喬▽営業部門営業担当(営業第2本部長)常務松井敏夫▽管理本部副本部長兼財務・経理担当(経理部門主管)同木下茂伸▽営業部門営業担当(業務計画部門担当)同宮沢直樹▽開発事業部門開発事業担当(企画営業本部本部長補佐)同須田信夫▽同管理担当(事業管理部門副主管兼経理部門主管)同岩永重利▽管理本部副本部長兼財務管理担当(管理部門副主管)同目黒紀之▽同兼総務・人事担当(同)同富樫正明▽土木部門営業・工事担当(土木本部副本部長)取締役明吉真佐夫▽管理本部総務担当(管理部門副主管)同総務部長加藤実▽土木部門営業担当(土木本部副本部長)取締役林崎直臣▽同(同)同高橋春夫▽開発事業部門開発事業担当(企画営業本部副本部長)同百瀬享▽営業部門営業担当(営業第1本部副本部長)同佐藤昭六
経営管理室総合企画部長兼システム開発部長(システム開発室長兼事業管理部長)榎本憲二▽同関連事業部長兼経営計画部長、古屋弘隆▽九州支店長代行(九州支店次長)工藤文孝
(2月7日)兼社長、会長田中浩太郎
(2月21日)新事業開発本部長、専務西川博文▽情報システム営業本部長(アメリカ日製産業社長)常務米州地域総支配人前川浩一▽電子営業本部長、常務竜昭一郎▽同副本部長(半導体営業本部長兼半導体営業推進部長兼電子管営業本部長)取締役見崎清忠▽管理本部管理部長(関西支店総務部長)真野宗直▽同経理部長、飯塚茂▽新事業開発本部中国開発部長、蔵田正爾▽同建設開発部長(建設システム営業本部長兼建材部長)菅野英夫
〔科学システム営業本部〕科学システム販売促進部長(科学システム首都圏営業部長)大畠董章▽同輸入部長、杉浦真佐▽同首都圏一部長、佐々木秀夫▽同首都圏二部長(関西支店科学システム部長)小林俊
産業システム営業本部副本部長(産業システム営業本部環境システム部長)吉野晴雄▽同環境システム部長、宮内真澄▽電子デバイス製造システム営業本部表面実装機海外販売部長(FAシステム営業本部副本部長)二村元紀
〔情報システム営業本部〕副本部長(情報システム海外営業本部長)阿南光夫▽同(本部長)岡田佳典▽情報システム開発部長(情報システム海外営業本部開発部長)有村克彦▽情報装置部長(情報システム一部長)乙黒直▽情報システム部長(同二部長)野上昌平▽情報輸入システム部長(同三部長)磯田五郎▽情報システム海外一部長(アメリカ日製産業ゼネラル・マネージャー)萩原洋一▽同海外二部長(情報システム海外営業本部副本部長兼情報システム海外一部長)加田忠三
〔電子営業本部〕副本部長(民生電子システム営業本部副本部長兼電子開発部長)木幡恭彦▽電子営業推進部長(半導体営業本部カストマーサポートセンタ部長)松隈毅▽電子管部長(電子管営業本部副本部長兼電子管部長)鈴木祥夫▽民生電子部長(民生電子システム営業本部民生電子システム部長)秋馬敬三郎
〔金属・化成品営業本部〕本部長(FAシステム営業本部長)寺尾忠明▽副本部長(化成品営業本部副本部長兼開発部長)丸山秀四郎▽金属材料部長(茨城支店日立営業部長)稲垣伸治
電子材料営業本部長(電子材料営業本部副本部長)電子材料二部長市川憲幸▽同本部副本部長、電子材料一部長加藤正夫▽関西支店総務部長、平岡道夫▽同科学システム部長(科学システム営業本部科学輸入部長)木原茂樹
〔茨城支店〕日立営業部長(水戸営業部長)副支店長小林信夫▽水戸営業部長(化成品営業本部合成樹脂部長)城裕隆▽情報システム部長、菊地英明
九州支店長(金属営業本部長兼金属材料部長)宮津公一
(2月4日)兼商品本部長、常務流通統括本部長兼流通本部長三村武夫
(2月16日)SC事業部専門店部マネジャー(SC事業部専門店開発部マネジャー)今村紀芳
(2月4日)資金証券管理部長(経理部長)町田輝之▽経理部長、山崎通也
(2月7日)府中支店長(東府中支店長)茂木勝芳
(2月7日、地名は支店長)神楽坂(品川)久保敬三▽品川、田中均
日本電装は七日、九四年度を初年度とする三カ年の中期経営方針を策定したと発表した。厳しい経営環境に対応し、三年間で企業体質の変革を進める。九七年度の基本目標として(1)新事業の拡大などで、年五%成長を実現(2)コストダウンの推進で国際競争力ある製品への転換(3)一ドル=一〇〇円を想定した事業体制の構築(4)管理・間接部門で二割の余力を創出し、重点業務に再配置する——などを掲げた。
サントリー系ハンバーガーチェーンのファーストキッチン(東京・新宿、高原洋社長)は、中国で多店舗化を始める。昨年上海市に開いた一号店が軌道に乗り、中国での店舗運営にメドが立ったため。十六日にフランチャイズチェーン方式で上海市に二号店を開く。さらに年内に同市内に二店を出す計画。
「健康食品」は薬局の店頭でも販売されている
ビタミンやカルシウムなどの配合を売り物にした「健康食品」の人気が高まっている。飲料や菓子、錠剤など様々なタイプの製品が登場し、予想を上回る売れ行きを示している。八〇年代初めに次ぐ第二のブーム。不況下でも順調に拡大しているのはなぜか。消費者に訴えるものはなにか——。食品、医薬など多くの業界を巻き込んでの参入競争は、一段と激化しそうな雲行きだ。
「これほど売れるとは思っていなかった」。森下仁丹の倉掛長吉取締役は驚きを隠さない。昨年十二月に発売した「ECカロチン」が予想を大幅に上回るペースで売れている。小売価格二百円の粒状キャンデーで、ビタミンC、同E、ビタミンの一種であるベータカロチンを配合した。出荷額ベースで年間一億円という当初目標に対し、発売一カ月で五千万円以上が売れ、生産能力不足に陥っている。
同様の製品で先発した、ポーラ化粧品本舗の「シーズケース」も好調だ。九三年の売上高は小売価格ベースで五十億円、九四年は前年比二倍の百億円を目指す。競合製品が登場しても販売に影響しないほど、市場そのものが拡大している。
最近、消費者の注目を集めているのは、ビタミン類やカルシウム、食物繊維などの栄養素だ。血行や新陳代謝を促進させ、健康の改善に効果がある。時短の推進や余暇の奨励といった社会的な動きを背景に、消費者の健康志向が高まり、これらの栄養素が見直されている。
前回ブームになった八〇年代前半は、ガンや成人病が社会的に問題視され、健康への関心の高まりが背景となった。「ビタミンCはガン予防に効果がある」と言われ、ビタミン剤需要が急拡大した。しかし相次ぐ参入で市場が混乱し、次第に消費者の関心も遠のいていった。
「現在の市場が当時と大きく違う点は、消費者の志向に合わせて、より具体的な製品企画をしていること」。大塚製薬の松本勝取締役はこう語る。骨粗しょう症とカルシウム不足の関係や、肌荒れ予防とビタミンの補給など健康に関する日常的な関心をとらえた製品が増えているという。同社の「ザ・カルシウム」などがその例だ。
「消費者が積極的に健康維持を目指す姿勢が強まり、今後はより医薬品に近い機能のある食品が求められるようになるだろう」と、森永乳業で医薬品事業を担当する菊地孝生常務はいう。同社は医薬品と並行して、健康食品市場をターゲットにした製品開発に力を入れていく。風味、包装から販路まで食品メーカーの特徴を生かしたい考えだ。
ビタミンの学術広報と消費者広報に携わるビタミン広報センターの植木宣彦氏は「今後十年間に、世界規模で進められているビタミンの研究成果が十五件前後発表される」とみている。これに伴い消費者の関心が高まるのは確実だ。企業も健康食品の品ぞろえ強化に動く。しかし、「単純に成分を配合しても吸収されなければ意味がない。また、糖分や脂肪分の配合に配慮しないとかえって栄養バランスを崩す恐れもある」と同氏は指摘する。消費者の混乱を招かないよう、より高度な開発と製造管理が求められる。 (産業部 鈴木才富)
日立製作所は七日、奥行きが約四十センチという薄型の40型ワイド(横長)テレビを六月末に発売すると発表した。画面サイズが25型以上の大型テレビでは松下電器産業などが販売する奥行き四十五センチの29型テレビより大幅に薄くなる。プロジェクション(投射)方式だが、画面の明るさをブラウン管式テレビ並みにし、暗いとされるプロジェクション式の難点を克服した。狭い日本家屋に適した大型テレビとして売り込んでいく。今後、薄型を追求した各社の競争が激しくなりそうだ。
薄型化は、画面までの投射距離を従来より二〇%短縮したコンパクトな投射レンズの開発により実現した。奥行き四十センチは14型テレビとほぼ同じ寸法という。価格は四十万円台に設定する。
プロジェクションテレビは周辺部にいくほど光量が少なくなり、それが画面全体が暗いという印象を生み、明るいテレビを好む日本での普及が遅れていた。九三年度の出荷台数は二万五千台と推定されている。
このレンズは画面の周辺の光量を従来より三〇%増やすことができるため、「画面全体ではブラウン管方式と比べ同程度の明るさ」(同社)を達成した。
同社によると、九四年度のカラーテレビの国内出荷台数は八百二十三万台の見込み。特に今年は七、八年前に購入した大画面テレビの買い替え対象としてワイドテレビの出荷増が期待でき、ワイドテレビの全出荷台数に占める比率は今年度の四%から一二%に膨れ上がるとみている。
大画面テレビは画面サイズが大きくなるのと同時に奥行きも深くなるのが欠点とされ、画面のサイズと薄さを両立させることが開発面での課題だった。
家電メーカー中堅の船井電機(大阪府大東市、船井哲良社長)は今春にも一般家庭向けにファクシミリ機能付きの電話機を発売、同市場に参入する。ファクシミリ機能のほか複写機としても使用できる製品を計画しており、五万円台の低価格で売り出す。ファクシミリは家庭にも普及し始め、同市場には松下電器産業やシャープなど大手家電、通信機器メーカーが参入している。船井は低価格を武器に月間二千台前後を販売する計画だ。
製品は販売子会社のフナイ販売(同)を通じて国内で販売する。大きさは縦二十二センチ、横二十七センチ前後の小型になる見通し。A4判までの用紙をコピー、送信するが、受信については情報を圧縮することでB4判まで対応できる。今後は留守番電話機能が付いた製品なども順次発売し、シリーズ化していく方針だ。
同社は欧米メーカーなどに対し、すでにOEM(相手先ブランドによる生産)方式で家庭用ファクシミリを供給している。供給数量は月間数万台とみられる。今回発売する製品は量産効果によって生産コストを抑制できる見込み。
家電製品は不況の影響で伸び悩みが続いているものの、家庭用ファクシミリの需要は堅調に増加、大手メーカーの参入が相次いでいる。価格は六万円前後から十万円前後が中心。
船井は低価格製品を武器に据え置き型VTRやVTR一体型テレビなどの市場でシェアを拡大しつつある。家庭用ファクシミリでも低価格戦略を踏襲する考えで、同社の参入によって市場での販売競争が一層過熱しそうだ。
日立製作所は七日、半年間ゴミ出しが不要な家庭用生ゴミ処理機を今夏にも発売することを明らかにした。おがくずをベースとするバイオ基材により、生ゴミの容積を十分の一程度に減らす装置で、十万円台前半の価格で販売する予定。家電産業では既に販売している松下電器産業、四月に発売を計画している三洋電機に次ぐ市場参入となる。
今回の家庭用生ゴミ処理機は屋外設置タイプで、外形寸法は幅三十センチ、奥行き五十センチ、高さ八十五センチ。一日当たりの処理能力は、標準的な四人家族が出す生ゴミの量に相当する七百グラムで、半年間連続して使える。
ゴミの大半を微生物により水と二酸化炭素に分解し、もとの容積の十分の一程度をたい肥として排出する。排出したたい肥は半年ごとのバイオ基材の交換と同時に処理する。同社によると、一日当たり約十円のランニングコストで、生ゴミ処理の手間が大幅に軽減できるという。
同社は現在、オゾン脱臭機能付きと、脱臭機能無しの二モデルの発売を予定しているが、今後は室内設置タイプなども投入していく方針だ。
航空運送などを手がけるエグゼクティブ・エアサービス(東京、大垣弘邦社長、03・5683・3551)は十一日から、ヘリコプターによる東京上空の夜間遊覧飛行を始める。ヘリコプターを使った東京の定期遊覧飛行は夜間では初めてという。
ツアーの名称は「ヘリ・ナイトクルージング」。千葉県浦安市の浦安場外ヘリポートを出発し、東京ディズニーランド、レインボーブリッジ、東京タワーを見ながら、銀座上空を通過し、浦安に戻るコースで、所要時間は約十五分。運航日は金曜、土曜、日曜・祝日だが、クリスマスやバレンタインデーなども運航する。乗客は一便につき四—五人、大人料金は一万三千円。
同社は初年度に四千六百人の送客、六千万円の売り上げを見込んでいる。
ミノルタカメラはマッキントッシュ用レーザープリンター「ファインライター401」を十七日から発売する。米アドビシステム社の書体ソフト「ATM3・5J」を組み込み、高品位の和文二書体、欧文十三書体を利用できる。ミノルタが国内で自社ブランドのプリンターを発売するのは初めて。
ファインライター401はミノルタ独自の接触方式を採用、印刷時にトナーの飛び散りがなくなり、よりきれいな印字ができる。価格は十二万八千円で月産千台を目標にしている。
◇髪質を整えるヘアケア製品◇花王(03・3616・9911)の「エクスケア(ヘアコントロール)」=写真
《ポイント》硬い髪用と柔らかい髪用があり、硬い髪用には髪を柔らかくする成分「GA(グリコール酸)」、柔らかい髪用には髪に張りを与える成分「BA(ベヘニン酸)」を配合した。シャンプーの後に通常のリンスやトリートメントの代わりに使う。
《価格・発売時期》二百四十グラム入りのポンプが千円、六十グラム入りのミニサイズが三百円。三月十四日。
◇家庭用冷凍食品◇味の素(03・5250・8180)の「えびと野菜のかき揚げ」
《ポイント》オーブントースターで約八分間加熱するだけでかき揚げができる。従来は冷凍食品でも油で揚げる必要があった。
《価格・発売時期》百二十グラム入りが二百二十円。二十一日。
藤和不動産は来春、栃木県那須町のリゾート「藤和那須ハイランド」内の「那須ハイランドパーク」に、スキー場のリフト型の二人掛けジェットコースターを導入する。日本初の施設となる。乗り物タイプとは違って足元が不安定なためスリル感が増すという。同時に那須高原への子供向けスキーツアーの企画もスタートさせ、相乗効果を狙う。
「那須ハイランドパーク」は関連会社の藤和那須リゾート(栃木県那須町、黒木芳彦社長)が運営している。ジェットコースター導入に先立ち、今春には若者向けのアトラクションなど四機種を導入する。総投資額は二十三億円。施設拡充により九五年までに入場者数を現在の年間約八十万人から百万人まで引き上げたい考えだ。
ニコンは二倍ズームコンパクトカメラ「ニコン ミニズーム」=写真=を二十四日発売する。大きさは幅十一・七センチ、高さ六・三センチ、奥行き三・六センチ、重さは約二百五グラムで、ズーム機種では世界最小・最軽量という。焦点距離は三十五—七十ミリ。価格は四万六千円。月間四万台の生産を見込んでいる。
富士通の九四年三月期の経常利益は、従来予想を百五十億円上回る二百五十億円前後(九三年三月期は八十七億円の赤字)に回復する見通しだ。全社的な合理化と米国パソコンメーカー向けメモリー(記憶素子)の好調が寄与する。九五年三月期は、円相場一ドル=一〇八円の前提で売上高が今期予想比少なくとも三%増、経常利益は同二倍の五百億円前後に増える。企業の情報化投資抑制で経営環境は厳しいが、コスト削減の徹底で、経常利益はピークだった九一年三月期の約四割の水準まで回復する。
九四年三月期の売上高は、二兆千五百億円前後で前期に比べ約一割減る。全売上高の約七割を占めるコンピューターの売り上げが前期より二割近く減少する。
しかし、研究開発費、減価償却費など固定費を前期比一千億円程度削減、外注費なども圧縮している。メモリーの好調で半導体部門の赤字が縮小、金利低下で金融費用も減少する。
流通、銀行向けなどでコンピューターの受注回復の兆しが出ているうえ、日本電信電話(NTT)向けの通信機器、米国向けメモリーも売り上げ増を見込んでいる。九五年三月期の売上高は、二兆二千百億円強と増収に転じ、経常利益が膨らむ見通しだ。
ダーバンの九四年十二月期は紳士服販売の苦戦が予想され、経常赤字が十億円強(前期推定は十二億円)と二期連続の赤字になりそうだ。希望退職者に対する退職金の計上で、最終赤字は二十億—三十億円(同三十三億円)になるとみられる。無配を継続する公算が大きい。
売上高は五百二十億円前後と前期推定比五%減りそうだ。郊外型専門店の攻勢などで紳士服の販売単価を引き下げている。数量ベースで増加しても、前期並みの売り上げを維持するのは難しい。
百貨店との間で商品の受発注システムを本格稼働させ、在庫管理を強化することから、粗利益率は前期推定より一ポイント程度改善する見通しだ。従業員削減や広告宣伝費の絞り込みなどで販管費を二十億—三十億円減らし、営業赤字は十億円前後と前期推定並みに落ち着きそう。希望退職者数は今のところ確定していないが、十億—二十億円の退職金を特別損失に計上するとみられる。
ノーリツの九三年十二月期の経常利益は、前の期に比べ二七%増の四十五億円となった模様だ。年末にかけて主力のガスぶろ・給湯器など利益率の高い製品の販売が伸びたことが寄与した。
前期の売上高は七%増え、千六十億円弱になった。新規住宅着工の増加が追い風になり、システムキチン、システムバスなど新規分野の売り上げは一二%増え、百九十二億円前後に拡大した。ガスぶろ・給湯器を中心に利益率の高い製品の売り上げが期末にかけて伸び、営業利益も五七%増加し四十億円弱になった。
今期の売り上げは前期推定比六%増の千百二十億円、経常利益は同四%増の四十七億円を見込んでいる。今期も住宅着工増を支えに販売の伸びが期待できるほか、ショールームの新設などの増収策も寄与しそうだ。
富士通の業績が予想以上に回復する。合理化策が効果をあげてきたほか、米国向けのメモリー輸出が伸びているからだ。関沢義社長に経営合理化の現状と本格的な収益立て直し策を聞いた。
——証券アナリストの多くは、九四年三月期の経常利益はゼロから百億円と予想しています。赤字継続の可能性を指摘する声もあります。
「今期の経常利益は三百億円は難しくても二百億円を下回ることはないだろう。二—三月を残しており、販売動向や円相場など不確定要素はあるが、売り上げが今後急激に落ち込むことはなさそうだ。円相場が一ドル=一〇五円までなら、今の収益予想は変わらない。メモリーの価格が下げ止まったのはうれしい誤算だ」
「合理化は着実に進めている。人員削減に手を付けないで、生産設備の再構築、在庫圧縮、事務所の統廃合などで生産性を引き上げる。研究開発費を前期より四百億円強削減したり、設備投資の圧縮で減価償却費を二百億円強減らすなど固定費の大幅削減が収益改善につながる」
——コスト削減による応急措置で一段の収益悪化に歯止めをかけましたが、売り上げの約七割を占めるコンピューターの不振はなお続いています。
「営業、システムエンジニアの両方で全国の需要を掘り起こしている。商談は増えてきた。コンピューターシステムに関するセミナーも活況だ。複数のセミナーに出席する人が多い。どの機種でも接続できるオープン化やダウンサイジング(小型機への需要シフト)など新しい流れへの興味は大きく、ユーザーが納得できるシステムを提案すれば売り上げは伸ばせる」
「価格破壊が急ピッチに進んでいるのは気にかかる。パソコンは販売台数が四割近く増えても、金額は増えない。ユーザーの価格要求に対応するには、徹底的なコストダウンが必要だ。NECが生産コスト半減を目標に掲げたようだが、もっと削減しないとだめだろう」
——通信は底堅い需要が期待できそうですが、半導体はメモリーが好調でも全体ではまだ赤字です。
「通信機器は二〇〇〇年まで二ケタは無理でも、それに近い成長をするだろう。郵政省と日本電信電話(NTT)は次世代通信網構築で大規模な投資を計画している。NTTの年間投資額は二千億—三千億円増える見通しで、交換機などの売り上げは確実に伸びる。米国、中国などの需要拡大も見込める」
「競争が激しい半導体は、どの会社と提携して何の製品に特化するかが勝負だ。メモリーは好調だが、次世代製品は韓国メーカーが大規模投資しており、やがて値崩れが進む。当社はロジック(論理回路)の一部や化合物半導体、フラッシュメモリー(電気的に一括消去・再書き込み可能な読み出し専用メモリー)を重点的に強化する」
——九五年三月期はさらに収益を拡大できますか。
「現在予算を策定中だが、売上高は今期並みから五%増の間を想定して議論している。景気が一段と悪化せず、円相場は一ドル=一〇〇円を突破しなければ、四—五%の増収は可能になる。経常利益は一千億円が目標だが、最低でも五百億円を確保したい。今期着手した合理化策が来期は収益にフルに効いてくる」
——株式相場はマルチメディア関連銘柄の中核とはやしています。中長期的な収益目標は。
「マルチメディアは大きな市場が期待できる。ソニーと松下電器産業は米国の映画会社買収でいわば過去のソフト遺産を手中にしたが、当社も米国CATV(有線テレビ)会社、地域電話会社などとの提携を考えている。ハードとソフト両面から今後積極的に市場を開拓する。マルチメディアを収益の柱にして、売上高経常利益率五%を目指す」
富士通の株価(終値千六十円)が先週末、NEC(千五十円)を上回った。あるベテラン証券マンは「富士通の株価逆転は何年ぶりだろう」と驚いていた。関沢社長は、はっきりした根拠は言明しなかったものの「NECに比べて安過ぎると思っていた」と言い切った。
関沢社長の自信の背景には、今期の経常黒字を確実にしたことがある。前期は上場以来初の赤字転落という屈辱を味わったが、アナリスト予想を上回る利益確保は満足できる結果だろう。株式市場は業績の変化率を織り込みつつあるが、来期の経常利益五百億円、税引き利益二百五十億円で予想株価収益率を計算すると、七十六倍(七日終値千五十円で計算)だ。
問題は収益改善をコスト削減に頼っていることだ。経常利益五百億円でも売上高経常利益率は二%に過ぎず、過去のピークだった九一年三月期(千二百七十三億円)の約四割の水準。一段と収益体質を強固にするには、ダウンサイジングやマルチメディアなど激しく動くコンピューター業界の中で主導権を握ることが必要になる。 (東京証券部 岩田泰)
テイサンの九三年十二月期の経常利益は約二十七億円と九二年十二月期に比べ二%減になった模様だ。プラントの落ち込みから減収となったものの、経費削減と金利負担軽減が寄与し、これまでの予想よりも減益幅が縮小した。
売上高は四%減の五百九十四億円前後になった。鉄鋼、石油化学業界の不振で、酸素、アルゴンは約五%減少、空気分離装置などプラント類も二〇%近く落ち込んだ。米パソコン需要の好調などに支えられ、半導体向け中心に窒素は二—三%伸びた。減価償却費は約四十七億円と八億円近く膨らんだが、経費削減に加え、金利低下で営業外収支も一億円強改善した。
九四年十二月期は、酸素需要が一段と落ち込み、売上高は前期推定比一%減の五百九十億円、経常利益は同七%減の二十五億円程度になる見通しだ。
小野測器は七日、九三年十二月期の業績を下方修正した。主力の自動車メーカー向け回転・速度計測機器が振るわず、経常損益は十六億七千万円の赤字(九二年十二月期は二十四億二千五百万円の赤字)となった模様。三円を予定していた期末配当は見送り、年間では上場来初の無配転落となる。
売上高は前の期に比べ一二%減の百三十三億円強まで落ち込んだようだ。計測機器のほか、電機メーカー向けのプリント基板印刷機も低迷した。設備投資の抑制や関連会社への出向などを通じて人件費削減に努めているが、九四年十二月期も黒字転換は難しいと見られる。
日立機電工業は七日、九四年三月期末に一株を一・二株に分割すると発表した。今期の経常利益は、前期比二一%増の十二億円とこれまでの予想(十億八千万円)を上回る見通しだ。政府の総合経済対策の影響で下水道処理装置の売り上げが好調なほか、合理化効果も寄与しそうだ。同社は九三年十一月に転換社債を発行した。今年三月末までに二〇%強が株式に転換することを前提にして、今回の株式分割で利益配分ルールを満たせるとみている。年七・五円配当は据え置く見通し。
売上高は従来予想を九億円上回り、前期比四%増の二百三十億円になりそう。政府の景気対策で下水道工事が増加したのに伴い、下水道処理関連装置の受注が増えた。原材料費の低下や工場の生産合理化による原価率低減も寄与し、経常利益は五期連続で最高益を更新する見込み。
トーホーの九四年一月期の経常利益は、その前の期より一一%増え、十一億五千万円程度になった模様だ。赤字だった食品小売りが黒字化したことや卸売部門の売り上げ増が寄与した。
売上高は八%増え、七百七十億円前後になったようだ。卸売部門では、ホテル向けの取扱高が伸びたほか、生協などへの冷凍食品や冷凍畜肉の販売が増えた。小売り部門では、品ぞろえを充実する一方、地域に応じた商品供給ができるよう仕入れ方法も変更した。この結果、売上高が増え、前期は同部門が黒字に転換。全体の営業利益も十五億五千万円と一一%増えたとみられる。
九五年一月期は、小売部門の新規出店効果などで売上高は八百億円程度と前期推定比四%増える。経常利益も同四%増の十二億円程度になる見通し。
横河ブリッジの九五年三月期の経常利益は、十八億円程度と今期予想(前期比一三%減の二十四億円)に比べ二五%落ち込む見通しだ。オフィスビル不況で鉄骨部門の採算悪化が背景。二期連続の減益となる。
売上高は今期予想(六百十億円)に比べ一〇%減の五百五十億円にとどまる。オフィスビル建築の不振で鉄骨需要が冷え込んでいるうえ、バブル期に一トン当たり三十万円以上あった鉄骨の受注単価も、二十万円前後まで低下しているからだ。新本社ビルの償却など減価償却費負担が二十一億円と今期と同水準で、減収に伴い固定費負担が重くなり、減益が避けられない。
ジーネットの九五年三月期は、経常損益がトントンに回復する見通しだ。九四年三月期は八億円の赤字になるが、来期は産業廃棄物焼却炉など環境装置の伸びを見込んでいるほか、営業所の統廃合や人員削減など今期に実施した合理化策が寄与し、収益を下支えしそうだ。
九四年三月期の売上高は六百七十億円と前期比一一%落ち込む。電動工具や工作機械などの需要の冷え込みが響く。昨年十一月に営業所を三カ所減らしたほか、期初六百人だった人員を退職者の不補充によって五%減らすなど合理化を実施。環境装置の売り上げが増え始めたこともあり、今下期は営業段階で損益トントンを見込んでいる。
九五年三月期の売上高は七百五十億円と一二%増を見込んでいる。主力の工作機械の急回復は見込めないものの、産業廃棄物焼却炉や集じん装置など環境装置の売り上げ増で補う。営業利益は六億円の黒字の見通しだが、金利負担が重く経常損益はトントンにとどまる。
「これからは民間の宅配便をどんどん利用する」と憤まんやるかたない表情で語るのはニッセンの川島達三社長=写真。一月からの郵便料金値上げに対する怒りが収まらない様子。カタログを発送し注文を受ける通販事業は、発送費用が意外とかかる。同社の場合、前期のカタログの発送費用だけで八十二億円と売上高の八%にも達した。
もっとも、今期も前期に続き二ケタの増収増益を見込んでいる。転換社債発行後の公約配当性向を満たすため、増配か株式分割の可能性も高い。カタログ発送は八割が郵便だったが、「郵便に比べ平均で四割程度宅配便の方が安くなった。今後、八割程度は宅配便の利用に変更する」と、郵便離れでコストを削減、増益を達成する覚悟だ。
前田建設工業
98年満期ユーロドル新株引受権付き社債2億ドル(公募)▽発行予定日=3月3日▽償還期限=98年3月3日(期間4年)
大豊建設
98年満期スイスフラン新株引受権付き社債7000万スイスフラン(私募)▽発行予定日=3月10日▽償還期限=98年3月10日(期間4年)
第2回無担保転換社債50億円▽償還期限=2001年3月30日▽申込日=2月28日—3月9日▽払込日=3月10日
アルインコ
98年満期スイスフラン転換社債の発行条件▽転換価格=1640円
大金製作所
第1回無担保転換社債の発行条件▽転換価格=基準日2月15日
98年満期スイスフラン新株引受権付き社債7000万スイスフラン(私募)▽発行予定日=2月24日▽償還期限=98年2月24日(期間4年)
セザール
98年満期スイスフラン転換社債1億スイスフラン(私募)▽償還期限=98年3月31日▽発行日=2月23日
マツモトキヨシ
第2回無担保転換社債の発行仮条件▽利率=1.2%
日立機電工業
株式分割=3月31日現在の株式1株を1.2株
第1回無担保転換社債の転換価格調整▽調整後価格=1332.50円▽調整日=4月1日
セントラル警備保障
株式分割=2月28日現在の株式1株を1.1株▽効力発生日=4月20日▽配当起算日=3月1日▽分割後の新株式数=1113万2000株
中部積和不動産
98年満期スイスフラン新株引受権付き社債4000万スイスフラン(私募)▽発行予定日=3月3日▽償還期限=98年3月3日(期間4年)
第6回無担保転換社債の発行条件▽転換価格=494円
大豊建設
第1回物上担保付き転換社債=BBBマイナスからBBBに変更▽第2回無担保転換社債=BBB(NIS)
オリンピック
第1回無担保転換社債=BBプラス(NIS)
(会社発表、▲は赤字)
昭和化学工業(4990)
94年3月期末に創立60周年を記念し、2円の記念配当を実施、年間配当は12円(93年3月期比2円増配)となる
小野測器(6858)
93年12月期▽売上高=133億4000万円▽経常損益=▲16億7000万円▽当期損益=▲17億1000万円
93年12月期配当を見送る
日米富士自転車(7304)
94年5月中間期▽当期利益=3億円
94年11月期▽当期利益=1億円
アスクプランニングセンター
(9756)
93年12月期▽売上高=58億600万円▽経常利益=6億7600万円▽当期利益=3億3100万円
岩崎電気(6924)92.117238501802.31.793.117011026▲112——3.094.11予71012001501.9
ダイエーファイナンスは七日、朝日トラベルエージェンシー(東京・品川、瀬戸田秀広代表)株式の保有数が千五百株(発行済み株式数の一五%)から一万株(同一〇〇%)に上昇、子会社になったと発表した。
中央ビルト工業は七日、九六年満期スイスフラン建て転換社債について、九四年三月三十一日時点での残存社債全額を繰り上げ償還すると発表した。
◇円相場は続落し、前週末比五三銭円安・ドル高の一ドル=一〇八円九〇銭で取引を終えた。前週末に米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めに転じたことを受け、銀行などの円売り・ドル買いが優勢となった。十一日に日米首脳会談を控えて一段の円売りには慎重な空気も強く、神経質な取引となった。
◇円は一〇九円一三銭と東京市場では一週間ぶりに一〇九円台を付けて寄り付いた。一時一〇九円一六銭まで下落したが、円売りが一巡した後は、輸出企業の為替予約(先物のドル売り)が入ったこともあって、一〇八円後半に持ち直した。「米国の株式相場の下落でドルは積極的に買いにくい」とみる向きの利食いのドル売りも出た。「減税を抜いた経済対策も可能性としては一つの選択肢だ」とする政府筋の発言などが円買いを誘った面もあった。
◇午後は、銀行などの持ち高調整の取引が中心で、小刻みな売買に終始した。米国の金融引き締めを受けて、円・ドルの三カ月物の直先スプレッド(直物と先物の開き)のドル先安幅は三五銭と、一月五日以来の高水準になった。
◇ドルはドイツマルクに対して急上昇し、一ドル=一・七六マルク前半と九一年八月以来ほぼ二年半ぶりのドル高・マルク安水準を付けた。円は対マルクでは一マルク=六一円後半と、昨年八月二十四日以来の円高・マルク安水準に続伸した。銀行などの損失覚悟の円買い・マルク売りが広がった。
・株式相場は反落。増減税を巡る政局の動きやニューヨーク株式相場の展開を見極めたいとのムードが強く、手控えられた。外国人の買いも細った
・円相場は続落し、前週末比五三銭円安・ドル高の一ドル=一〇八円九〇銭で取引を終えた。米国の金融引き締めを受けて、銀行などの円売り・ドル買いが優勢となった
・債券相場は反発。限月交代を控えて先物三月物に投資家のヘッジ売り解消とみられる買いが入り、午後に上昇した。市場全般に様子見気分が強く、売買は低調
・無担保コール翌日物の中心金利は前週末に比べ約〇・〇三%高い二・二五%。譲渡性預金(CD)市場では一カ月物の発行が多かった
◇日経平均は反落。増減税を巡る連立与党の話し合いを見極めたいというムードが強く、売り買いとも手控えられた。証券会社の自己売買部門は、政局の混乱で買い持ちを避け、売りを先行させた。個人投資家が値動きの軽い材料株を物色したのが目に付いた程度。公的資金もわずかながら買ったようだが、後場は見送り気分が一段と強まった。大引けにかけては裁定取引に伴う売りが出たものの、日経平均はかろうじて二万円の大台を保った。
◇ニューヨーク・ダウ平均が史上八番目の下げになったのを受けた月曜にしては「底堅い展開」(野村)という見方が多い。香港やタイ、シンガポールの株価が急落したのに比べ、日本株の下落率が小幅にとどまったからだ。外国人買いは細ったが、「ニューヨーク株が短期間に急落しない限り米国からの資金は今後も日本に向かう」との期待もある。
◇JR東日本などの主力株も安い。ドレスナーやベアリングからそれぞれ八百株近い売りが出たのが目についた。ドレスナーでは「外国人、国内法人などの売り」と説明していた。一方、二千株近い買い注文を出した野村は「外国人は継続的に買っている。売り越し基調にはなっていない」と強調。日米首脳会談を控え、円高圧力がかかるようだと「為替差益狙いもあり、流動性の高いJR東日本に海外の資金は向かう」(大和)という声も。
◇日産自が下げた。朝方にまとまった売りが出て一時十八円安まで下げた。リーマン・ブラザーズやモルガン・スタンレーなどは買ったが、国内の証券会社は自己勘定の買いを整理したようだ。米国日産がミニバンのリコール(回収・無料修理)で二百億円以上の費用負担になることが先週末に明らかになったのを嫌気した。
◇値動きの軽い銘柄が買われた。その代表は太陽電。売買高は第四位に入り、先週末に続いて昨年来高値を更新した。市場では「十二月の電子部品の受注好調」をはやしている。朝方は日興を経由して金融法人からと見られるまとまった売りが出たが、幅広い買いで吸収した。「値幅取りを狙った個人投資家の買いが中心」(岡三)という。
◇イハラケミ、クミアイ化がともに値を飛ばした。先週末から買いが多い立花では「両社が共同で開発した二つの新薬がチバガイギ、デュポンを通じて販売される見込み。両社にとって久々の大型新薬」と説明、参考銘柄として取り上げている。日興では「出遅れ株物色の一環。個人投資家の資金が中心で、逃げ足は速い」と見ていた。
◇株式先物 日経平均三月物は反落。先週末の米国の金融引き締めでニューヨーク株とシカゴ先物相場が急落したのを受けて、朝方から売り先行の展開だった。ただ、現物株に外国人買いが継続して入ったことなどから、二万円近辺まで下げると売り方の買い戻しも入った。「増減税問題や七日のニューヨーク市場を見極めたい」との声が多く、全般に模様眺め気分が強い展開だった。TOPIX三月物も反落した。
◇債券相場は反発。米国が金融引き締めに転じたことで売りが先行して始まったものの、午後には先物主導で上昇した。「相場下落リスクを回避(ヘッジ)するために三月物を売り立てていた投資家の一部が中心限月の交代を控えて買い戻しに回った」(大手証券)とみられる。銀行や証券会社のディーラーの損失覚悟の買い戻しも加わり、一時一一四円一銭まで上昇した。ただ、市場全般に様子見気分が強く、先物中心限月の売買高は四兆二千億円弱と低水準だった。
◇先物に比べ現物債の上昇力は鈍い。政局の先行き不透明感から投資家の目立った買いはなかった。五年物の利付金融債は引き続きディーラーの買い戻し意欲が強い。城南信用金庫が短期プライムレート(最優遇貸出金利)の引き下げを発表したこともあって、「利下げの思惑から償還期間の短い債券中心に買いが入った」(準大手証券)との声も聞かれた。
◇譲渡性預金(CD)市場では一カ月物の発行が目立った。上位都銀を中心に二千億円程度の発行があり、投資信託会社などが購入した。発行金利は前週末と同水準の二・二五%。CD三カ月物は都銀が前週末と同水準の二・二〇%で発行を希望したが、「三カ月物は二・二三%程度まで上昇する」(三菱信託銀行)とみる向きが多く、買い手はいなかった。
◇無担保コール翌日物の中心金利は前週末比約〇・〇三%高い二・二五%となった。日銀はやや多めの資金供給を続けたが、準備預金の積みペースが遅れ気味の上位都銀一行が日銀のオペレーション前から金利を引き上げて調達に動いた。
◇ユーロ円金利先物相場は小動き。中心限月の九四年九月物の清算値は同〇・〇一低い九七・八五(金利ベースで二・一五%)となった。総売買高は九万千五百七十七枚(一枚=一億円)と今年に入り二番目の低水準だった。
◇転換社債 CB・Q平均は小反落した。「株安に加え、週初ということもあり、機関投資家や外国人の動きは鈍い」(野村)。三菱石(1)が小安い。この日の終値でみたかい離率は一・五五%と低く、株価との連動性が強い。新規上場のテンアライド(1)は百十円の初値をつけ、その後じり高。
◇金は反落した。為替の円安・ドル高を支えに続伸して始まったものの、ディーラー間ドル建て相場が米国勢の売り物に押されて一トロイオンス三八三ドル台まで下落し、東工取でも売り姿勢が強まった。後場はドル建て相場の動きをにらんだ裁定取引が活発になり、売買高は八万五千枚強まで膨らんだ。東工取の七日の金スプレッド参考利回り(年率)は三・六六三—一・三五二%だった。
◇後場に入ると白金(プラチナ)、銀にも売り物が増え、貴金属はパラジウムを除き軒並み安となった。市場には米国の金融引き締めが米株価の下落を通じて商品市場への資金シフト拡大につながるとの読みもあるが、とりあえずはドル建て相場の動向を見極めたいという向きが多かった。
◇国際商品の中で勢いを見せたのがタイなど東南アジアの産地の減産により上昇基調を強めている天然ゴムで、東京、神戸市場ともに大幅続伸。東京では全限月が一代の高値を更新し、出来高も過去最高を更新した。産地の供給量は急速に細り、対日オファー価格の急騰を材料に買い進む向きが目立った。
◇繊維は綿糸が続伸した。前週末の米国市場で供給不足を背景に綿花が上昇し、国内市場でも買いが集まった。中でも四〇単は前月の納会受け渡しの数量が少ないなど品薄感が強いため、期近が急騰した。繭糸も前週末の地合いを引き継いで続伸。生糸は糸価対策を維持するとの農水省の発言を手掛かりにした売り方の手じまい買いが膨らみ、横浜、神戸とも軒並みストップ高を付けた。
年初からあらしのような外国人買いの中で、日本の株価は大方の予想を裏切って上昇してきた。慎重派を決め込んでいた日本の機関投資家も決算期末を控えてここは相乗りしなければ、と考え始めている。相場の先行きを占う能力はないが、もうひとつ海外の投資家のシナリオに素直にうなずく気になれない。
「世界の株高で日本株の資産配分比率が低くなった」「合理化でわずかな売り上げの伸びで大幅増益になる体質になった」などが外国人買いの根拠だという。「出遅れ感」や「テーマ性」といった懐かしい言葉も市場で行き交い、久々の活況である。
仮に海外の投資家の言う通りだとしても、果たして百倍という株価収益率は正当化されるのだろうか。かつて日本の異常な高株価が正当化されたのは、永遠の右肩上がりの経済成長の神話と企業のバランスシートに表れない膨大な含み資産だった。しかし、その二つの条件とも今はない。
だとすれば日本の市場に求められているのは欧米並みのROE(株主資本利益率)に基づく市場の規律と新たなコーポレート・ガバナンス(企業統治)の確立だったはずだ。企業統治という意味では社外監査役制度や株主代表訴訟等が導入され、一定の枠組みが出来つつあるが、それが市場の規律と結び付かなくては単に新聞の社会面をにぎわす程度のことになりかねない。
米国では市場の規律は株主が株を売るという形で守られ、その究極の姿として敵対的買収が横行した。行き過ぎの反省から九〇年代は公的年金を中心に株主権を行使し、リストラを迫ったり、経営者の首をすげ替えたりする形に変わった。日本はまだ売るという行為すら躊躇(ちゅうちょ)している段階だ。
コーポレート・ガバナンスの確立は株式市場だけの問題ではない。規制緩和は当面の不況からの脱出のみならず、中長期的に日本経済が活力を取り戻すために必須(ひっす)である。しかし、長年官民一体の中でしか行動してこなかった日本企業から規制や指導を外したらどうなるか。
バブルの時代のように資本のムダ遣いをしたり、より陰湿な形での官民癒着がはびこらない保証はない。自由化の名のもとにますます官の締めつけが厳しくなっている金融界の現状をみるとその懸念は強まる。規制緩和とコーポレート・ガバナンスの確立は表裏一体である。
厳しい競争にさらされる運用者にとって米国の過剰流動性相場に乗って、ひと稼ぎすることも重要ではあるが、本質を忘れないでほしい。ツケは結局より大きくなって自分に返ってくる。(翔)
◇大証では国際試薬が個人投資家中心の買いを集め、前週末比八十円高の千百八十円まで上昇、この日の高値で引けた。C型肝炎診断用試薬などの好調が続き、九四年十二月期も経常増益が見込まれるため「業績の裏付けのある出遅れ株として見直された」(日興)という。
◇新家工が下げた。二日には四百六十九円まで上昇、昨年十一月の安値三百三十円から四二%強上げたことで、利食い売りが続いている。今三月期は四六%の経常減益が予想され、業績面からは手掛けづらい。信用の買い残高も高水準で、目先は調整が続く可能性が強そうだ。
◇第二部 東証二部は四日続落。神田通が前週末比五十五円高の八百九十五円をつけ、昨年来高値を更新した。日本電信電話向けコードレス電話を手がけており、情報通信・マルチメディア関連として個人投資家の人気を集めた。今三月期の経常利益は三億五千万円と前期並みを確保する見通しで、業績の安定性も評価されているようだ。
◇店頭 日経店頭平均は反落。プロルートは比例配分により千二百十円で値がつき、二万二千株の買い注文を残した。国際流通グループ、ヤオハンが二日に同社株の三〇%を取得すると発表したのをきっかけに、二日間買い気配を切り上げた。「業務提携による収益の寄与は未知数。この水準からは買いにくい」(水戸)との声が多い。
◇アイジーエスが値幅制限いっぱいの千七十円まで上昇した。「個人投資家がマルチメディア絡みでソフトウエア関連銘柄を循環物色している」(山一)。九四年十二月期は人員削減など合理化効果で経常黒字転換が見込まれるが、「割高感は否めない」と見る向きもある。
◇日経平均オプション 現物株安を受けて二月物はコールが軒並み安くなった。権利行使価格二万円のコールの商いが膨らんだ。一方、現物指数が二万円の大台を割り込まなかったため、プットを買う動きはあまり見られず、売買の中心である同二万円のプットは小安くなった。
国際投信のストック・システム・オープン(第五期) ▽一口当たり税込み分配金=七十九円(特別分配金なし)▽支払開始日=二月十四日
日興投信のスーパーセレクション (ファンド名、一万口当たり税込み分配金) 日本株パッシブポートフォリオ第六期(十円=特別分配金一円)、日本株アクティブポートフォリオ第六期(三十円)、日本CBポートフォリオ第六期(百円)、セレクションマネーポートフォリオ第六期(百十円)、グローバルボンドポートフォリオ第四期(百五十円)、アジア株ポートフォリオ第一期(四百円)、香港株ポートフォリオ第一期(七百円=同二百円)▽支払開始日=二月十四日
東証など八証券取引所、信用取引の買い方金利を引き下げ 弁済期限三カ月=年利三・一%(現行三・四%)、弁済期限六カ月=同三・四%(同三・七%)。売り方金利はすでにゼロ。八日売買分(既存のものは十四日)から実施。
日証金、大証金、中証金、貸借取引の融資金利を引き下げ 三カ月期限分=年利二・五五%(現行二・八五%)、六カ月期限分=同二・六五%(同二・九五%)。貸株代わり金金利はすでにゼロ。八日約定分から実施。
◇日経平均先物・SIMEX 下落。米金融引き締めに加え、日本の政局に対する不透明感が強いことから、様子見気分が広がった。午後に入り閑散な商状が続いた。 (シンガポール支局)
東証、証券会社別の裁定残を売買別に公表 東京証券取引所は七日、日経平均先物と東証株価指数(TOPIX)先物との裁定取引に伴う現物株の証券会社別売買高を日々は十六日(十四日取引分)、週間は二十三日(十四—十八日取引分)から、売り買いに分けて公表すると発表した。対象となる証券会社は売買高上位十五社。
新規上場=転換社債〔東証・大証〕川田工(4)は八日
大阪証券取引所の日経株価指数三〇〇先物・オプション取引が十四日からスタートする。日経平均株価、東証総合株価指数(TOPIX)に続く三番目の上場となるが、日経三〇〇は機関投資家の運用資産に近い銘柄で構成されているだけに、株式投資の指標になる可能性がある。新しい株価指数先物などの上場を展望した。
日興証券が七日開いた「日経三〇〇セミナー」には約二百人の運用担当者が出席、関心の高さをうかがわせた。野村証券でも一月から十回程度、説明会を開いた。大和証券では小冊子を当初二千部作製する予定だったが、急きょ五千部に増刷した。「都市銀行、信託銀行、生命保険だけでなく地方金融機関などからの問い合わせも多い」(株式先物オプション部)と説明する。
生命保険協会がまとめた国内に本店を置く生保二十七社の九三年三月末時点の投融資状況によると、株式投資の業種別構成比は金融・保険が最も高く二四・五%だった。金融・保険の比率は日経三〇〇が二五・二%で、TOPIXの二六・二%、日経平均の一〇・四%に比べ、機関投資家のポートフォリオ(運用資産構成)との類似性が高い。
このため多くの機関投資家は、「政策投資が多い銀行は現物株を売りにくいので相場下落が予想される時のヘッジに有効」(住友銀行)、「日経三〇〇は流動性の高い銘柄で構成されているため、指数連動型のポートフォリオを組みやすい」(大同生命)と活用に前向きだ。
新先物導入に合わせて、大証と東証は十四日から先物取引を一時中断するサーキットブレーカー制度を設ける。先物の急激な変動で現物相場が大きな影響を受けるのを抑制する措置だ。
先物の価格が一日の値幅制限の三分の二を超えて変動し、かつ制限値幅の五分の一の値幅を超えて理論価格からかい離した時、先物取引を十五分間停止させる。合わせて値幅制限を現在の三%程度から五%程度に拡大する。七日終値の日経三〇〇(二九五・二一ポイント)で計算すると、制限値幅は一五ポイント。一〇ポイントを超えて変動し、理論価格から三ポイントを超えて上下すると取引が中断される。
しかし、これらの措置には批判の声もある。「値幅制限を残したうえにサーキットブレーカーを導入することは、先物市場の価格機能を必要以上に損なう懸念がある」(蝋山昌一・阪大教授)。
米国では八七年秋の株価暴落の教訓からニューヨーク証券取引所、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が先物、現物の連鎖安を食い止めるルールを導入した。S&P五〇〇先物の価格が前日比で一二ポイント下がった時点で、プログラム売買に伴う成り行き注文の執行を五分間遅らせ、個人投資家からの小口注文を優先させるなどの措置を設けた。
一方、日本でサーキットブレーカーが発動された場合、投資家の注文は現物市場に集中し、逆に現物株の変動を大きくする心配がある。新先物が「株式市場の発展に寄与する」(日高壮平・大蔵省証券局長)ためには、「先物だけを止めれば現物株の下落を抑えられる」という従来の発想を見直す必要がありそうだ。
日経株価指数三〇〇は、東京証券取引所第一部に上場している企業のうち各業種を代表する三百銘柄を取り出し、時価総額に基づき加重平均したうえで指数として算出する。二百二十五銘柄の株価を単純平均して指数を算出する日経平均が市場全体の株価水準、変動をつかむのに適しているのに対し、日経三〇〇は市場全体の資産価値の変化をとらえるのに有効。過去のデータを見ると、同じ加重平均方式の指数であるTOPIXとほぼ連動して動く。ただ、日経三〇〇は値付き率の低い銘柄を排除しているため、全銘柄を対象にするTOPIXよりも値動きがいい。
二月発行の政府保証債と公募地方債の販売は順調に進んでいる。一月中旬以降の債券相場の急落を受けて、表面利率が一月債に比べ政保債で〇・六%、地方債で〇・五%引き上げられ、ともに四・〇%になったことが好感された。来年度にかけて政保債、地方債とも増発が見込まれるが、利回りが四%前後の水準では中長期的な保有を前提とする買いが着実に入っているため、「表面利率が四%以上なら今後も消化に大きな不安はない」(銀行系証券)との見方が多い。
七日の債券市場で二月発行の政保債(公営企業債)は利回りが四・〇一%程度、地方債(東京都債)は四・〇六%程度で取引された。二月債を購入したのは生命保険会社や信託銀行など大手機関投資家や、農林系金融機関など地方の中小金融機関。
機関投資家の間では「生命保険の予定利率(最低保証利回り)が三・七五%に下がるので、新規資金の見合いだと、額面発行で表面利率が四%なら中長期的に保有できる水準に近づいてきた」(大手生保)との声が多い。「決算期末を控えて、株式や外債などの益出しに伴う入れ替え売買の受け皿にもなっている」(大手証券)。
政保債、地方債を大量に引き受けた地銀が市場で売却する動きは見られるが、「値ざや稼ぎではなく長期保有を前提に機関投資家が購入したため、市場では需給がひっ迫し、取引が成立しにくい状況が続いている」(上位都銀)という。
輸出企業が小口ながら為替予約(先物のドル売り)に動き始めている。十一日に日米首脳会談を控えて、「米政府高官の発言次第では円高が進む可能性がある」とみているためだ。ただ、本格的な予約は一ドル=一一二円程度で進める方針の企業が多く、円反落待ちの基本的な姿勢は崩していない。
円が一ドル=一〇九円台に続落した七日の東京市場では、輸出企業が小口の為替予約を入れた。「先週末のニューヨーク市場では一〇九円半ばでのドル売り注文が多かった」(上位都銀)との声も聞かれた。
輸出企業がドル売りに動き始めているのは、日米包括経済協議の難航を背景に、「米国が政治的な円高圧力をかけてくる公算がある」と予想しているからだ。七日に為替予約を見送ったシチズン時計などは「一一〇円近辺では予約を入れたい」としている。
ただ、大口の為替予約を持ち込む構えの企業は見当たらない。予約が例年のペースで進んでいるためだ。キヤノンは「目先は五、六月分を若干進める程度。予約の遅れはない」という。米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めに転じたため、「円相場が軟化する可能性が出てきた」との指摘も聞かれ、多くの企業は「一一二円程度までは本格的な予約は控える」(TDK)との方針だ。
大蔵省は今週半ばにも四年物中期国債の価格競争入札を実施する見通しだ。債券相場が調整局面に入ったため表面利率は大幅に引き上げられるが、国債などの供給増加懸念が強く、「投資家の引き合いは期待しにくい」(上位都銀)との声が多い。入札が低調に終われば、債券相場の上値は一段と重くなるとの声も聞かれる。
新発債の表面利率を決める際の参考になる二十六回債(表面利率二・二%)の利回りは七日、二・八%台後半で推移した。このため「現状の相場水準から判断すると、新発債の利率は二・八—二・九%程度が妥当」(大手証券)との見方が有力だ。
利率の大幅引き上げにもかかわらず、応札に慎重な市場関係者が目立つのは、需給悪化に対する警戒感が強まっているためだ。株式相場の堅調な推移を背景に公定歩合の早期引き下げ観測が薄らいでいることも「中期債全般への買い意欲を弱めている」という。今回の入札で一月に続いて平均落札価格が額面(一〇〇円)を下回るようだと、「債券相場全体の足を引っ張りかねない」との指摘も多い。
都銀の二月に満期を迎える譲渡性預金(CD)は八兆五千六百億円程度と一月に続き高水準となる見通しだ。短期金利の先行きの見方が分かれ、一月のCD取引が期間の短い一カ月物に集中したためだ。都銀の三月決算期末を越える資金の調達圧力が強いだけに、「需給面から長めの短期金利は下がりにくい」とみる向きも多い。
二月の都銀の満期を迎えるCDは一月をやや下回るが、過去四番目の高水準。一月末の都銀全体のCD残高(速報ベース)は十五兆五千四百億円だったが、この半分以上が二月に満期を迎えることになる。上位都銀のなかには二月中の満期額がCD残高の七割近くに達しているところもある。
一月に入って株式相場が回復基調を強めたのをきっかけに、短期市場で強まっていた公定歩合の早期引き下げ観測が後退、三カ月物など長めの短期金利は反発した。投資信託会社などCDの買い手の間には長めの短期金利がどの程度の水準で落ち着くか見極めようとして、翌日物金利とほぼ同水準の一カ月物で継続運用しようとする動きが強かった。
短期市場では、金利先安観の後退を映し期間が長くなるほど金利が低くなる「逆イールド」状態が解消しつつある。このため、ここへきて都銀などCDを発行する金融機関は三月末越え資金調達に動き始め、五月の連休を越える長めの期間のCD発行が増えている。市場では「都銀が三月末越えの資金調達を急げば、長めの短期金利は下げ渋る」との見方が多い。
日銀は七日、二週間物を対象に手形買いオペを入札方式で実施した。期間は八日から二十三日まで。買い入れ予定額三千億円に対して九千億円の応札があり、落札額は三千億円だった。最低落札金利は二・一八七五%。
債券の売買を仲介している日本相互証券の一月の米国債売買高は前月比三五%減の三億三千万ドルにとどまった。米国の景気回復が鮮明になっていることを背景に米国債相場の調整局面が続いたため、証券会社が値ざや稼ぎの売買を手控えた。
公定歩合に先行して短期プライムレート(最優遇貸出金利)を変更することで知られる城南信用金庫は七日に短プラ下げを発表したが、「今回は公定歩合引き下げの先行指標となるか疑問」と市場関係者は首をかしげる。
日銀が九一年七月から七回利下げしたうち五回は、城南信金が短プラを引き下げてから半月以内に日銀が利下げに踏み切っている。しかし、城南信金は今回、短プラ下げと同時に「金融政策を伴わない総合経済対策などありえず、早急に利下げすべき」と日銀に利下げを求めており、市場では「先行指標としての神通力は弱い」との声がもっぱらだ。
《海外金利》七日の豪州国債十年物(表面利率九・五%)の利回りは六・五九%。
合板素材となる南洋材丸太は内外市場で底入れ感が強まっている。日本の南洋材輸入の四分の一を占めるパプアニューギニアで輸出を巡る混乱が生じ、船積み作業が停滞していることが主因。主産地のマレーシアでも雨期に伴い流通量が落ち込み、対日価格を引き上げる動きが盛ん。南洋材市況の好転により、住宅建築向けが主用途の輸入木材は全面高になった。
主力のマレーシア・サラワク州産丸太は産地業者が二月積み対日オファー価格(標準材、FOB=本船渡し)を前月積みに比べ一〇—二〇ドル(六・五%)引き上げ、一立方メートル当たり二四〇—二五〇ドルとした。産地の値上げは十カ月ぶりだが、日本商社側は現在「上げ幅を最小に抑える」方向で交渉中。ただ国内の商社売値は為替要因で既に一ブレレトン石(約〇・二八立方メートル)九千円前後(東京)と前月比百五十円上昇している。
産地業者が強気に転じた背景にはパプアニューギニアの輸出混乱がある。パプア政府が安すぎる木材価格に輸出許可を与えず、十二月積みで送った船が各地の港で滞船中。例年より降雨が多く出材量が落ち込んでいるうえ、政府の輸出政策に不明な点も多く、船積み作業が正常化するメドはたっていない。
マレーシア・サラワク州でも流通量の落ち込みが顕著だ。「昨年後半の輸出価格の急落で伐採業者の生産意欲が弱く、旧正月(二月十日)明けまで作業を手控える向きが多い」(商社)という。輸出港に集まる丸太の数量も少なく、パプア産との品質格差を見ながら値上げを提示する業者が目立つ。
サラワク州は九四年の丸太伐採量を公式発表していないが、「国内消費を優先して輸出枠を減らす」との観測が強く、対日価格上昇の一因となっている。
クボタ、三菱樹脂などが打ち出した水道用塩化ビニール管の二〇—二四%値上げの交渉が難航している。規格変更に伴うコスト上昇が理由だが、大口需要家の地方公共団体が受け入れに難色を示しているほか、一般の流通市場では拡販競争が響いて逆に卸価格が下がっている。メーカー各社は上げ幅を縮小して二月下旬から再交渉する考えだが、流通段階で安売りが激化しているだけに浸透するかどうかは流動的だ。
メーカー各社は水道管の材質規格変更に伴う新規設備投資や原料コスト増などを理由に昨年十二月出荷分から水道管の値上げを打ち出した。上げ幅は指標の直径十三ミリ、長さ四メートルの製品で一本当たり四十—六十円。好調な民間住宅着工を映し水道用塩ビ管の荷動きも堅調だが、末端での安売り競争で卸価格は逆に下落しており、「一次問屋はメーカーの値上げを転嫁できないでいる」(大手メーカー)。 大口径の上水道施設用の分野では地方公共団体が原料の塩ビ樹脂の値下がりなどを材料に値上げ受け入れに難色を示している。地方自治体は九三年度の資材購入予算がすでに決まっているため新価格での購入が難しいほか、「発注量が大きい官公需は、設備工事会社が旧価格で受注してそのまま工事に入ってしまう」(一次問屋)ケースも増えている。
メーカー各社は上げ幅を当初の半分前後に圧縮し、今月の二十一日出荷分から値上げを進めていく見通し。しかし流通段階では多少安く売っても量をさばいたほうが得策との空気が強く、主力品種を中心に卸値がこの二カ月で五%程度下がっている。政局混迷で新年度の予算成立が遅れるようだと需要が伸び悩むとみて、売り急ぎが増えるとみられ、値上げ浸透が一段と遅れる公算も出ている。
規制緩和の一環として今年四月から導入される携帯電話の売り切り制度をきっかけに、電子部品業界が需要ラッシュに沸いている。携帯電話市場に参入するメーカーが相次ぎ、部品の手当てを増やしているためだ。ただ需要の活況とは裏腹に、廉売設定でシェア拡大を目指す電話機各社が部品の大幅値下げを要求。部品メーカーは採算ラインぎりぎりの生産を続けている。今後の価格動向次第で、部品メーカーは「利益なき繁忙」に追い込まれる公算も大きい。
「水晶発振器の不足で携帯電話を計画通り作れない。もう少し供給を増やしてもらえないか」。昨年暮れ、水晶製品の大手メーカー、東洋通信機を携帯電話メーカーの社長が訪れた。資材の買い付けに経営トップが直々に出向き、頭を下げるのは極めて異例。こうしたトップレベルでの資材購入の動きは今年に入っても続いており、電子部品需要の過熱ぶりを物語る。
一台の携帯電話には水晶製品が少なくとも三個必要。主力の水晶発振器は電話機メーカーによっては必要量の三〇%程度しか手当てできないうえ、納期遅れも深刻で、部品需給は著しいひっ迫状態に陥っている。
こうした事態の引き金になったのは、四月以降、国内の携帯電話が従来のレンタル制から売り切り制に変わること。現行では携帯電話を使いたい人はNTT移動通信網(東京・港)などに申し込み、携帯電話機の使用契約を結ぶ形になっている。四月からはこのレンタル制が廃止され、携帯電話機を小売店でも買える。制度見直しとともに今までNEC、三菱電機など一部メーカーが占めていた携帯電話機市場へ他社も自由に製造・販売ができるようになる。
携帯電話の国内市場規模は現在約二百万台。七九年にサービスを始めて以来、順調に伸びてきた。NTTなどの予想では二〇〇〇年には現在の約五倍の一千万台に拡大する模様。売り切り制導入を機に、この有望な携帯電話市場への参入が相次いでいる。シャープが参入を決めたほか、三洋電機も準備に入るなど今後は約四十社以上のメーカーが市場にひしめく見通しだ。
部品メーカーも増産態勢に入っている。富士通は移動体通信機向け半導体を発売した。販売目標は月百万個。一世代前の同社の通信機向け半導体に比べ約三倍の需要を見込んでいる。東洋通信機は現在の月産十万個の水晶発振器の生産量を四月をメドに約二倍の同二十万個に増強する方針。大真空、明電舎など他社も設備投資に踏み切る。
しかし、おう盛な需要の一方で部品メーカーには思わぬ逆風も吹き始めた。携帯電話の普及には低廉な価格設定が不可欠だ。現在の生産コストからみて一台十万円程度になりそうだが、この値段では消費者の購買意欲をあおるのは難しい。ある携帯電話機メーカーは向こう一年でコードレスホン並みの同五万円に引き下げたい考えだ。
最終製品価格の値下げはそのまま部品の値下げ圧力となって跳ね返ってくる。「携帯電話メーカーはマイコンなどに法外な値引きを突き付けてきている」と、松下電子工業の営業担当者は困惑した表情で語る。
主要部品の水晶発振器は現在、一個二千円程度とみられる。だが、この水準は水晶製品メーカーにとって「操業維持にぎりぎりの価格ライン」だ。メーカーは値上げをしたいところだが、再び需給が緩和した時にその反動でシェアを失う恐れもあり、簡単に打ち出せない。内需拡大の陰で急速に風圧を強める値下げ要求に、電子部品メーカーの憂うつは募る。
(東京商品部 井上達也)
アクリル短繊維のイラン向け輸出が急増、輸出価格も年明け後着実に上昇している。合繊の中ではポリエステル短繊維の中国向け輸出が同国の綿花不足を映して好調だが、中国と並ぶ大輸入国、イランの復調でアクリルの国内需給も急速に引き締まり、ポリエステルに続いて底入れ感が広がってきた。
輸出成約が目立って増えてきたのは九三年十月以降。十一月の輸出実績は前年同月実績の約六倍にあたる千八百二トンに達した。十二月以降も好調を維持し、当面前年の三倍の月間二千トンペースの輸出が続くとの見方が支配的だ。輸出価格も年明け以降上昇に転じ、現在一キロ一・八ドル(C&F)とこの一カ月で一〇セント(六%)高くなった。
イランは輸入アクリルをカーペットや毛布、衣料素材として利用している。輸出商社によると、日本の対イラン輸出は原油価格の低迷による外貨不足が障害となって激減していたが、窓口の国内商社がイラン産原油の輸入代金と相殺する形の輸出契約を採用し始めたことによって輸出が復活した。特にカーペット向けの伸びが目立つという。
アクリル短繊維輸出は綿花の代替需要が膨らんでいる中国向けも好調で、輸出が国内市場の需要不振を穴埋めしている。前年同期に比べ一六%安い一キロ二百四十円中心で推移してきた国内の市中価格(大阪・紡績入り)も底堅くなってきた。
東京原油スポット市場の中東産ドバイ原油は値下がりし、取引の中心である三月渡しは前週末比〇・二二五ドル安の一バーレル一三・一二五ドル(中心値)となった。
主要建築鋼材の異形棒鋼の大口需要家渡し価格が大阪市場で一月中旬以降下がり続けている。ベースサイズ(一九ミリ)は現在一トン三万六千円中心とこの三週間に千—二千円下がった。最大手の東京製鉄の値上げをきっかけに九三年秋から一時下げ止まっていたが、大手ゼネコン向けを中心とする荷動きの停滞が響き、需要家の値下げ要求に流通業者が押し切られている。
マンションなど中小物件向けの引き合いは比較的好調だが、「大口の注文は途絶えたまま」(商社)で、流通業者が受注残の減少に焦りを強め、売り急ぎ始めた。
昨年十一月契約分以降、合計三千円の値上げを打ち出した東鉄の月産量は受注減を映して減少している。昨年前半の同十三万トン前後から、最近は同十万トン以下に落ちたとみられるが、需給改善効果は乏しい。東鉄の減産を穴埋めする格好で「関西地区のメーカーが減産体制を緩めている」(専門問屋)ためで、市場ではなお余剰感が強い。
日本酸化チタン工業会(東京・千代田)がまとめた九三年の酸化チタン出荷量(輸出含む)は二十四万三千七百トンと前年を八・三%下回った。前年実績割れは三年連続で、ピークの九〇年に比べると一三・六%の減少。主力の塗料向けが国内景気低迷の影響を受けて前年比約一四%減と大幅に落ち込んだうえ、インキ顔料、樹脂、紙向けも前年実績を下回った。一方、輸出も主力のアジア向けが振るわず、前年比六・六%減。
指輪、ネックレス、ブレスレットといった貴金属(金、銀、プラチナ)宝飾品の生産量が落ち込んでいる。大蔵省造幣局がまとめた貴金属製品検定依頼(ホールマーク)状況によると、九三年十二月の検定依頼数は三十七万六千個と前年同月比一〇・七%減少し、四カ月連続でマイナスを記録した。九三年通年では五百六十六万六千個と前年比四・七%の減少となった。個人消費の不振、流通在庫の増加が響いた。
日々の金価格に関係なく一定額の金を買い付ける貯蓄商品、純金積立の口座数が伸びている。金の販売促進機関、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると九三年の口座数は三十八万口座と前年比四万口座増加した。九三年はリテール(小口金融)部門強化をねらって横浜、広島銀行など地銀七行が取り扱いを開始したほか、国際金価格の上昇で関心が集まったこともあって、「十月以降に口座数が急増した」(WGC)。
緊急輸入米のうち米国カリフォルニア産米の政府売却がきょうスタートするが、東京、大阪の自由米(不正規流通米)市場では七日、コシヒカリなど国産銘柄米の取引価格が一段と上昇した。新潟産コシヒカリは六十キロ四万円台に乗せ、年初に比べて二〇%高となっている。輸入米で国産米の不足分を補う政府方針に対し、正規ルートを含む販売業者は「国産米志向」を強める消費者ニーズに対応しようと自由米市場で手当てに動いており、品不足感は一向に解消していない。自由米の急騰で国産米の小売価格が再び上昇する懸念も出てきた。
自由米の取引価格は年初から上昇基調に転じ、七日現在、新潟産コシヒカリで六十キロ四万—四万二千五百円と前週比五百—千円上がった。流通経費を上乗せして小売価格に換算すると十キロ一万円という高値になる。価格上昇ピッチが速まる前の年初と比較すると約七千円高く、前年同期(九二年産米)の一・五倍に高騰している。
三月以降、自由米を除いた正規のコメ流通ルートでは外国産米の流通比率が約七〇%に達する。主力と見込まれる中国産米の輸入計画が不透明で、「調達遅れでコメ供給計画に支障が出たり、供給余力があるタイ産長粒種の輸入が急増する」との見方もある。このため自由米市場では「粘りのないタイ産とのブレンド用や“純国産”の品ぞろえを増やすため、コシヒカリなど国産高級米の人気が高まっている」(自由米業者)という。
自由米の値上がりで卸売、小売会社など販売業者の仕入れコストは上がる一方。「緊急輸入米のうちタイ産は販売不振が予想され、政府売却価格を下回る値段で投げ売りせざるを得ない」というところも多い。小売店の間では採算悪化を食い止めようと、昨秋以降、引き上げてきた国産米の小売価格を十キロ数百円の幅でさらに上げようとする動きも出ている。
市場関係者は「中旬にも店頭に並ぶ外国産米の売れ行きによって自由米価格が上下することになる」とみている。「高値は今月いっぱいで終わりその後急落する」という弱気派と、「新潟産コシヒカリで五万五千円まで値上がりする」という強気派で見方が分かれている。
自由米価格は戦後最悪の凶作でコメ不足が深刻となった昨秋以降、急ピッチで上昇した。政府の緊急輸入決定で年末にかけて高騰が一服したものの、販売業者が国産米の在庫手当てを増やし始めた年明けから再び騰勢が強まっている。
〔第二銀行の破たん〕英国で起きた金融危機に対する政策支援に「ライフ・ボート(救命艇)」と呼ばれる対策がある。
英国では、七〇年代から金融自由化が段階的に進み、その過程で不動産ブームとその崩壊による金融システムの不安定化が二度起きている。この二回の金融危機に対し、イングランド銀行主導の公的資金が導入された。
第一回目は、第二銀行(セカンダリー・バンク、日本のノンバンクに相当。預金受け入れ機能がある点が異なる)の経営危機とそれへの対策である。七〇年代初め、政府の景気刺激策(金融・財政)によって企業や個人の借り入れ需要が高まる中、七一年九月から銀行貸し出し規制の廃止など新金融調節方式が実施された。
これは銀行の貸し出し意欲を高めた。特に預金の受け入れが認められているのに中央銀行の監督が及ばない第二銀行は、折からの不動産ブームに乗って不動産関連貸し出しを積極化した。その資金として、手形交換所加盟銀行などで構成される伝統的な金融市場の外で拡大した市場(並行市場)から短期資金を積極的に取り入れた。
七一—七三年にかけて、不動産価格は二、三倍に急騰したが、この間の不動産関連貸し出し増加分の大半はこの第二銀行によるものと言われる。
しかし、インフレを警戒した金融引き締めや預金量取り入れ規制(コルセット規制)で、不動産ブームは終息。第二銀行から多額の借り入れを行っていた不動産関連企業の業績は急速に悪化した。
その一方で、第二銀行の資金調達も困難になった。このため、短期借り、長期貸しを行った第二銀行のバランスシートは急速に悪化し、経営不安が広がった。第二銀行の経営危機は大口の短期資金を融資していた大手の商業銀行にも及んだ。
〔ライフ・ボートによる救済〕これに対してイングランド銀行は、七三年十二月に手形交換所加盟の大手商業銀行とともに信用管理委員会を設置、「ライフ・ボート」と呼ばれる金融危機防止策に乗り出した。支援すれば再建の見込みがあるなど、条件を満たした二十六の第二銀行に対し、イングランド銀行が一割、民間金融機関が九割の協調融資を実施した。この結果、七四年までに十二億ポンド、当時の名目GDP(国内総生産)の二%弱に当たる資金が第二銀行に供給された。
その後、民間金融機関が融資負担の重さに悲鳴を上げたため、イングランド銀行は単独でおよそ一億ポンドを追加融資している。
この救済策により結局、八機関が整理されたが、第二銀行危機に伴う金融不安は鎮静化に向かった。もちろん、ライフ・ボートだけが成功の原因ではない。第一次石油ショックによる不況対策として、大規模な金融緩和や減税など景気刺激策も一助になった。
〔金融システムの安定化重視〕ライフ・ボートはイングランド銀行が直接、経営の悪化した第二銀行に融資する形で公的資金導入である。それは金融機関の救済を通じて金融システムの安定性を確保し、事態が深刻にならないように早めの対策を講じている点が特徴である。米国の預金者救済のための公的資金導入とはこの点できわめて対照的である。
後にイングランド銀行は「この救済のための負担は、第二銀行危機を放置した場合に見込まれる混乱やコストに比べてはるかに安かった。一連の金融危機を防ぐためにはやむを得ない行動であり、おおむねその目的を達成できた」と認めている。
重要なのはイングランド銀行が無制限にこの救済を実施しなかった点である。対象になる第二銀行の経営内容を精査し、そのうち流動性危機だけを救った。救済の対象になった第二銀行は、経営は困難だが、破産状態に陥っているわけではなく、支援によって将来再建が可能であるとみられるところに限られた。また救済融資に適用された金利は市場金利よりも高めに設定されている。
英国では、八〇年代後半に再び不動産ブームが起こった。それが終息した時も不動産関連貸出比率が高まっていた金融機関の経営状態は悪化し、再び金融不安が発生した。
これに対して、イングランド銀行は再び九一年から二年間、総額一億一千五百万ポンドの中小銀行救済融資を大手銀行を通じて実施した。前回の七〇年代に実施したイングランド銀行の考え方が引き継がれていたといえよう。金融構造研究会
厚生省は七日、おたふく風邪ワクチン原液の製造方法を無断で変更していた阪大微生物病研究会(大阪府吹田市)に対し、薬事法違反にあたるとして、九日から五十日間業務停止の行政処分を行った。五十日間の業務停止という異例の重い処分に踏み切った理由について、同省は「ワクチン製造方法を安易に変更したことは、予防接種に対する国民の信頼を失墜させた」と説明している。
同省によると、阪大微研は一九八七年四月から、おたふく風邪ワクチン原液の製造で、承認を受けた原液に、別のウイルス培養法で製造した原液を混合して使用。九一年八月には再び一種類の培養法による原液に戻したが、同省に対する手続きを怠ったことや検定を受けずに製造したことは薬事法違反にあたるほか、医薬品の製造・品質管理規則違反にあたるとしている。
同省は、五十日間の業務停止は過去十年で最も重い処分としている。これにより、阪大微研は製造しているコレラ、日本脳炎など二十五品目の医薬品の製造や出荷ができなくなる。
同省は昨年六月、ワクチン原液を無断で変更したことに対し、ワクチンの製造、販売を中止するよう行政指導している。
三十年近く勤めた会社を辞め、再就職を決意したとはいえ、藤田邦威さん(52)に働き口のあてがあるわけではなかった。漠然と福祉の方向に進みたいと思っていたが、特別の知識や経験があるわけではない。ボランティア活動などもこれまでまったく参加したことはなかった。
上司に退職の意向を伝えたものの、社内ではこのことを知るのはまだ藤田さんと上司の二人だけだった。普通に仕事を続けながら、再就職先を探す日々が始まった。週に一日会社を休み、会社と契約している再就職あっせん会社に足を運んでは、福祉関係の仕事があるのかどうか尋ねた。
しかし、そうした口はまったくなかった。雇用保険と退職金を加えれば、取りあえず当面の生活に困ることはないと思っていたが、「これはかなり大変だな」という思いが日増しに強まった。
弱気になりかけていたころ、ある再就職あっせん会社から連絡が入った。その会社の社長が偶然、ある社会福祉法人の理事長と面識があり、そのつながりで紹介できるかもしれない、という。それが東京コロニーだった。人の縁がこんな風に生きてくるのかと、不思議な気持ちだった。
ようやく再就職のメドが立った九三年早春、藤田さんは新しい職場になる東京コロニー・青葉ワークセンターに足を運んだ。センターは東村山市にあった。都心から私鉄で三十分ほど。駅を降りると商店街が広がる。オフィスビルに囲まれた日本IBMとはまったく雰囲気が違った。住所を頼りに歩いて行くと、施設まで二十分以上かかった。後になってもっと近道があると知ったが、その時はずいぶん遠い所にあると感じ、なんとなく心細かった。
ゆっくりした出足だった「セカンドキャリア支援プログラム」も九三年春ごろから徐々に利用者が増え始めた。三月、いよいよ藤田さんが会社を去る日がやってきた。人事部全員の前で、藤田さんを含め、退職する数人があいさつをした。
あいさつの順番を待つ間、藤田さんの脳裏にはこれまでこの会社で過ごした三十年近い月日がよみがえった。慣れ親しんだ職場を離れ、自分はこれから何をすることになるのだろうか。
漠然とした不安に襲われながら、「長い間、お世話になりました」。深々と頭を下げた。
水星が太陽の前を横切って見える水星の太陽面通過現象が昨年十一月、七年ぶりに観測されたが、海上保安庁は七日、この時の観測結果から、水星の位置はこれまで考えられていたより、西に約二百五十キロメートル、北に約三百キロメートル、それぞれずれていることがわかったと発表した。今回の観測にはビデオを使い、従来のストップウオッチと目視による観測より精度を高めることに成功した。海保では今後、太陽系の天体の位置や日食、月食などの時刻を記した天体暦の改定が行われる際に、このデータを活用したいとしている。
同庁水路部によると、今回の測定の結果、水星が完全に太陽面の中に入り切った瞬間(太陽面の第二接触)は、日本時間の昨年十一月六日十二時十四分八秒、水星が太陽面を離れる際に再び太陽面の縁に接した瞬間(第三接触)は十三時三十八分五十八秒だった。測定精度はプラス・マイナス五秒だという。
これを天体暦で予測していた位置と比較すると、第二接触は予定より十五秒遅く、第三接触は四秒早かった。これは、従来考えられていた水星の位置が、実際よりずれていたためとみられ、太陽の位置と半径の値から計算すると、天体暦に記されていた水星の位置は、実際の位置より地球から見た角度で西に〇・五秒角(実距離で約二百五十キロメートル)、北に〇・六秒角(同三百キロメートル)ずれていたことになる。
海保では「今回のデータでは水星の位置の決定精度にまだプラス・マイナス〇・四秒角あり、不確かさも残るが、次に世界の天体暦の改定を行う際には有力なデータとなることが期待される」とみている。
火山噴火予知連絡会(井田喜明会長)は七日、東京・大手町の気象庁で会合を開き、長崎県の雲仙・普賢岳について「今後も消長を繰り返しつつ、従来と同様の形態、規模の噴火活動を続ける可能性が大きい」との統一見解を発表した。「今後も大きな火砕流の発生など火山活動に警戒が必要」で、特に当面は第十二溶岩ドームの成長とそれに伴う崩落に警戒が必要という。
見解によると、普賢岳では九三年十一月から九四年一月にかけて活発な地殻変動と地震活動があった。九四年一月十五日には新たに第十二溶岩ドームが成長を始め、二月六日には初めて北方向にも火砕流が流下した。溶岩噴出量は九一年に比べると少ないが、九三年二月以降、一日あたり数万—三十万立方メートルで増減を繰り返している。
リレハンメル五輪
【リレハンメル7日=吉良幸雄】小雪がちらつく青空の下、日の丸が翻った——。リレハンメル冬季五輪に出場する日本代表選手団の入村式が七日午後二時(日本時間午後十時)から当地の選手村広場で行われた。これまでにリレハンメル、ハーマル合わせ五十五人の日本選手団が選手村入りしているが、この日の入村式に参加したのは、フリースタイルスキーの三浦豪太(ユタ州立大)や距離の横山寿美子(日大)ら選手、役員四十人。
まず選手村のアイナルソン村長が「よくいらっしゃいました」と日本語も交えてあいさつ。このあと、ベラルーシ、ギリシャに続いて日本国旗が掲揚された。アイナルソン村長から、五輪のマスコット人形を贈られた南洞邦夫団長が、お返しに日本のペナントをプレゼントし、選手村の仲間入りをした。
▼一石二鳥の霊場巡り 日本開発銀行理事から一年半前、大阪ガス専務に転身した山本雅司さん(57)は単身赴任のため現在一人暮らし。東京で暮らす夫人に「月の半分は大阪に住んで」と頼んではいるが、「大学に通う息子の方が大切のようで、どうも分が悪い」。そこで関西に奥さんを引き寄せる秘策は、と悩んだ揚げ句、考えついたのが「西国三十三カ所の観音霊場巡礼」。
「歴史と文化遺産の宝庫である関西の魅力を、手っ取り早く見せられる」というのがミソで、「ほぼ月に一回のペースで、日帰りのドライブに誘っている」。すでに十数カ所の札所巡りを終えたが、夫人もすっかりとりこになった様子で、もくろみは大成功。「霊場巡礼の御利益は相当なもの」と悦に入っている。
奥野良臣・阪大微生物病研究会理事長代行の話 認識不足から違反品を製造、問題を引き起こしたことは遺憾で、深くおわびします。このたびの処分は当然で、今後の管理運営に生かしていきたいと思います。
遺伝子治療は、体の中から取り出した細胞に遺伝子を組み込んで元に戻し、体内で有益なたんぱく質を合成させて病気を攻撃する治療法だ。先天的に体に欠けている酵素を補って遺伝病を治したり、インターフェロンなどの生理活性物質を作ってガンを攻撃する方法などが検討されている。薬を投与するよりも直接的な効果があるとみられ、従来の治療法では救命できない先天性疾患やガンなどを治療できる可能性がある。
九〇年に米国立衛生研究所が重度の先天性免疫疾患であるADA欠損症の少女に対して実施、治療は成功して少女は学校に通うまでに回復した。以来オランダ、フランス、イタリア、中国などで百人以上が治療を受けている。
しかし、遺伝子を導入する際にほかの遺伝子を傷つける危険性も指摘されており、安全面で課題が残っている。人間を遺伝的に改変することにつながるのではないかといった懸念もあり、大多数の国では審査機構を設け、計画を事前にチェックしている。
日本では、一月に新潟大学医学部の審査委員会が白血病患者らを対象にした遺伝子治療の実施計画を承認した。ただし、患者が決まっていないため同意の有無などについてチェックできず、厚生省では個別の治療計画が決まってから中央の評価会議に諮るよう求めている。このほか北海道大学、名古屋大学が臨床応用を検討中。評価会議の設置で実施に向けて弾みがつき、年内にも日本で初めての遺伝子治療が行われるとみられる。
厚生省は七日、ガンやエイズ、先天性疾患などの新しい治療法になると期待されている遺伝子治療の実施計画を事前審査する「遺伝子治療臨床研究中央評価会議」を設置すると発表した。個々の医療機関から計画を提出してもらい、治療を受ける患者ごとに安全性や倫理上の問題点などを検討する。計画が不十分な場合は改善を求める。二十一日に第一回会合を開き、審議を公開するかどうかなど今後の運営方法を討議する。同省はすでに遺伝子治療の指針をまとめており、評価会議の設置で実施体制がほぼ整うことになる。
同会議は国立国際医療センター総長の高久史麿氏ら医学の専門家のほか法律家や倫理学者など、女性三人を含む十七人で構成。直接治療を行うとみられる医師は外した。また、評論家の柳田邦男氏や作家の曽野綾子氏、化学者の黒田玲子氏らを起用、多様な意見が反映されるように配慮した。
遺伝子治療は薬の代わりに遺伝子を投与し、体内で有益な物質を作らせる治療法。高い効果が期待できる半面、安全性が完全には確立しておらず、遺伝子を操作することに対する倫理的な抵抗感も強い。厚生省は九三年四月にガイドラインを策定し、実施前に医療機関内の審査委員会だけでなく中央の評価機関による二重のチェックを受けるなど一定の歯止めを設けた。
評価会議では、各医療機関の倫理委員会が承認した治療計画について(1)治療の対象となる患者は命にかかわるような病気か(2)ほかの治療法にくらべて効果が高いと予測できるか(3)患者の体内に遺伝子を運び込むウイルス(ベクター)の安全性は確認できているか(4)患者が治療の危険性などを含めた十分な説明を受けたうえで同意しているか——などの点を中心に再審査する。審議の過程は患者のプライバシーや企業秘密に関係する部分を除き公開する方針だが、審議自体を公開するかどうかは未定だ。
八三年四月、東京都江戸川区で食品会社専務、加瀬和夫さん(当時50)が頭を角材で殴られ殺された事件で、警視庁捜査一課は七日、加瀬さんの前妻の緒方文代(48)=練馬区大泉学園町五ノ一七、指定暴力団稲川会系千坂組組長、千坂繁(44)=江戸川区南篠崎町一ノ二五、元同組組員、丹谷茂男(48)=千葉県松戸市五香六実四七九=の三容疑者を殺人の疑いで逮捕するとともに小松川署に特捜本部を設置した。
調べによると、緒方容疑者は事件の約五年前に加瀬さんと離婚したが、自分が受取人となっていた加瀬さん名義の生命保険金を手に入れるため、加瀬さん殺害を計画。千坂容疑者に依頼して加瀬さんを殺害した疑い。緒方容疑者は八五年二月までに保険金計約九千四百万円を受け取った。
千坂容疑者は配下の丹谷容疑者を誘い、八三年四月八日早朝、江戸川区南篠崎町四丁目の旭食品工業の食堂で加瀬さんの頭を角材などで殴り殺害した疑い。
調べに対し、緒方、丹谷の両容疑者は容疑を認めているが、千坂容疑者は「全く身に覚えがない」と否認している。緒方容疑者は事件当時、千葉県内で経営していたスナックの運転資金などで約五千万円の借金があった。千坂容疑者は当時、客として出入りしていた。緒方容疑者は調べに「事件後、千坂容疑者に報酬として現金三千三百万円を渡した」と供述している。
捜査一課は当初から保険金殺人の疑いで捜査したが、有力な手掛かりがなく未解決のままとなっていた。しかし、昨年十二月、丹谷容疑者が酒に酔って千葉県警に保護された際、「十年前に加瀬さんを殺した」と犯行を打ち明けた。このため同課は捜査を再開した。
政府が緊急輸入した外国産米が今月中旬から全国の店頭に並び始める。コメ市場の部分開放がスタートするのは来年からで、今回はその“予行演習”ともいえる。秋までに出回る輸入米は二百万トン前後に達し、国産米が一段と減る三月以降、国産の新米が登場するまで正規ルートでは輸入米が主役になる。だが、安全性や表示の問題で消費者には輸入米に対する不安がくすぶっている。売れ行きが読めず、売り方に迷う業者も多い。
コメ販売業界では輸入米を単独で売るのか、国産米と混ぜて売るのか、いまだにはっきりしていない。全国最大の卸、大阪第一食糧事業協同組合は「単独で売る分とブレンドで売る分の二本立てにし、消費者の反応を見る」と言う。東京の山種産業は「小売店や外食産業などの意見を聞いている最中。結論は出ていない」と話す。
この点について食糧庁はブレンドして売るよう呼び掛けている。理由は、別々に売ると足りない国産米の争奪戦が起き、輸入米が売れ残る。そうなると国産米の不足に拍車がかかり、値段がさらに上がる心配が出てくるからだ。
国産米の代表選手、新潟産コシヒカリの小売価格は一キロ約六百円。輸入米で一番高い米国産が四百円、安いタイ産は三百円前後だが、「高くても国産がいい」という消費者が多いと、国産米の値段はさらに上がる。
表示にも問題が残っている。食糧庁は(1)輸入米一〇〇%から五〇%未満まで四段階の構成割合(2)生産国(3)玄米輸入の場合は精米年月日、精米は袋詰めした日を示す調整年月日——などの表示を義務付けた。だが、収穫年を示す「年産表示」は確認が難しいとして見送り、複数の輸入米をブレンドした場合の国ごとの構成比の表示は、義務ではなく任意にしたため、消費者から反発が出ている。
ただ、試食会などを通して輸入米の評判は徐々に良くなっている。国産米と同じジャポニカ(短・中粒)種の米国、中国、豪州産は、「粒は大きいが、味はほぼ国産米並み」(卸売会社)という。問題はインディカ(長粒)種のタイ米。水分が少なくパサパサで、炊いただけではおいしくないとの評価だ。
コメの販売業者の団体、全国食糧振興会で消費拡大事業に取り組む西田竜美理事は、「タイ米は白いご飯では食べにくいが、油に合うのでピラフなどに適している。タイ米に合った調理の仕方をPRしないと売れ残る」と見る。食糧庁は近くタイ米の調理方法などを紹介したパンフレットを作り、本格的な広報活動に乗り出す考えだ。
消費者団体にはまだ不安も残っている。全国消費者団体連絡会の太田吉泰事務局長は「(残留農薬など)安全性のチェックを入念にしてほしい。多彩なコメを消費者が正しく選択できるよう役所も業界ももっと情報提供する必要がある」と注文を付けている。
「国民福祉税」の激震が続く国会は七日、ようやく「最後のギリギリの交渉」(市川公明党書記長)にまでこぎ着けた。結論は八日に持ち越したものの、減税も景気対策も棚上げにしたまま続いた議論は、やっと最終コーナーにさしかかったようだ。(1面参照)
午後八時十分、与党代表者の協議を終えた市川公明党書記長は開口一番「きょうは終了。明日十時半再開」。続けて「ギアはかみ合い始めているんだが……。このままやったら、また未明になるから」と苦笑。大詰めにきたことを物語るように、いつもの能弁ぶりは消え口数は少なめだった。
一方、細川首相側とのパイプ役になっている、さきがけ日本新党の園田代表幹事は難航を続けた協議に疲れの色がありあり。「社会党から時間が欲しいとの提案があったから。我々も時間が欲しい」との声も力がない。「各党の代表者の今夜の居場所を聞いておいて」と、深夜の“詰め”をにおわせて国会を後にした。国民福祉税構想に強い拒否反応を示す社会党では、久保書記長が代表者会議が開かれる国会と、約三百メートル離れた党本部を行ったり来たり。代表者会議終了の報告を受けた後、姿を見せた山花政治改革担当相は、見通しを聞かれると「(まとまる)見込みは五〇%、五〇%だと考えている」と渋めの予想を口にした。
三日未明の首相会見で始まった国民福祉税騒動は、四日に与党代表者会議が「白紙に戻す」と決めてから、「ボールは政府に返った」「いや、与党側に戻した」と、責任のなすり合いとも取れるような言い合いが続いている。
七日午後の会見でも武村官房長官は「(与党)代表者が財政当局と調整案をまとめるために努力している。だから今、ボールは代表者の所に戻っております」。記者団から「税金のような重要な問題でボールが行ったり来たり。国民の不信感を招かないか」と質問が飛ぶと、「時間を無駄にして、ボールを投げ合っているだけではない」と、ムッとした様子を見せた。
“外野”からは批判が相次いだ。自民党の河野総裁は七日、「プロ野球はキャンプに入ったが、キャッチボールばかりやられたのではかなわない」。政治評論家の伊藤昌哉氏も、「(今回の騒動は)政治改革を実現した後、何をしようという国政運営の基本方針がないことを露呈したもの。政権は自然崩壊、分裂の方向にある」と話していた。
大阪の主婦ら連続失跡・殺人事件で、大阪府警と長野県警の共同捜査本部は七日までに、上田宜範容疑者(39)が長野県塩尻市内の知人宅に借りていた部屋にあった荷物から注射器、睡眠薬などを発見、押収した。同容疑者は、大阪市の主婦、高橋サチ子さん(47)を睡眠薬で昏睡させ「筋弛(し)緩剤」を注射、殺害したとみられ、捜査本部は事件との関連を調べている。
調べでは、押収したのは針付きのプラスチック製注射器約十本、薬品調合用の乳鉢、千枚束の薬包紙、睡眠薬など。注射器の中には使用済みのものが数本あったという。
七日午後二時二十分ごろ、東京都世田谷区深沢六ノ二三ノ一〇、新生党代表幹事、小沢一郎代議士(51)の私邸前の路上で、中年の男性が、ガソリンのようなものが入った一升瓶を路上でたたき割りマッチで火をつけた。男性は炎の中に飛び込んで自殺を図ったが、警備中の警視庁玉川署員らが消し止めた。男性は顔や両手足にやけどを負い重体。同署で男性の身元の確認を急いでいる。調べによると、男性は年齢四十—五十歳くらい。
大手ゼネコン、大林組の坂井恒之専務は、同社副社長の萩原惟昭被告らが前仙台市長、石井亨被告への贈賄罪で起訴されたことを受けて七日、東京・霞が関の建設省で記者会見した。
坂井専務はまず、海外出張中の津室隆夫社長に代わって、「世間をお騒がせし誠に申し訳なく深くおわび申し上げます」との社長コメントを読み上げた。会社としての事件への関与については「本社が組織的に関与したとは思っていない」と否定した。しかし後は「公判を控えておりますので、コメントを控えさせていただきます」と繰り返した。
前回で「石井前市長に渡った一千万円は選挙資金」との見解を示したことに対して「その後調査はしたのか」と質問が出たが、「新事実を得たわけではない」と答えるにとどまった。
食糧庁は、緊急輸入した主食用輸入米を八日から卸売業者に売却する。皮切りは米国カリフォルニア産米で、一万四千トンを全国の業者に売り渡す。続いて十五日には中国産米一万六千トン、タイ産米二万トンが売却される。
二月の売却は試行的なもののため月間のコメ消費量の一割にとどまるが、三月から六月ごろまでは輸入米の売却量は月間三十五万トン程度になる予定で、国産米と輸入米の比率は七対三で輸入米が多くなる。
東京都議会は都議の報酬引き上げの辞退を全会派一致で決め、奥山則男議長が七日、特別職の報酬引き上げ条例案のうち、都議の案を二月末に始まる定例都議会に提出しないよう鈴木俊一知事に申し入れた。
都議側と行政側の報酬引き上げ条例案は一括して提出するのが原則になっている。このため都議の分の見送りと合わせて、行政側の報酬引き上げ案のうち、知事ら三役のアップ案も提出しない公算が大きい。
東京都日野市で昨年十二月、会社員、原田幸広さん(34)方が放火され、原田さんの長女、麻美ちゃん(当時6)と長男、祐太朗ちゃん(同1)が焼死した事件で、警視庁日野署特捜本部は七日午後、現住建造物放火と殺人容疑で逮捕した北村有紀恵容疑者(27)を東京地検八王子支部に送検した。
◎…体重が約二百七十キロという世界最大級のゴリラの雄「ゴン太」=写真=が六日、風邪をこじらせ兵庫県姫路市立動物園で死亡した。人間では四十代半ばにあたる二十六歳だった。
◎…一歳の時に来園。ユーモラスな動きと人なつっこい性格で人気を集めた。しかし、一匹だけで寂しかったのか、十年ほど前からは運動もせず、ふさぎこんでいることが多かった。
◎…周囲がびっくりするほどおう盛だった食欲も死亡直前にはなくなっていた。「目がとてもかわいいと評判だったのに」と動物園関係者も人気者の死を悼んでいた。
稲葉 五郎氏(いなば・ごろう=元三井鉱山取締役)6日午後10時44分、じん不全のため東京都武蔵野市の西窪病院で死去、89歳。自宅は同市吉祥寺本町四ノ二六ノ二七。告別式は9日午後1時から同市吉祥寺東町一ノ一ノ二一の安養寺で。喪主は長男、隆(たかし)氏。
荒井 栄子さん(あらい・えいこ=荒井康雄中村屋常務の母)7日午前11時20分、食道ガンのため東京都小金井市東町二ノ二九ノ二八の自宅で死去、88歳。告別式は9日正午から三鷹市下連雀四ノ一八ノ二〇の禅林寺で。喪主は長男、康雄(やすお)氏。
中沢 治男氏(なかざわ・はるお=元徳山曹達常務)6日午後7時5分、急性気管支肺炎のため山口県徳山市慶万町二ノ二九の自宅で死去、86歳。告別式は8日午後1時から同市久米三九三六の原江寺で。喪主は妻、正子(まさこ)さん。
甲斐 素雄氏(かい・もとお=元伊藤忠商事取締役、元関西汽船専務)6日午前10時24分、じん不全のため兵庫県芦屋市の伊藤病院で死去、80歳。自宅は同市翠ケ丘町三ノ一一。告別式は8日午後1時から同市川西町八ノ六の如来寺で。喪主は長男、素久(もとひさ)氏。
中川 順次氏(なかがわ・じゅんじ=元カゴメ取締役)6日午後5時40分、肝不全のため愛知県豊明市の藤田保健衛生大学病院で死去、62歳。自宅は名古屋市緑区鳴海町字向田二六七ノ一。告別式は9日午後1時から同県東海市名和町三番割中四三ノ一の名和愛昇殿で。喪主は妻、作子(さくこ)さん。
森田 優三氏(もりた・ゆうぞう=元総理府統計局長、元一橋大教授)7日午前7時30分、心不全のため東京都杉並区の浴風会病院で死去、92歳。自宅は同区高井戸西二ノ一六ノ四〇。告別式は9日午後1時30分から同区松庵一ノ一二ノ二九の聖マーガレット教会で。喪主は妻、満子(みつこ)さん。
人権意識が高まる中で、取材、表現の在り方はどうあるべきか。テレビ番組制作者が討論する「放送倫理に関するシンポジウム」がこのほど、東京で開かれた。「NHKスペシャル・奥ヒマラヤ禁断の王国ムスタン」の“やらせ”問題を機に設置されたNHK・民放番組倫理委員会が企画した初の試みである。
第一部では弁護士の渡辺真次氏の問題提起を受けて、笠井青年・TBS報道局次長らが「取材・報道と人権を考える」をテーマに、第二部の「映像表現の可能性と限界」では制作者たちが、自らの体験を素材に話し合った。
シンポジウムの象徴的な討論は容疑者逮捕時の連行写真の是非だった。容疑者の人権擁護を第一とする弁護士に対して、「知る権利に奉仕するためには可能な限り追求するのが我々の務めだ」と笠井氏は発言した。
昨年の甲府信用金庫女子職員誘拐殺人事件から、「し烈な報道合戦を背景に、連行映像に対する配慮が一挙に崩れた」(小田貞夫NHK放送文化研究所主幹研究員)状況は、映像が情報であるテレビの苦悩を示している。
一部、二部とも制作者の偽らざる意見が出ていたが、これまで繰り返されてきた、悩める現場の状況報告だけに終わった感は否めない。「局と制作会社がどういう形で共同制作しているか。“やらせ”と密接に関係している」(太田英昭フジテレビ情報企画室企画制作部長)という問題提起もあったが、深く討論されなかった。
番組の約八〇%を制作会社に依存しているにもかかわらず、事務局が積極的に参加を呼び掛けなかったことも討論に広がりが出なかった理由だろう。参加者の一人は「倫理基準をどう見いだしていくのか。議論が及ばなかったのは不満」と厳しく評価した。
NHK・民放番組倫理委員会ではこうした試みを重ねていくという。第一回のシンポジウムを受けて、どのような具体策を生み出していくのか。今後の成果を期待したい。
税率構造に手を付けない単年度減税の実施という決着は、高齢化社会を展望した税制論議を一時棚上げする形の問題先送りにすぎない。消費税増税論議を嫌う社会党と、返済のメドのない赤字国債による減税が何年も続くことを避けたい大蔵省の痛み分けの結論といえる。細川首相が当初提示した増減税案の取りまとめが性急過ぎたツケは、当面の税制論議を回避することに口実を与え、一年間とはいえ「ばらまき減税」を事実上、許す結果となった。
今回の政府・与党の協議では深刻な不況で景気対策のための所得税・住民税減税への期待が強い中で、十一日の日米首脳会談が期限となる形で、時間切れ決着を余儀なくされた格好だ。そこでは目前に迫った高齢化社会に向けた税と社会保障負担のあり方について正面から緊急課題として検討する空気は乏しかった。社会党は策定の遅れる福祉ビジョンを理由に、消費税論議を先送りする作戦に出たし、大蔵省は財政健全主義にこだわるあまり、「減税財源を口実に消費税増税を狙っている」と受け止められるのを払しょくできなかった。
減税方式も暫定的な単年度減税どまりで、相対的に高額所得層に恩恵が厚く、低所得層には減税効果が乏しい。税率構造、各種の人的控除、課税最低限などに手を付ける「抜本税制改革先取り減税」も選択肢としてはあったが見送られた。そこには「抜本的な先取り減税を実施しても、消費税増税など財源が政治的にまとまらなければ、赤字国債による減税の継続に追い込まれる」との財政当局の警戒がある。
今回の決着で一年をメドに国民負担のあり方や減税財源を詰めることになったが、連立与党内では消費税増税への社会党の反発は根強い。早期決着を求める新生・公明両党や大蔵省の思惑とは同床異夢で、綱引きを続ける「一年」になりかねない。
政府・連立与党は八日、九四年度一年限りで実施する所得税・住民税減税について、現行税制による税額の二〇%を減額する「単年度定率減税」方式を基本に、減税額の上限は所得税で年二百万円、住民税で同二十万円とすることを決めた。年収七百万円程度の標準世帯(夫婦・子供二人)の減税額は所得税・住民税を合わせ年間約十万七千円、同一千万円の世帯で約二十六万七千円程度になる見込みだ。
減税は各世帯が九四年分の所得に対して支払う税額の二割を差し引く「定率方式」をとる。ただ高額所得者優遇との批判を避けるために、所得税と住民税についてそれぞれ減税額の上限を設定する。税率の刻みや課税対象所得(ブラケット)など現行の税率構造は変更せず、基礎控除、配偶者控除など人的控除や課税最低限は現行制度を維持する。
所得税と住民税を合わせた具体的な減税額は標準世帯の場合、年収五百万円層で約四万円、八百万円層で約十五万六千円。一千五百万円層では住民税分が減税の上限に達するため二十万円となり、所得税分の四十七万二千円を合わせ減税は六十七万二千円となる。
各世帯が所得税減税の恩恵を受ける時期は法案の成立時期にもよるが、五月中に成立すれば、サラリーマンの場合、夏の賞与支給時の源泉徴収分で一—五月分の減税額が戻り、六—十二月は毎月の源泉徴収で減税となる。事業者の場合は九五年三月の確定申告時期となる。
住民税は給与所得者の場合、制度的に納税時期が所得税とはずれ、九四年六月から九五年五月の源泉徴収分が減税対象になるが、景気への配慮から六—七月の減税が大きくなるように集中実施する方向。この二カ月の税額がゼロになる世帯も出る見通しだ。
【ブリュッセル7日=日下淳】欧州連合(EU)外相理事会は七日、ボスニア・ヘルツェゴビナ情勢について協議した後、声明を発表し、ボスニアのセルビア人勢力に対してサラエボの包囲を直ちに解除するよう求めるとともに、そのために必要なら空爆を含むあらゆる手段を支持する姿勢を打ち出した。また空爆に関しては、九日に開く北大西洋条約機構(NATO)の理事会の決定を支援する考えを表明した。
(関連記事2面に)
理事会ではフランスやベルギーが空爆を含む強硬な対応を主張、これに対しギリシャなどが「空爆は紛争の拡大につながる」と反対した。結局、空爆を実施すべきかどうかの最終的な調整は国連やNATOに任せたが、EUとしても「空爆を含む必要な措置」を使って、サラエボの包囲解除を実現するよう求めた。
ただ、会見した議長国ギリシャのパプリアス外相は、今後決定する措置がボスニア和平会議の継続に支障をきたしてはならないと強調した。
一方、NATOは九日に政策決定機関の北大西洋理事会(大使級)を開く。国連のガリ事務総長に要請されたサラエボ周辺のセルビア人勢力の軍事拠点への空爆計画を詰める。NATOは七日の非公式大使級会議でも空爆の問題などを協議した。
大内厚相、藤井蔵相、坂口労相らは八日、閣議後に年金制度改革と高齢者の雇用対策について協議した。この結果、政府が今通常国会に年金改革法案を提出することを正式に決めた。厚生年金の満額支給開始年齢(現在、原則六十歳)を段階的に六十五歳に引き上げ、六十—六十四歳には満額のほぼ半額の「部分年金」を支給することなどが柱。一方、労働省は高齢者の雇用を促す「高年齢雇用継続給付」の創設などを検討し、年金制度と雇用政策の連携をとりながら高齢者の生活を支えることを確認した。
厚生省の改革案によると、厚生年金の満額支給開始年齢を二〇〇一年度に六十一歳とし、以後三年ごとに一歳ずつ引き上げて二〇一三年度に六十五歳にする。ただ、障害者や厚生年金に四十五年以上加入した人には満額支給開始年齢が六十五歳に上がった時点でも六十五歳前から満額の年金を支給する。
同日の協議では(1)働いて賃金を得ると年金が減る現在の在職老齢年金の仕組みを九五年度から改め、賃金を得れば総収入が増えやすい仕組みにする(2)雇用保険の失業給付を受給している場合は九六年度から厚生年金の支給を停止する——などの項目を法案に盛り込むことでも合意した。
細川首相は八日、十日からの訪米を控えたぎりぎりの段階で税制改革問題の決着にこぎつけた。首相はこれで先の首脳会談で事実上の対米約束をした大型減税を引っ提げてワシントンに乗り込む環境を整えた。しかし、いったん自らが記者会見して発表した「国民福祉税」構想の撤回を迫られ、行政の最高責任者としての威信は失墜。今回の混乱は与党内の亀裂を深めたうえ、首相の指導力にも疑問が広がり、細川連立政権の求心力は大きく低下した。
首相が十分な議論もないまま、三日未明の記者会見で「国民福祉税」構想を打ち出したことに端を発した今回の政局は、連立政権の政策決定システムの不在をさらけ出した。同時に与党内基盤の弱い首相の指導力の危うさ、政治改革という現政権の大義名分を成し遂げた後の連立政権のかじ取りがいかに難しいかを浮き彫りにした。
不動産会社の三和建物(東京・新宿、牧野隆三社長)は八日、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。民間信用調査機関の調べによると、負債総額は千二百四十三億円。今年に入ってからでは、不動産会社のアドック(負債千百億円)を上回る最大規模の倒産となった。
同社は三和相互建物として一九四六年の設立以来、オフィスビル事業のほか宅地、マンション分譲などを手がけてきた。ピーク時の九一年一月期の年間売り上げは約七百億円だった。だが、不動産不況に伴って金融機関からの借入金負担が増すなか、オフィスビルやリゾート開発事業が停滞。九三年には子会社二社を吸収合併するなどのリストラクチャリング(事業の再構築)に着手したが、思うように債務を圧縮できなかった。
八日午前の東京株式相場は、前日の米国株の反発と、政府・与党の増減税策で減税先行の見通しが強まったことを好感して急反発し、日経平均株価の上げ幅は一時、五百円を超えた。朝方から海外投資家や証券会社の自己売買部門の買いが先行し、主力電機株などを中心に軒並み高の展開。日経平均株価の午前終値は前日比五百一円九十五銭高の二万五百十六円三十五銭、東証一部の売買高は前場で概算三億株に膨らんだ。
八日の連立与党代表者会議での増減税問題に関する合意内容は次の通り。
一、九四年度予算編成に当たって、総額六兆円規模の減税を先行させ、第百二十九回国会には減税法案のみ提出する。
一、連立与党内に、税制改革に関する協議機関を設置する。
その協議機関において、福祉社会のビジョン、高齢化社会の国民負担や税制のあり方、減税とその財源について、新税創設も含めて協議し、連立与党の合意を得て、年内の国会において関係の法律を成立させるものとする。その際、経済情勢、財政事情を勘案しつつ、行政改革や不公平税制の是正、所得・資産・消費の三分野のバランスのとれた税制改革、消費課税の欠陥是正なども協議する。
「要するに、学歴を追い払ったら、人を評価する手段がなくなってしまう、という気持をだれもがなんとなく持っているのである」(盛田昭夫著「学歴無用論」)
× × ×
受験シーズンが始まった。落ちたら本人はもちろんだが、がっかりする子供の顔を見る親もつらい。「学歴なんか関係ない」と簡単に言えない現実がある。学校の序列で人間を格付けする人がいまだに少なくない。ばかばかしいが、結婚にも響く場合がある。受験はきれいごとでは済まない問題を引きずっている。
しかし傑出した起業家には学歴無用の人が多い。松下幸之助氏、本田宗一郎氏の名前はだれにでも思い浮かぶ。現役では稲盛和夫京セラ会長が大学受験と入社試験で失敗を重ね、ほとんど落ちこぼれの境遇を体験している。
こうした特別な例を持ち出されても何の慰めにもならないと言いたい人がいるかもしれない。だが“銘柄大学”を出て大企業に入ったからといって、安泰だと言える時代ではなくなった。官僚の優位もいつまで続くだろうか。世の中は動きだしている。他人のモノサシなど気にせずに、自分の人生を大切にする人が最後に笑う。乱世は落第生には味方である。(一)
九四年度の政府経済見通しの最終調整案が八日、明らかになった。経済企画庁が大蔵、通産両省に示したもので、来年度の実質経済成長率は国内総生産(GDP)で二・四%、国民総生産(GNP)で二・六%とする。所得税減税など総合経済対策の効果も織り込み、来年度中の早い時期から景気が回復に向かうとのシナリオを想定している。企画庁は細川首相に報告したうえ、十日の臨時閣議で了解を求める方針だ。
企画庁の最終調整案をめぐって大蔵省などは、GDPベースの実質成長率を二・五%に引き上げるべきだとの主張を完全には引っ込めていない。十一日の日米首脳会談を控え、景気回復に向けた日本政府のより積極的な姿勢を示す必要があるとの判断からだ。
政府経済見通しは翌年度の経済運営の指針となるもので、客観的な予測に政策的な目標の意味合いも加味して決める。今回からGDP中心の形に衣替えするが、経過措置としてGNPの見通しも併記する。
実質二・六%という来年度のGNPの見通しは、第一次石油危機の影響を受けた七四年度(二・五%)以来の低水準となる。
また来年度の予算編成で税収見積もりの基準となるGNPの名目成長率は四・〇%程度とする。今年度のGNPの実績見込みは、当初見通しの実質三・三%を、同〇・二%程度へと大幅に下方修正する。経常収支の黒字については今年度実績見込み(千三百三十億ドル程度)を下回る千二百五十億ドル程度とする。
連立与党は八日午前の代表者会議で、所得税減税とその財源問題について合意した。六兆円規模の減税を赤字国債などを当面の財源に一年間に限って先行して実施、所得税・住民税減税は一律二〇%の減税とする。同時に、先に細川首相が提唱した「国民福祉税」創設構想は白紙にし、新税導入を含めた財源問題は与党内に設置する税制改正に関する協議機関で話し合ったうえ、年内の国会で税制改正関連法案を成立させる。これらの合意を受け、代表者会議メンバーは直ちに首相に合意内容を報告、首相の了承を得た。政府・与党は同日昼、首脳会議と経済問題協議会の合同会議を首相官邸で開催し減税と財源問題を決定。同日午後に首相が記者会見で一連の経緯を含め正式発表する運びだ。(関連記事3面、社会面に)
所得税減税と財源問題をめぐっては新税導入に固執する大蔵省に首相や小沢新生党代表幹事らが同調したが、社会党が連立政権からの離脱を辞さない構えで反対を貫いたため、減税先行で取りまとめることになった。首相は八日昼の政府・与党首脳会議と経済問題協の合同会議で「私が出した税制改正草案について性急であり過ぎたと批判を受けたことは深くおわび、反省したい」と混乱を招いたことを陳謝した。
与党の合意によると、減税は六兆円規模とし、今国会には減税法案のみ提出する。減税は今年一月一日にさかのぼって実施、所得税・住民税減税は一律二〇%を減額し、払い戻す減税の上限は、所得税減税は二百万円、住民税減税は二十万円とする。所得税減税の一—五月分については六月の夏のボーナス時に一括して返し、住民税は六月分の源泉徴収分から減税となる見通しだ。
協議機関では、福祉社会のビジョン、高齢化社会の国民負担や税制のあり方などに加え、減税とその財源について新税創設も含めて協議し、連立与党の合意を得て、年内の国会において関係の法律を成立させる。
協議機関に関しては、新生、公明両党などが次期臨時国会での新税導入の法案提出も想定して「年内に結論」を得る方向で調整を進めた。社会党内では、党の主体性を重視する左派が次期臨時国会で新税導入の法案を提出する展開を懸念、「一年以内」を主張していたが、その他の社会党の条件を新生、公明両党などが譲歩したことを評価、八日の三役会議、中央執行委員会で受け入れを決めた。
首相は八日午後に一連の混乱を招いたことに対する国民へのおわびを含めた記者会見に臨む。政府は総合経済対策も同日に発表、九日には来年度予算編成方針を決定し、十日には首相が同日夜訪米するのに先立ち、来年度予算案の大蔵原案を内示する段取りだ。
政府・連立与党は所得税・住民税減税が単年度実施と決まったものの、九四年三月で期限を迎える法人特別税(法人税が四百万円を超える部分に二・五%の税率で追加課税、税収三千億円)と普通乗用車の割増税率(四・五%、税収一千億円)を予定通り廃止することを決めた。乗用車の税率は四月から本則の三%に下げられる。消費税の増税を想定して打ち切る想定だったが、景気への配慮からそのまま実施する。また居住者の相続税負担を軽減するため三千億円の減税も九四年一月にさかのぼって実施する。
【モスクワ7日=田中信行】ロシアのコズイレフ外相は七日、ボスニア・ヘルツェゴビナの首都、サラエボへの砲撃で多数が死傷し、欧米各国がセルビア人勢力への空爆を検討していることについて、「空爆は事態をエスカレートさせるだけで、成功の見込みはない」と強く欧米をけん制した。同外相の発言はロシアがボスニア問題で、欧米と一線を画することを明確にしたもので、経済改革に続き、外交でもロシアの保守化傾向が一段と鮮明になった。
(1面参照)
コズイレフ外相は、「たとえ特定の状況下であっても、空爆が効果があるかどうか、はなはだ疑問だ」としたうえで、「人口密集地に空爆を行うことは、サラエボと同様の悲劇を再び引き起こす」と空爆計画を厳しく非難。「私は欧米の同僚たちに、空爆ではなく外交的な努力に一層注意を払うよう訴えたい」と述べた。
同外相はさらに、一九一四年にサラエボで、オーストリアの皇太子が暗殺されたことが第一次世界大戦の端緒になった例を引き合いに出し、「空爆や外国の干渉は新たな悲劇のシナリオを繰り返すことになろう」と強く警告した。
コズイレフ外相は欧米との協調外交を推進してきたが、昨年十二月の連邦議会選で、保守・民族派が台頭したことなどの影響から最近、欧米を刺激するような言動が目立ってきていた。
ロシアと旧ユーゴスラビアのセルビア人勢力とは同じスラブ人で正教会の信者であることから結び付きが強く、以前からロシア国内では、保守的だった旧議会を中心にセルビア人に対する同情論が根強くあった。
【ワシントン7日=春原剛】クリントン米大統領は七日、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を解決するため、空爆を中心とした軍事行動を進言したガリ国連事務総長の要請を歓迎すると表明した。大統領はボスニアの首都サラエボで多数の死者が出た砲撃について、「この無法行為に対応する措置について、同盟各国と検討している」と強調。米国としては九日にも予定されている北大西洋条約機構(NATO)の理事会でガリ総長の要請に支持を表明し、空爆を含む対応措置の検討に入る意向を示した。
クリントン大統領は七日午前、遊説先のテキサス州からクリストファー国務長官、ペリー国防長官、レーク大統領補佐官(国家安全保障問題担当)、シャリカシュビリ統合参謀本部議長ら安保・外交チームをホワイトハウスに招集し、ボスニア対策への最終態度を協議させた。その結果、NATOと協議する前に、「ガリ要請」への支持を鮮明にしたものと見られる。
クリストファー国務長官は同日、ガリ総長の要請について「従来のNATOへの要請を拡大するもの」と指摘した上で、NATO理事会で同盟各国と意見調整する意向を表明した。同長官はサラエボへの砲撃について、「セルビア勢力による民間人への許しがたい行い」と強い口調で非難した。ただ「NATO理事会では(空爆以外の)別の対応策についても協議するだろう」と慎重な姿勢もみせた。
【ワシントン7日=小孫茂】サマーズ米財務次官は七日の米テレビ番組で、円高誘導策をとらない意向を示した。米国際経済研究所のF・バーグステン所長が先に「一ドル=九〇—一一〇円の範囲で円高方向に維持すべきだ」と発言したのに対し、「そうした見解はクリントン政権の行動や検討とは全く関係ない」と断言した。
同次官はこのテレビ出演前に記者団に対し、日米包括経済協議の分野別交渉に関して「日本とは具体的で信頼でき、実行の保証のある合意を望む」と強調した。しかし信頼できる合意の意味については詳細な説明を避けた。
【ウィーン7日=為定明雄】ユーゴスラビア・セルビア共和国のミロシェビッチ大統領は七日、和平会議のオーエン、シュトルテンベルク両共同議長、明石康・国連事務総長特別代表らと会談、サラエボを非武装地帯とする構想を支持する考えを明らかにした。またボスニアのセルビア人指導者カラジッチ氏も、サラエボの停戦問題をほかのボスニア和平交渉と切り離して話し合うことに賛成すると表明しており、七十人近くの犠牲者を出した砲撃を機に、主戦場のサラエボの正常化が話し合われる可能性も出てきた。
一方イスラム教徒によるボスニア議会は七日、これまでの和平案を修正する新提案の協議を始めた。ガニッチ幹部会副議長によると、これまでのセルビア人、クロアチア人、イスラム教徒の三民族ごとの共和国に分割する案を改め、三つの共和国のほかに、支配民族を明確に定めない第四の地域を設定するのが特徴で、十日に始まる予定の次回の和平交渉の場で提案することになるという。
【ワシントン7日=関口和一】米エネルギー省は七日、大統領の九五年度予算教書発表を受け、原子力発電関係の予算を約三割減らし、核兵器関係の予算も一三%削減すると発表した。米航空宇宙局(NASA)も全体の予算を二十一年ぶりに初めて減らす。こうした削減策は冷戦の終結やクリントン政権の科学・エネルギー政策で必要なくなった支出を削減し、財政赤字の削減に役立てるのが目的だ。
原子力関係の九五年度予算は支出権限ベースで約二億四千八百万ドルで、前年度比二八%減。エネルギー省予算の三分の一を占める核兵器予算については前年度の約六十五億ドルから約五十六億ドルに削る計画だ。
新たな民生用原子炉の開発は軽水炉の高度化に絞る考えで、このための予算を前年度の約一億ドルから半減する方針。代わりに原子力関係の環境対策予算を前年度比四〇%増の約五億三千万ドルに増やそうとしている。
【ソウル8日=平沼隆志】韓国政府関係筋が八日明らかにしたところによると、米韓両国は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が国際原子力機関(IAEA)の核査察を受け入れない場合、三月二十二日から十日間の日程で、米韓合同軍事演習「チームスピリット」を実施する方針を固めた。北朝鮮が査察を受け入れれば、「即座に計画を白紙に戻す」(韓国国防省関係者)方針。韓国国防省によると、米韓両国は実施についての公式発表時期を三月十日前後とし、それまで北朝鮮の動向を見守る構えだ。
【ヒューストン7日=玉置直司】クリントン米大統領は七日、ヒューストン市内で、発表したばかりの予算教書について「歳出削減を最も徹底させた予算だ」と語り、議会での承認に自信を示した。新年度予算のねらいについては財政赤字削減を最重点に置きながらも「貿易拡大や技術開発の強化なども基本政策だ」と説明、「米国経済の力強い成長を持続させるための前向きの選択だ」と強調した。
中国の人たちが最も楽しみにしている春節(旧正月)が十日に迫った。北京の場合、いつもなら地底からわき起こるような爆竹の響きとともに新年を迎えるが、今年から危険なことを理由に爆竹は花火とともに禁止。中国の伝統を損なうと不満も根強いが、中国紙「北京青年報」の調査によると、八六・四%が禁止は当然と支持しているという。
一千人の市民を対象とした調査によると七五・八%はこれまで爆竹や花火を鳴らして年を越していた。今年の旧正月の休みの過ごし方としては「テレビの前で過ごす」が五九・八%と最も多く、中国でも年始回りなどの風習は段々と少なくなり、自宅で寝正月という例が急速に増えてきている。
北京では爆竹禁止条例が市議会を通過、昨年秋から市街地では禁止となった。今年一月に鳴らした人はたちまち逮捕され、罰金を徴収された。でもこれはいわば予行演習。春節でどれだけ効果があるか、当局の威光を測る物差しにもなりそうだ。 (北京支局)
【ワシントン7日=関口和一】日米首脳会談前の日米包括経済協議の最終ラウンドが七日、ワシントンで始まった。初日は優先分野の電気通信の政府調達と保険の作業部会を実施、八日午前に政府調達の次官級会合を開く予定だ。電気通信分野では入札手続きの改善策など両首脳に提出する報告書作りが着実に進んでいるが、客観基準をめぐる議論は相変わらず平行線をたどっている。
電気通信分野について米側交渉責任者は「まだ合意には至っていない」としており、協議は首脳会談ギリギリまで継続される見通しが強い。優先分野で最も対立の激しい自動車・同部品では岡松通産審議官とガーテン商務次官が非公式に接触しているが、正規の会合は八日以降に開く見通し。八日午後には地球的規模の協力に関する会合も実施する。
【米州総局】一月十七日のロサンゼルス地震による保険金請求額が二十五億ドルに達することが米保険業界団体の調査で明らかになった。九二年のハリケーン・アンドリュー、八九年のハリケーン・ヒューゴに次ぐ、米損保史上三位の大災害となった。
ただカリフォルニア州によると、保険がカバーしない被害を含めると総被害額は百五十億—三百億ドルと見られており、民間保険の限界を示した。
ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦ぼっ発以来最大の被害を出した五日のサラエボの市場砲撃は、どの勢力による仕業か——。国連などの調査にもかかわらず、まだ犯行勢力は断定できていない。イスラム教徒はセルビア人勢力の犯行と世界中にアピール、犯人を断定しない国連に強い不満を表明している。半面、今回の事件で得るものは何もないとするセルビア人側は、指導者のカラジッチ氏が関与を全面否定、イスラム教徒による自作自演説をにおわせ、双方は真っ向から対立している。
死者六十八人、負傷者約二百人を出した今回の惨事は、たった一発の百二十ミリ迫撃砲で起こった。撃ち込んだ勢力の割り出しを難しくしているのは、迫撃砲が市場の屋台の屋根や商品棚に当たった後に着地しており、本来の発射角度を計りにくくしている点や、負傷者を引きずるように救出した結果、着弾跡がかき消されてしまったことなどが重なっているためだ。
またセルビア人勢力による犯行としても、動機がはっきりしない。和平交渉はセルビア人とクロアチア人の利害が一致して共闘体制ができあがり、イスラム教徒の孤立化が目立っていただけに、国際社会の反発を買うような行為に出る意味がないからだ。このため「セルビア人勢力によるものだったとしても、司令を受けた組織的な軍事行動ではない」との見方もある。
(ウィーン=為定明雄)
【バーゼル7日=牧野洋】国際決済銀行(BIS)は七日、スイスのバーゼルで月例の中央銀行総裁会議を開き、米国の金融引き締め策について集中的に意見交換した。当面、為替や株式市場に大きな混乱は起きないとの見方で一致したものの、欧州各国の中銀総裁は「ドイツでインフレ圧力が台頭する」などと指摘し、直接的な表現を避けながら、米国がもう一段の引き締めに転じないようけん制したとみられる。
政府は八日の閣議で、駐フィリピン大使に松田大阪担当大使、駐ネパール大使に吉田前駐ブルネイ大使、駐ベルギー大使に中村前儀典長、駐チリ大使に杉野駐英公使、駐ガボン大使に川合駐ベルギー大使館参事官をそれぞれ起用することを決めた。松田氏は同日付、その他の人事は九日付の発令。
松田 慶文氏(まつだ・よしふみ=駐フィリピン大使)56年(昭31年)東大法卒、自治省へ。外務報道官、駐デンマーク大使、93年4月大阪担当大使。東京都出身、62歳。
吉田 重信氏(よしだ・しげのぶ=駐ネパール大使)61年(昭36年)東大法卒、外務省へ。駐バンクーバー総領事、駐ブルネイ大使、94年1月待命。滋賀県出身、57歳。
中村 順一氏(なかむら・じゅんいち=駐ベルギー大使)58年(昭33年)東大法卒、外務省へ。国際協力事業団(JICA)理事、儀典長、93年11月官房付。神奈川県出身、59歳。
杉野 明氏(すぎの・あきら=駐チリ大使)59年(昭34年)東大文卒、外務省へ。JICA総務部長、駐英公使、91年7月特命全権公使。岐阜県出身、59歳。
川合 智司氏(かわい・ともじ=駐ガボン大使)59年(昭34年)東京学芸大中退、外務省へ。駐チュニジア大使館参事官、90年12月駐ベルギー大使館参事官。静岡県出身、57歳。
政府は八日の閣議で、佐藤庄市郎最高裁判事の定年退官に伴い、後任に元第一東京弁護士会会長の尾崎行信氏(64)を任命することを決めた。発令は十六日付。
【ワシントン7日=小孫茂】米行政管理予算局(OMB)のパネッタ局長は九五年度予算案に関する七日の記者会見で、医療保険制度改革の財源について「追加増税は提案していない」と強調した。しかし予算教書には同改革法案が成立した場合の財源として、一箱当たり九九セントへの連邦たばこ税引き上げによる歳入増を記載している。
【シカゴ支局】米アルミ最大手のアルコアは七日、アルミ地金の減産幅を年間換算で十万トン拡大し、四十万トンに引き上げると発表、即日実施した。減産規模は同社の生産能力の三〇%に達する。アルミ地金の価格は北米アルミメジャーの相次ぐ減産とロシアの協調減産の発表で上昇しており、アルコアはもう一段の減産強化で市況を一気に押し上げることをねらっている。
テキサス州とワシントン州にある二工場で生産ラインを停止する。すでに昨年夏から減産に入っており、現場従業員をレイオフ(一時解雇)している。
アフリカ西部にあるベニンのソグロ大統領が二十一日から四日間、公式来日する。八日の閣議で正式に決まった。大統領は滞在中の二十二日午前、天皇、皇后両陛下と会見し、同日午後に細川首相と会談する予定。大統領は名古屋も視察する。
【モスクワ支局】トビリシからの報道によると、グルジアのシェワルナゼ最高会議議長はこのほど、政府職員に薬物検査を義務付けることを決めた。元保健相が率いる特別国家委員会を組織し、マリフアナやコカインなどを使用したかどうかチェックする。検査は軍隊を含め、今年六月末日までに全政府職員を対象に実施の予定。
ブロラゼ政府報道官によると、今回の措置は旧ソ連各共和国にまん延する麻薬汚染が政府機関にまで広がる兆候が出てきたためで、シェワルナゼ議長が自発的に最初に検査を受けるという。
【ブリュッセル支局】欧州連合(EU)は七日、アルジェリアと外相会議を開き、アルジェリアが国際通貨基金(IMF)と進めている総額二百六十五億ドルの対外債務返済の交渉がまとまり次第、新規援助を実施することを約束した。また、「アルジェリアとの政治対話を強化する」との声明を発表。アルジェリアではイスラム原理主義勢力による外国人や政府要人へのテロが続いており、EUは現政権の支援を改めて打ち出した。
自民党は八日午前の役員会と副幹事長会議で、山花政治改革担当相が七日の全逓中央委員会でのあいさつでゼネコン汚職事件の中央政界捜査に言及し、「一気に永田町に迫るはずだった検察の動きに、政治改革法成立の遅れが影響していると心配している」と発言した問題について、「検察当局の政治介入であり、政府による検察権力の政局運営への不当な利用である」として、今後、国会で事実関係を解明するとともに、山花政治改革相らの責任を厳しく追及していくことを決めた。
山花政治改革相は全逓中央委で、ゼネコン汚職事件の複数の担当検事と昨年接触したことを明らかにしたうえで「担当の方から『(昨年の)年内いっぱいに公約通り政治改革を仕上げて欲しい。そうなったら年内いっぱいはゼネコン、一月一日からは行き着くところまでやらせてもらいたい』という話をうかがっている」と語り、検察当局がゼネコン捜査と政治改革法の審議の行方とを絡ませていたことを示唆していた。
八日の自民党副幹事長会議では「山花氏の発言が真実であれば、検察当局の動きは政治介入を意味し、検察ファッショにつながる不当なものだ」との批判が噴出。山花氏と接触した担当検事の氏名を明らかにするとともに、真相を究明していく必要があるとの認識で一致した。同時に、山花氏の対応についても「検察権力を政治に利用しようというものであり、看過しえない。細川内閣全体の責任問題だ」として厳しく追及していくことにし、場合によっては山花氏と三ケ月法相の罷免を要求する構えだ。
【ワシントン7日=関口和一】タイプライターのダンピング訴訟で二十年間にわたる対立を続けてきた日米のライバルメーカーが七日、全面和解にこぎつけた。ブラザー工業と米スミス・コロナ社(コネティカット州)は「これ以上争っても互いに得るものがない」と判断し、そろって商務省にダンピング決定と進行中の調査の取り下げを求めた。係争ではブラザー側が有利ともみられていたが、互いに弁護士費用が無視できなくなったようだ。
ブラザーとスミス社の対立はスミス社が七四年にブラザー製のタイプライターを訴えたのが始まり。その時はブラザーが勝訴したものの、二度目の提訴で八〇年にダンピングが確定。その後、製品が英文ワードプロセッサーなどへと高度化するとスミス社が再び提訴、その度にブラザーは反ダンピング税を商務省から科されてきた。
日本からの輸出では競争できなくなったブラザーは結局、米国テネシー州に工場を移転した。ところがスミス社側が安価な労働力を求めてシンガポールに工場を移転し、米国市場で安売り攻勢をかけてきた。これに対しブラザーは立場を変えて「米企業」としてスミス社を提訴し、商務省もブラザーの主張を認めていた。
商務省の決定を不服としたスミス社は米国際貿易裁判所(ニューヨーク)にまで訴えたが、今回、両社がそれぞれ提訴を取り下げることで和解が成立した。賠償金の支払いはない。
【ロンドン7日=藤森克己】日興証券の英国現地法人、日興ヨーロッパはザンビアの世界最大級の銅鉱山の開発プロジェクトのアドバイザーに指名された。日興は国際機関や民間金融機関などからの資金調達の取りまとめを通じて、先進国から発展途上国への資金流入を促進する。日系の証券会社がアフリカの国家的プロジェクトのアドバイザーになるのは初めて。
日興はザンビア政府が株式の六〇%を所有する政府系会社、ザンビア・コンソリデイテッド・コッパー・マインズ(ZCCM)社のアドバイザーとして、同社の所有する「コンコラ」銅鉱の開発の資金調達を担当する。コンコラは鉱石の埋蔵量が最低三億四千万トンで、銅が三・八%、コバルトが〇・〇七%の含有量を持つ世界最大級の高品質の銅鉱。
プロジェクトはおよそ五年がかりで完成を目指し、鉱石採掘量は年間六百万トンを想定している。同プロジェクトの完成により、ザンビアの銅生産量は来世紀に入っても年間四十五万トンを維持出来る見通し。ザンビアは外貨収入の約九割を銅に頼っており、世界で二番目の銅の輸出国。輸出は日本向けが最大となっている。
主食用の外国産米の売却が八日から始まった。本格的に出回る三月以降は自由米(不正規流通米)などを除いた正規ルートで、輸入米の比率が七〇%に達する見通し。小売り店頭でも国産米とブレンドしたり単品販売される外国産米が増えそうだ。
「消費者が国産米志向を強めれば、流通量が急減するコシヒカリ、ササニシキなど銘柄米に需要が集中しかねない」。こう予想する自由米業者の買い占め、売り渋りで、自由米の取引価格は新潟産コシヒカリで六十キロ当たり四万円強と、前年産に比べて一万円以上値上がりした。小売価格に換算すると十キロ一万円と、例年の二倍近い高値だ(グラフはスーパー六十七店舗の一袋=五キロ=当たり平均販売価格)。
ただ米国産やタイ産米の売れ行きが好調なら話は別。農家や流通業者の売り物が急増して、自由米価格が急落する可能性もある。消費者になじみの薄いタイ産の長粒種などが増えると、「コメ離れが進むのでは」と予想する向きもある。いずれにせよ輸入米の食味や品質に対する消費者の評価がコメの価格動向のカギを握っているといえそうだ。
米フォード・モーターとマツダの共同出資会社でフォード・ブランドの車を販売するオートラマ(東京・新宿、山中義明社長)は八日、「オートラマ」の店舗名を「フォード」に変更することを明らかにした。マツダ系チャネルのイメージを払しょくし、フォード車販売店であることを明確にするのが狙い。ただし、同社の会社名自体はオートラマを続ける方針。
社会党の村山委員長は八日昼、増減税問題の決着を受けて首相官邸で記者団の質問に答え、「結果的に社会党の要請にしてもらった」と評価した。今後の増減税の取り扱いについては「税は何に使うか明確にしなければならない。国民に納得してもらう手立てをするべきだ。公平、公正にバランスのとれたものになるよう(与党の)協議機関で十分煮詰めて議論してもらいたい」と強調した。
同時に細川首相の一連の対応に関して「今後は悪い点があれば反省してもらって是正していくことが必要だ」と述べた。
【ボン7日=鳴沢直樹】ドイツの自動車、機械、電機などの労働者で構成する最大の単産、金属労組(IGメタル)は七日、ケルンで再開した経営者側との旧西独地域における賃金交渉を打ち切った。これに対し、金属産業の経営者団体、全国金属のゴットショル代表は、今週末に組合代表とトップ交渉することを提案した。
第百二十九通常国会は八日午後、参院本会議場に天皇陛下をお迎えして開会式を開いた。開会式では、土井衆院議長が式辞を述べた後、天皇陛下が「国会が国民生活の安定と向上、国際社会の平和と繁栄のため、国権の最高機関として、その使命を十分果たし、国民の信託にこたえることを切に希望します」とのお言葉を述べられた。
【ブリュッセル7日=日下淳】欧州自動車製造業者協会(ACEA)が七日発表した欧州連合(EU)の一月の新車(乗用車及び小型商用車)販売台数は九十六万千八百四十台で、前年同月比七%増加した。新車販売は九三年一月から十二カ月連続で前年同月に比べ大幅な落ち込みを示していたが、一年一カ月ぶりに上向いた。
一月の販売は景気回復が先行している英国が前年同月比二〇・四%増となったほか、フランスが一五%増、スペインが二八・四五%増と回復した。ドイツも二・六%増とわずかながら増加に転じた。イタリアは一〇%減と不振が続いた。
米国任天堂が米国での生産施設の一部をメキシコに移管するのに伴って百三十六人のレイオフを決めたが、レイオフの対象になった従業員が米労働省に「北米自由貿易協定(NAFTA)の影響で雇用機会が失われる」と訴え、失業補償期間の延長などを勝ち取った。NAFTA発効後、この種の訴えが認められたのは初めて。
九四年九月までの経過措置として、NAFTAの経済的利益を求めて企業がメキシコ移転を決め、その従業員が雇用機会を失う場合などに対して、連邦政府は失業補償期間の延長、新たな職場探しへの援助などをすることになっている。この措置は企業側が、NAFTAをメキシコ移転の理由にしているか否かにかかわらず認められる。
米国任天堂はレイオフ発表にあたって「メキシコ進出は中南米市場が急速に成長しているためで、NAFTA成立を背景に低賃金労働を狙ったメキシコ移転ではない」と説明している。 (ロサンゼルス=矢作弘)
藤井蔵相は八日昼、政府・与党首脳会議終了後に首相官邸で記者団の質問に答え、所得税・住民税減税の財源の手当てについて「所得、消費、資産のバランスのとれた税制改革を年内にやることが盛り込まれたと考えている。(減税財源は)担保されている」と述べ、年内に消費税率の引き上げを決めることが事実上約束されたものだとの認識を示した。
【ヒューストン7日=玉置直司】米半導体工業会(SIA)は七日、クリントン米大統領に書簡を送り、日本市場での外国系半導体のシェア問題での不満を表明した。
山花政治改革担当相は八日の閣議後の記者会見で、同相が七日の全逓中央委員会で、ゼネコン疑惑捜査に関連して昨年担当検事と接触した際、「(検事が)年内いっぱいで政治改革を仕上げてもらいたい。(政界波及へ)行き着くところまでやらせてもらいたいなどと述べた」と発言した問題について、「担当検事と接触した事実はなく、推測で語ったものだ」と訂正した。
佐藤自治相は八日の閣議後の記者会見で、地方公共団体による地下鉄整備を進めるため、地方自治体の一般会計や地方債を九四年度から活用する「地下鉄緊急整備事業」を創設すると発表した。自治体の経営する公営地下鉄の場合、現行の国庫補助金を活用した整備区間に加えて、地方単独での整備区間を創設できるようになる。地方自治体の一般会計で事業費の二〇%を出資するほか、残り八〇%について企業債の発行を認める。九四—九六年度の事業費として五百億円を予定、初年度の九四年度は五十億円を見込んでおり、札幌と大阪の地下鉄整備に活用する方針だ。
第三セクターによる地下鉄整備への支援措置も拡充する。地方公共団体の出資金が五〇%以上の事業者を対象にする。現在は、国や自治体による利子補給制度があるだけだが、九四年度からは国や地方公共団体が第三セクターに一定の補助金を交付する制度を設ける。埼玉県の地下鉄整備などにこの仕組みを利用したい考えだ。
久保田経済企画庁長官は八日午前の月例経済報告閣僚会議に「日本経済は調整過程にあり、総じて低迷が続いている」とする二月の月例経済報告を提出した。このところ個人消費に明るさが出てきたとの指摘もあるが、企画庁は「消費低迷の基調は変わっていない」とみており、景気の総合的な判断は、厳しさを強調した前月の表現を踏襲した。
個人消費は、家計調査でみると全世帯の消費支出が昨年十、十一月と二カ月続けて前年を上回った。VTRや冷蔵庫、洗濯機など一部の耐久消費財の出荷も昨年十一月から、百貨店販売額は一月上旬に前年比でそれぞれ増加している。ただ、企画庁ではこの好調さは長続きしないと判断している。その理由として(1)家計調査の消費支出の増加は義務的な経費である住居費が中心(2)耐久財の中でも乗用車の新規登録・届け出台数は前年割れが続いている(3)百貨店販売額の増加はバーゲンなど一時的な要因による——などを挙げている。
二月の報告によると、設備投資は減少が続いている。十二月に実施した法人企業動向調査の九三年度設備投資計画は製造業で一八・〇%減、非製造業は四・七%減となった。
住宅建設は高い水準が続いている。昨年十一月から始まった住宅金融公庫融資の募集が好調だったことを反映して、十二月の持ち家の新設着工戸数は前年同期比八・〇%増となった。公共投資は堅調に推移している。ゼネコン汚職の影響で前年割れが続いていた建設大手五十社の官公庁からの建設工事受注額が昨年十二月に八カ月ぶりに前年を上回った。
鉱工業の生産は停滞傾向で推移している。製造業の生産予測指数でみると今年一月以降は前月比で増加に転じる見通しだが、企画庁は「三月の決算期末に向けた特殊要因の可能性もあり、生産の基調が変わったとは即断できない」と指摘している。雇用情勢は完全失業率が昨年九月から四カ月連続で上昇しており、製造業を中心に厳しさがみられるとしている。
自民党は八日午前の副幹事長会議と役員会で、増減税問題をめぐる政府・連立与党の一連の対応について「景気対策に対する指導力不足から招いたもので、細川内閣の責任を追及すべきで、大蔵当局の越権行為は不問に付すべきでない」と意見集約し、細川内閣の政治姿勢をただしていく方針を決めた。森幹事長は記者会見で、連立与党間の合意に関して、景気浮揚の面から効果は少ないと批判した。
ニューヨーク外国為替市場の円相場は上昇。前週末比七五銭円高・ドル安の一ドル=一〇八円五〇—六〇銭で取引を終えた。
円は一〇八円台後半に上昇して始まった。日欧の株安を反映し、「この日の米国株式相場は大幅下落する」という観測が広がったこともドル買いを抑えた。ただ「日米のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を考慮すると大きな流れは依然として円安・ドル高」(邦銀)との見方が多く、積極的な円買いもみられなかった。
サマーズ米財務次官が円高誘導策をとる意向のないことをテレビのインタビューで強調したのを受け、午後には一時一〇九円台まで円が売られる場面もあった。しかし「円安を容認するわけでもない」(都銀)との解釈が広がると、円は買い戻され、この日の高値水準で引けた。
(米州総局)
ロンドンの円相場は一進一退の動きとなり、一ドル=一〇八円六五—七五銭と前週末比五銭の円安・ドル高で取引を終えた。
ドイツマルクは九一年八月以来の安値で取引を終了した。 (欧州総局)
ニューヨーク株式相場は反発。
金利上昇につれて売り先行で始まった。「流動性に乏しい」と懸念された中小型株の下げが目立った。一方、先週末の急落に伴う買い戻しも入り、相場は先週末の終値を挟んで一進一退となった。「米景気拡大と物価沈静は続いている」(米証券)との見方が根強いうえ、景気敏感株中心に買いがふくらみ、ダウ平均はその後、強含んだ。米大手証券が顧客に推奨するモデルポートフォリオの株式投資比率を引き上げたことも支えとなった。株価指数先物にからむプログラム買いがダウ平均の上げを加速し、午後には三九〇〇ドル台を回復した。
GMは子会社の増配発表を好感し上昇。IBMはじめハイテク株も全般に上げた。半面、石油株が軟調。食品株の一角も安かった。(米州総局)
ニューヨーク金先物相場は大幅下落。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心となっている四月物は前週末比七・六ドル安の一トロイオンス三八〇・七ドルで取引を終えた。
商品ファンドなどの売りに押されて下落して始まった。日欧の株安を受けて「米国株式相場も軟調に推移する」との観測が広まると、「行き場のない資金を株式から金に乗り換える動きが活発になる」(米証券)と見た米銀などが買いを入れた。このため、金は下げ渋り、三八六ドル付近でもみ合った。
しかし、株価が市場の予想に反して上昇に転じると失望売りが広がった。前週末に米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを決定したと発表した時点で買い持ちを整理し切れなかったファンドなどが積極的に売りを出した。当面の下値の節目と見られていた三八三・五〇ドルを下回ると一段と売りが加速し、この日の安値水準で引けた。
銀、プラチナも朝方から軟調だった。(米州総局)
ニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は続落。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近三月物は前週末比〇・三八ドル安の一バーレル一五・二五ドルで取引を終えた。
売り先行で始まった。原油についての新規材料は見当たらないものの、朝方からヒーティングオイルなど石油製品の下落につれ安。終日軟調に推移した。ただ、八日発表の米石油協会(API)統計で在庫減少を予想する向きが多いうえ、心理的な節目とみられる一バーレル一五ドル前後では「大口の買いが入る可能性も大きい」(米商品取引会社)ため、地合いが完全に悪化したとの見方は少ない。
ヒーティングオイルは大幅続落。米北東部などの寒さが緩んでいることを受けて需給ひっ迫観測が薄れた。三月物は前週末比一・〇八セント安の一ガロン四九・九八セント。ガソリンも大きく売られた。(米州総局)
シカゴ穀物市場で大豆は小幅続落した。三月物終値は前週末比〇・七五セント安の一ブッシェル六・七三七五ドル。ブラジル産地で週末に雨が降ったため、豊作観測が強まり売りが先行した。しかし、六・七〇五ドルまで下げた時点では、実需やファンド筋の買いが入り下げ渋った。
トウモロコシは反発した。三月物終値は同三セント高の二・九一五ドル。中西部での気温低下が予想されるため「川が凍って輸送に支障がでる」などの見方が広がり、買いが入った。 (シカゴ支局)
香港の金相場は下落。前日終値比三・四〇ドル安の一トロイオンス三八〇・四五ドルで寄り付いた。前日のニューヨーク市場で売り圧力が強く伸び悩んだことから、香港市場でも安く始まった。その後は値を上げており、一時三八〇・五五ドルまで上昇した。
香港の株式相場は反発。指標であるハンセン指数は前日終値比四一・三八ポイント高の一一四五五・六五で取引が始まった。割安感による優良株の買いが先行して上昇したものの、その後は小口の利食い売りが出て軟調な相場展開となった。
シンガポール国際金融取引所(SIMEX)の日経平均先物は上昇。三月物は前日終値比二百五十五円高の二万四百円で取引が始まった。二万四百六十円をつけたあと、二万三百五十—二万四百五十円との狭い値幅で推移している。
シンガポールの株式相場は高い。指標であるST指数は前日終値比一九・二三ポイント高の二三三三・六八で取引が始まった。ニューヨークの株式相場の上昇を好感して優良株を中心に個人投資家などの買いが先行した。 (シンガポール支局)
ロンドン株式相場は大幅続落。米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを決定したのを受けて急落した前週末のNY相場を受けて大幅安で寄り付いた。後場に入ると同日のNY相場が上昇に転じたのを受けて下げ渋った。
たばこのBATインダストリーズが英証券会社による買い推奨などを受けて小高く推移した。香港上海銀行の持ち株会社HSBCホールディングスは大幅下落。
日本物ワラント相場は小動き。様子見気分が強く、積極的に取引する向きは少なかったが、ベスト電や丸善など消費関連銘柄の一部が買われた。
(欧州総局)
フランクフルト株式相場は、前週の米金利引き上げ予告を嫌気、他の外国市場と同様に大きく下げた。独連銀による利下げがさらに遠のき、各業種とも売りが続出した。ドイツ銀を筆頭とする銀行株の下げが目立ったほか、シーメンス、ダイムラーなど優良株も売られた。三大化学も安い。 (フランクフルト支局)
ニューヨーク債券相場は続落。指標である表面利率六・二五%の三十年物国債の利回りは、前週末比〇・〇四%上昇(価格は下落)の六・三八%で取引を終えた。
先週末の地合いを引き継ぎ、寄り付きから売り物が先行。三十年債の利回りは一時六・四一%まで上昇した。
ただ、午後に入って売りが一巡すると小刻みに買い戻しを入れるディーラーもあり、相場はやや下げ渋って引けた。八日から三、十、三十年債の入札があるため、全般に模様ながめ気分が強まっている。(米州総局)
ロンドンのユーロドル金利は一カ月物、九カ月物と一年物が上昇した。
ユーロ円金利は小動き。
英国債相場は続落。
LIFFE日本国債先物は東京終値比で下落。(欧州総局)
円先物は反発した。サマーズ米財務次官の「米政府は円高誘導策をとる意向はない」との発言で売りが膨らんだが、今週末の日米首脳会談までは「円を売りにくい」とする向きが多く、買い戻しが入った。
Tボンドは続落の後、下げ渋った。売りが先行して始まったが、貴金属、原油相場の下落を背景に買い戻しが入り、下げ幅を縮めた。「株買い・債券売りを勧める米投資銀行もみられ、今週の入札次第では一段安もあり得る」(日系証券)との声も出ていた。(シカゴ支局)
日経平均先物は大幅に反発した。S&P五百種先物の反発を好感する小口の買い物が膨らみじり高の展開となった。 (シカゴ支局)
円相場は一ドル=一〇八円後半で小反発。日米包括経済協議の難航に不満を強める米当局者の発言が相次いだため、円を買い戻す動きが先行した。ただ、米金利が上昇していることから円の上昇力は鈍い。
円は前日比五三銭円高・ドル安の一〇八円三七銭で寄り付いた。銀行などの持ち高調整の円買い・ドル売りが先行した。その後、輸入企業が為替予約(先物のドル買い)を入れたことから、円はじりじり押し戻された。政府・連立与党で協議している増減税問題が合意に達したことも、円売りを誘った。午前の終値は一〇八円六三銭。
◇東京の金先物は続落。前日のニューヨーク相場安に円高・ドル安が加わり、個人投資家を中心に売りを誘った。期先十二月物は前日終値比一グラム十七円安で前場の取引を終えた。「金相場は海外、国内ともに上値が重い」(商品取引会社)という。
白金(プラチナ)も金につれ安。独自の取引材料は少なく、個人投資家の成り行きでの売買が目立った。銀は海外での急落を受け続落。パラジウムは小動きだった。
◇穀物先物はトウモロコシが反発した。為替は円高に振れているものの、値ごろ感からの買いが広がっている。米国内で飼料用の需要が増加するとの見方や、寒波の影響で農家の出荷が鈍るとの観測が買いを誘っている。米国産大豆も反発した。前日のシカゴ相場は南米産の増産観測から軟化したが、国内では前日までの下げを受け、値ごろ感からの買いが入っている。
小豆は大幅続伸し、期近二月物がストップ高となった。急伸した前日の地合いを引き継ぎ期近を中心に買い進む向きが多い。国産物の供給不足で現物需給がひっ迫していることも支援材料。
◇天然ゴム先物は東京、神戸ともに反落した。前日までの急伸を受けた利食いの売り物などが目立つ。円高も売り要因。ただ、東南アジア産地で生産が細り、オファー価格が急上昇しているため、下値では買いが入っている。
◇東京原油スポット市場の中東産ドバイ原油相場は小幅続落。取引の中心である三月渡しは前日終値に比べ〇・〇五ドル安の一バーレル一三・〇七五ドル(中心値)となった。米国の寒波が緩んできたのを嫌気して前日のニューヨーク原油先物相場が下落したのを映した。
◇綿糸四〇単は各市場とも反落した。このところの一本調子の上げで警戒感も出てきた。綿花不足を材料に上値を追っていた東京、大阪の期近に利食い売りが集まり、下げ幅も大きくなった。名古屋の下げは小さい。
東京株式相場では、連立与党が所得税減税の先行実施で合意する見通しが強まったことを好感、日経平均株価は急反発した。先週末に急落したニューヨーク株式相場が前日反発したことも買い安心感を与えた。外国人投資家が引き続き大幅に買い越しているうえ、証券会社の自己売買部門や個人投資家も買いを入れ、事業法人などから出る売り物をこなしている。富士通をはじめ電機株やNTTが人気を集めた。
◇富士通が反発。一時、千百十円を付け、昨年来高値を更新した。九五年三月期の経常利益が五百億円前後(今期比倍増)に回復する見通しを好感した。「マルチメディア関連の主力銘柄というテーマ性もある」(山一)という。朝方から外国人投資家や個人投資家、証券会社の自己売買部門の買いを集め、寄り付きの成り行き注文は差し引き二百六十一万株の大幅買い越しとなった。売買高も膨らみ、前場だけで前日を上回った。
◇古河電、住友電、フジクラなど電線株が高い。マルチメディア関連銘柄として個人投資家、証券会社の自己売買部門などが買いを入れている。政府が九四年度から光ファイバーを使った次世代通信網整備を税制面で後押しすることが決まったことも、買い安心感を与えているようだ。昨年三、四月にも急上昇したが、「昨年来高値を更新したのは住友電だけで、次は古河電、フジクラ」(野村)との声も聞かれた。
◇自動車株が総じてしっかり。中でもいすゞ、マツダ、富士重など低位の自動車株には、目先の値幅取りを狙った個人投資家などが手掛けやすいとして買いを入れている。所得税減税の実施が固まったことや、四月から自動車にかかる消費税の割り増し税率(四・五%)が撤廃され三%に引き下げられることも支援材料。「ここ一—二年は車検時期を迎える自動車保有者も多く、相当の買い替え需要を期待できる」(山一)という。
◇オカモトが反落。前日は日米包括協議の行動計画に日米両国が人口・エイズ対策として総額百二十億ドルを拠出することが盛り込まれるとの材料を手掛かりに買われた。しかし「どれだけ業績に貢献するのかよくわからない」(大和)うえ、もともと目先筋の買いが主体で上げに勢いがなくなれば資金の逃げ足も速い。
【日経平均先物】三月物は反発。買い先行で気配値を切り上げ、前日比二百四十円高の二万三百六十円で寄り付いた。その後は、新規買いや売り方の買い戻しが入り、ジリ高となった。前引けでは二日の高値を上回った。ここからの相場上昇は難しいと見て、「機関投資家の一部からは下げに備えたヘッジ売りも出ている」(野村)というが、これを吸収した格好だ。
【TOPIX先物】三月物は反発。買い先行で始まり、前日比一五ポイント高の一六二六ポイントで寄り付いた。その後は小口の売り買いが交錯する中で、ジリジリと高くなった。裁定買いで現物相場が上昇すると、それにつられて先物も上げたが、日経平均先物に比べて動きは鈍かった。
【日経平均・TOPIXオプション】日経平均二月物は現物、先物高を受け、コールが上げ、プットは下げた。十日に特別清算指数(SQ)の算出を控えていることもあって、様子見気分が強い。こうした中で、コールは権利行使価格二万五百円の商いが膨らんだ。TOPIX二月物は商いが成立しなかった。
株高を受け、CB・Q平均は反発した。最近上場した流動性の高い銘柄が個別物色されている。テンアライド(2)が上げたほか、タクマ(1)、ユニデン(2)も「個人投資家の買い」(山一)でしっかり。この日上場の川田工(4)は百十円二十銭で初値。
〇…奥村組の株価が昨年十一月二十九日の七百五十円を底に上昇に転じ、二月一日には昨年来高値千百十円をつけた。その後は千—千百円で推移している。
〇…株価上昇のきっかけは近く発表される政府の追加景気対策。「土木工事のウエートが高い同社にメリットが大きいと期待して外国人投資家が買っている」(野村)。一連のゼネコン汚職で、建設株全般が物色の圏外に放置されていたため「割安感が出ている」(ベアリング)という。
〇…相次ぐ贈収賄摘発や、不動産業者などへの巨額の債務保証でゼネコンの経営体質が問題視されている。その点、奥村組は「債務保証額が少なく、財務の健全さが評価されている」(野村)という。九月中間期末の債務保証残高は六億九千万円と、同業他社に比べ低い。
〇…九四年三月期は民間建築の落ち込みで減収となるが、資材価格安など工事コストの低下で、営業利益は前期比七%増える。ただ、金融黒字が縮小するため、経常利益は同一五%減少しそう。もっとも予想株価収益率は四十倍台半ばで、同業他社に比べ割高感はない。民間受注の落ち込みなど業績にとってマイナス要因もあるが、公共投資拡大という追い風が吹いているだけに、目先は堅調な動きが予想される。
大証ではダイワボウがにぎわった。一日に一時三百円まで上げ、昨年六月高値から十一月安値までの下げ幅の半値戻しを達成したあと調整していたが、この日は相場全体の地合い好転を受け、個人投資家中心に小口の押し目買いを集めた。情報通信関連などのテーマに沿った銘柄が買われる一方、「値ごろ感から低位株も循環物色されている」(日興)。九四年三月期は二期連続の経常赤字見通しだが、「綿糸市況の回復で業績底入れが見えてきた」(中小証券)とする向きもあった。
東証二部指数は反発した。情報通信関連の個別物色が進んでいる。その中で神田通が大量の買い注文を集め、気配値を切り上げた。同業で一部上場の日通工が高値追いの展開となっており、比較感から買われている。個人中心の商いだが、「情報通信が相場のテーマとして定着したとの判断から、法人も買っている」(中堅証券)との声も。
日経店頭平均は小幅ながら反発した。THKが高い。この日、鉄道総合技術研究所などと共同で、カーブ走行時の鉄道車両の安定性を向上させるベアリングを開発し、JR北海道が採用を決めたと報じられたことで人気化した。前日比九十円高まで買われる場面もあったが、前引けにかけ利食い売りに押され、やや伸び悩んだ。
ある機械メーカーの財務部。冬季五輪の複合団体で連続金メダルがなるかどうかの話題に花が咲く。「得意のジャンプで勝負をつける先行逃げ切りしかない。カギを握るのは試合当日の風だな」と若手。「ウチだって三月期末に風が吹き、株式相場が上昇気流に乗れば株の含み損が消えるのに」と先輩が受ける。
それを聞いた課長氏。「ジャンプが得意だと言っても、距離での地力があるからこそ逃げ切れる。本業での収益回復が先決」と、“風まかせ”経営の危うさをひとくさり。
第一勧業投資顧問社長
高畑 昌生氏
日経平均株価は三月末まで、戻っても二万千円止まりか。国内機関投資家の動きが鈍いうえ、外国人投資家も、日本株の組み入れ比率が一定のレベルに達すれば一服すると考えるからだ。実体経済に明るさが見えないため相場の本格回復にはまだ時間がかかる。政局が混迷するようだと一万九千円程度まで下げる局面もあろう。
住宅や薬品株に注目したい。業種にとらわれず技術開発力がありリストラの進んだ銘柄を発掘するのもいいだろう。
債券相場はもみ合い。安く寄り付いた後、先物は上昇に転じた。株式相場の反発や、政府・与党による六兆円減税の先行実施合意を先取りする格好で、銀行や証券会社のディーラーの売りが先行した。ただ、先物三月物は中心限月の交代を控えた買い戻しが入り、売り一巡後は下げ渋った。その後、三重野日銀総裁が月例経済報告閣僚会議で「景気実態からみて長期金利の上昇は続かない」との見通しを示したことを受け、先物は買い戻しの動きが優勢になった。
日銀は手形買いオペで五千億円を市場に供給。市場では「前日と同様にやや緩め感のある調節」との見方が多い。無担保コール翌日物の中心金利は横ばいの二・二五%。ユーロ円金利先物は売りが先行したが、三重野日銀総裁の「長期金利の上昇は続かない」との発言を機に買い戻しが入った。譲渡性預金(CD)三カ月物金利は前週末に比べ〇・〇一%高い二・二一%。
・日経平均は急反発。減税の先行実施の見通しを好感した
・円は1ドル=108円後半で小反発。銀行の円買い戻しが先行
・債券相場はもみ合い。安く始まった後、先物は上昇に転じた
・金先物は海外相場安と円高・ドル安を受け続落
ウルトラマン、海外へシュワッチ——。円谷プロダクションが、ハリウッドでビデオの新作シリーズ「ウルトラマンパワード」を製作している。日本では一部がすでに発売になり、将来は米国での販売も計画している。また、旧ウルトラマン作品が中国でテレビ放送されることが決まるなど、ウルトラマンは、ゴジラに続く「国際タレント」となりそうな気配だ。
「ウルトラマンパワード」は、特撮で名高い同プロと、米国の製作会社メジャーハビックが手を組んだ初のハリウッド作品だ。円谷皐(のぼる)同プロ社長は「日本のアイデアとハリウッドのSFX(特殊効果)技術で新時代のウルトラマンができると期待した」と米国進出の狙いを説明する。海外作品としては、八七年に米国で製作されたアニメ版の「ウルトラマンUSA(邦題)」、九〇年にオーストラリアで作られた実写版の「ウルトラマンG(グレート)」に次ぐもの。
製作に当たっては、脚本や怪獣の基本デザインは日本側が担当し、監督や現場スタッフは米国側という態勢で臨んだ。出演者は全員、米国の俳優で、会話もすべて英語。日本版ビデオは吹き替えになっている。主役は米国の俳優ショー・コスギの長男ケインが務めた。
「パワード」は全十三話で、ビデオ七巻のシリーズ。製作費は約六億円。ビデオ発売元のバンダイビジュアルは、七巻で二十万本の売り上げを期待しており、製作費の回収は十分可能と見ている。
九〇年代の社会環境を考慮して、昔とは設定もかなり変化した。時代は近未来、場所は地球。そこでは環境汚染が進んだ結果、汚染の産物として巨大な怪獣が頻繁に出現し、人間に対する脅威となっている——。かつてのウルトラマンシリーズでは、怪獣の発生に特別な理由がないケースもあったが、今回は地球環境問題を出現の背景としているのが特徴だ。
また、怪獣に対抗する特別組織「ウイナー」は、世界各国の基金により国連の指揮の下に運営されている。ここには、湾岸戦争やPKO(国連平和維持活動)といった近年の国際情勢を取り入れた設定が見てとれる。
パワードの製作に携わったバンダイビジュアルの渡辺繁第一事業部長は、「計画当初から米国でのテレビ、ビデオ販売は織り込み済み」と米国での展開に意欲をのぞかせる。パワードでは俳優は最初から英語を話しているので吹き替えの必要がなく、背景も米国で違和感がない。米国の暴力コードにも配慮して、単なる怪獣殺りくものにならないよう注意したという。
ハリウッドで製作した結果、「娯楽性が前面に出て、展開もスピーディーになった」と円谷氏は評価する。映像面では旧シリーズに比べ、セットの精巧な仕上げ、SFX処理の見事さが目立つ。半面、ウルトラマンの動きの不自然さや一部コミカルな演出に旧作との違和感がある。円谷氏も「パワードの仕草が歌舞伎風になったり、怪獣が動きにくい作りになっていたりと反省すべき点もある」と共同作業の難しさを認める。
一方、円谷プロは劇場公開用の新作も準備している。現在、脚本を練っている最中で、来夏公開を目標にしている。日本人のスタッフを中心に、舞台を中国に設定して撮影する予定。総予算は十億円程度で、「かつて初代をテレビで見た世代の大人も楽しめる娯楽作品に仕上げたい」(円谷氏)と意気込む。
旧作の各ウルトラマンシリーズは、米国、フランス、スペイン、タイなどの国々でビデオやテレビで親しまれてきた。中でも円谷プロが力を入れているのがアジアだ。九一年には上海に「円谷アニメーションスタジオ」を設立、日、米、アジア向けのアニメを一貫製作する拠点に育てつつある。しかも、地元、上海のテレビ局「上海東方電視台」が、九三年から初代ウルトラマンなど四百五十本のテレビ放送を始めた。同プロはほかの中国のテレビ局へもはたらきかける意向で、ウルトラマンシリーズの認知度が高まるのは確実だ。
円谷プロが初代の「ウルトラマン」を製作したのは六六年。それから四半世紀を経て、九〇年代のヒーローとして登場したパワードは、米国のバットマンやスーパーマンのような国際的スターになれるのだろうか。
ノルウェーの若手トランペッター、オーレ・エドワルド・アントンセン(32)の演奏するファンファーレでリレハンメル冬季オリンピックは開幕する。前回のアルベールビルでは閉会式で、ノルウェーの持ち時間五分を担当、その透明な音色で世界中のファンをうならせた。
八七年のジュネーブ国際音楽コンクールでは審査員全員一致で一位に選ばれ、フランスの天才トランペット奏者、モーリス・アンドレの再来と評された。以来、北欧、ドイツを中心に人気はうなぎ登り、年に二百五十日は演奏旅行という多忙さだ。
五歳の時からアマチュア吹奏楽団の指揮者である父から手ほどきを受け、その後は国立音楽院で学んだ。コンテンポラリー、ロック、ジャズと何でもこなすが、一番好きなのはバッハ。「楽器が持つ可能性を最大限に生かせる演奏家になりたい」と、ひたむきだ。
訪日はこれまで三回。わざわざ日程を延ばして、大相撲の観戦を楽しむほどの日本ファンである。若い奏者たちとの交流も楽しみ、ともすれば真剣に構え過ぎる日本人には「遊び心を忘れずに」と助言する。
一人でフィヨルドの奥にボートを出し、トランペットを吹くのが好きという。自然の息吹にも似たアントンセンの演奏こそ、雪山の祭典にふさわしい。 (ロンドン=欧州総局)
「オペラ座の怪人」「キャッツ」などを作曲したアンドリュー・ロイド・ウェバーの最新ミュージカル「サンセット大通り」がいつブロードウェーで開幕するのか、ファンをやきもきさせている。五〇年製作の同名のパラマウント映画のミュージカル化で、グロリア・スワンソンが演じていた往年の大女優を、舞台ではだれが演じるかが話題の中心である。
ロンドンでは、ブロードウェー女優パティ・ルポン主演で昨年七月にオープンしたが、彼女に決まるまではメリル・ストリープやバーブラ・ストライサンド(新アルバムで「サンセット大通り」の一曲を歌っているので、誤解されたか?)がうわさにのぼっていた。
ロンドンでのヒット作は、そのオリジナル・キャストでブロードウェーで上演するのが通常だったが、この作品は、ブロードウェーを越えて昨年十二月、ロサンゼルスでグレン・クロース主演で開幕した。彼女は大型ミュージカル女優誕生と絶賛され、ブロードウェーはルポンよりクロースでという声が出はじめている。半面、ストリープ、ベティ・バックレー、あるいはシャーリー・マックレーンの名までうわさになっているのも事実。
スターの名前で話題を作り、期待感を盛り上げ今秋のブロードウェー上演にこぎつけようという作戦のようである。(N)
百タイトルを目指して刊行が続いているキングレコードの民族音楽シリーズ「ワールド・ミュージック・ライブラリー」の第三期十五タイトルが発売された。既発売のものを含めた八十五タイトルの約九〇%を韓国からトルコまでの地域が占め、「ワールド」というよりは「アジア」の民族音楽シリーズの感が一段と強くなった。
今回も半数がレコードとして日本に初めて紹介されるもの。中でも、インドネシア・バリの先住民の子孫が伝える、天から降ってきたという伝説に彩られた鉄のガムラン、スロンディンや、ネパールの太鼓の並べ打ちマーダル・タラングといった世界で初めて収められた音楽もある。
同じく百タイトルを目指すビクターエンタテインメントは、沖縄・奄美の民謡なども加えて、五月に二十八タイトルを発売、「JVCワールド・サウンズ」シリーズを完結させる。キングも日本の音をシリーズに加える方針だが、完結は来春になる見込み。
五人編成のロック・バンド、THE虎舞竜(ザ・トラブリュー)=写真=が新しいシングル「ロード〜第二章」を出した。出荷枚数が二百三十万枚を超えた大ヒット曲「ロード」の続編。売れたから急いでつくったわけではない。曲を書いた高橋ジョージは「最初から十三章まであった。通して演奏すると、一時間二十分かかる。十三章までCDにしたい」と話す。
売れないころから、高橋は楽天的だったという。「自分がやったことがひとつ否定されることはポジティブ(積極的)なものがひとつ生まれること。次々に否定されたことで、やるべきことが明確になった」。売れそうな曲ではなく、仲間の間でいい曲だといえる曲をつくろうとしてできたのが「ロード」だった。
「歌詞の中に出てくる『何でもないような事が幸せだったと思う』という価値観は十年後、二十年後にも変わらない。定番のような曲があってもいいと思う」。「ロード〜第二章」の出荷枚数も五十七万枚に達した。三月中旬から四月にかけて東京や大阪など主要都市で公演する。
新作落語の雄・三遊亭円丈(写真)が十五日、国立演芸場で十年ぶりに独演会を開く。演目は、三十二年ぶりに刑務所を出た男が世の中の変ぼうぶりに驚き怒る「イタチの留吉」とネタ下ろしの一席を予定している。「今年五十歳。かつてのように三席語るってのは体力的にムリですね。作っても覚えられない。だから、やらなかったというわけじゃないんですが……。その代わり今までより丁寧に語るようになったし、掛け捨てにせず、もう一度練り直すようにもなった」と語る。
新作をやる者はアマチュア精神、つまり何でも面白がってやろうという精神を持ち続けることが大事というのが持論。常にざん新なはなしを独自の手法で構築し、まったく新しい表現方法によって笑いの渦を巻き起こしてきた。「過去の円丈をぶっ倒してやろう精神でやるっきゃないでしょう」と、新境地を求めて走り続ける決意をみせる。
山下久美子「OK! ジス・イズ・ザ・ポップ」(写真) 一九九三年十月二十七日の渋谷公会堂公演を収録した一時間。最新作からの歌を中心に、精力的だがかわいらしさのあるステージを。終盤の曲がいい。(東芝EMI)
牧瀬里穂「P・S・RIHO」 初のツアーの中から九三年十一月十三日、東京厚生年金会館での十六曲を。リハーサルなど、ドキュメント風の部分も。(ポニーキャニオン)
ディップ「アイル」(写真) 久々に期待を抱かせる新鋭が登場した。六〇年代ロックからの借用を随所に感じさせる音の感触。歯切れのいいギターの音が快い。二十分に及ぶ表題曲は三部構成のサイケデリックな大作。(東芝EMI)
アイス「ウェイク・アップ・エヴリバディ」 作詞作曲するギタリストと女性ボーカルの二人組。第二作もどこかになつかしさをたたえた都会的な音づくり。レッド・ツェッペリンなどの引用も豊富に。(東芝EMI)
ジュディー・アンド・マリー「J・A・M」 女性ボーカルを擁する四人組のデビュー作。ギターを中心にしたスピード感のある演奏に、独特の幼さを残したボーカルが乗る。不安定感が効果をあげた曲も。(エピック)
イージー・ウォーカーズ「アンファン・テリブル」 ローリング・ストーンズ風のロックンロールをめざす大阪出身の五人組。普遍性のある様式だけに安心して聴いていられるが、目新しさには乏しい。(メルダック)
寺岡呼人「ラプソディー」 ジュン・スカイ・ウォーカーズのベース奏者が脱退してソロ第一作を。フォーク・ロック風の音でバンドとはまったく違う側面を見せる。松任谷正隆が制作と編曲を担当した曲も。(トイズ)
橘いずみ「太陽が見てるから」 女性版尾崎豊と呼ぶのが一番説明しやすい女性歌手。異様に単語数の多い歌詞をエモーショナルな声と唱法で歌う。緊張感の高い曲はなんだか脅されているようにも聞こえる。(ソニー)
サンディー「ドリーム・キャッチャー」 いつものようにアジアをはじめ、様々な場所からいろいろな音楽の要素を借りてきて、洗練された商品に仕立て上げる。きわめて日本的な手法によるプロダクト。(エピック)
吉川晃司「クラウディハート」 アイドルとしてのデビューから十年が過ぎた。曲づくりに新鮮さが感じられ、音づくりも意欲的。半面、歌唱そのものはまだ発展途上にあるが、これも個性かもしれない。(東芝EMI)
「江戸屋’93ロック・フェス」 江戸屋はギタリストのチャーが率いるレコード会社。所属音楽家四組が出演した昨年九月の日比谷野外音楽堂でのイベントをCD二枚に収録した。チャーを中心とするトリオ、ピンク・クラウドの骨太なロックが頼もしい。(江戸屋)
今、日本の映画監督が一番使ってみたい若手俳優の一人だろう。新作「ラストソング」では東京国際映画祭の最優秀男優賞を獲得。92年の周防正行監督作「シコふんじゃった。」で受けた俳優としての評価をさらに高めた。
映画監督は役者「本木」を削りだすカンナだという。「理解し合える監督ばかりじゃつまらない。監督と自分の矛盾が大きいほど新しい本木が浮かび上がる」。新作では杉田成道監督の人間臭いウエットな演出を経験した。「ぼくは刺激を求める発展途上人。ずっと被写体として料理される存在でいたい」と、己を“素材”に規定する。
「役者としてジタバタしている自分が、かえって複数の顔を持つ役にはまるみたい」。自分を見つめる冷ややかな視線は、28歳とは思えない。時折、鏡の中のもう一人の自分に語りかけるように話す。はっと我に返った表情はアブナイ魅力を漂わせる。
最近は詩人、画家、映画監督でもあったコクトーにひかれている。「巨匠扱いされない軽やかなスタンスが好き」という。コクトーの権威や分野に縛られない生きざまに、アイドル、写真モデル、映画俳優と脱皮を続けてきた自己を写し見ているように見えた。
昨年、インドを訪れた。「すべてを受け入れる仏教の人生観に共感し、生と死が少し身近に感じられた」という。その影響か、近ごろは遠藤周作や養老孟司の本をよく読むそうだ。
「一瞬の強さを際立たせるためには、軽さを見せ付けておくのが必要」と自分を演出するすべも身につけた。このしなやかでしたたかな原木には、並のカンナでは歯が立ちそうにない。
オーソン・ウェルズのオセロ (写真)シェークスピアの有名な悲劇を、天才オーソン・ウェルズが映画化した名作。52年のカンヌ映画祭でグランプリに輝き、映画人としてのウェルズの名声を不動のものにした。軍人オセロは士官イアーゴの謀略で、愛する妻を殺害してしまう。長い間行方不明だった四十年前の原版を完全復刻してビデオ化。94分、ビデオ、12800円。(東北新社)
さよならモンペール 背伸びしたがる思春期の少女と、娘の成長に戸惑う父親を描くドラマ。娘の奔放さに悩む父役はジェラール・ドパルデュー。G・ロージエ監督。114分、ビデオ、15800円。(東和ビデオ)
マチネー キューバ危機の最中に、B級ホラー映画を上映する人々が巻き起こすコメディー。映画に携わる人たちの思いをコミカルに描く。「グレムリン」のジョー・ダンテ監督。99分、ビデオ、16000円。(松竹)
(もとき・まさひろ)一九六五年生まれ。八一年TBS「2年B組仙八先生」でデビュー。八二—八八年、シブがき隊で活躍。八九年「ファンシイダンス」、九二年「シコふんじゃった。」と周防正行監督作に主演し評価を得る。公開中の映画「ラストソング」は十三本目の出演作。
「結婚しなくても、仕事のための時間を削ることになっても子供は欲しい」と、自ら選択してシングル・マザーになる女性がアメリカでは増えているようだ。『ニュー・ウーマン』誌(一月号)によると、一九九一年にこの国で生まれた子供の数は約四百十万人で、彼らの母親の三割近くはシングル・マザー。その多くは未婚で妊娠し、未婚のまま出産することを決意、あるいは妊娠後に離婚し、一人で育てていく決心をした女性たちだが、人工授精や養子縁組など、最初から一人で親になる道を選択する女性も増えているという。
ニューヨーク市に拠点を置き、全米二十都市に支部を持つシングル・マザー支援グループ『シングル・マザーズ・バイ・チョイス』でもメンバー千八百人のうち約三分の一は人工授精で子供を産んだ女性たち。人工授精のための精子バンク・ビジネスは、急成長を遂げているという。
人工授精にかかる費用は、一回の「試み」につき精子代が百ドルから二百ドル。医者のもとへ届ける送料として、もう百ドル。さらに関連検査代および施術料を医者に支払う。
ある女性弁護士は、三十七歳の時、付き合っていた男性と別れたのを機に人工授精で子供を産むことを決意。以来三年間、排卵周期ごとに二回ずつ人工授精を試みているが、まだ成功していない。費用は排卵周期ごとに約八百ドル。その他に薬代が毎月千五百ドルかかっている。五人に四人はシングルであるなどの理由で医者に施術を断られているという報告もあるが、精子バンクによっては「自分で(人工授精を)やる」方法を教えてくれるところもある。
養子縁組の場合は、あっせん機関を通すか、専門の弁護士に依頼するか、もしくは自力で探すということになる。あっせん機関には「あっせん料無料」というところから二万ドルくらいかかるところまであり、相場としては九千ドル前後。専門弁護士に依頼すれば手間も時間も省けるが、当然その分高くつく。
アメリカでは毎年十万人以上の子供たちが養子縁組しているが、シングル・マザーとの縁組件数は増える一方。全米黒人ソシアルワーカー協会ニューヨーク支部の紹介で縁組した人たちの半数はシングルで、その多くは「家持ちのプロフェッショナル・ウーマン」。人工授精同様、シングルだという理由で縁組できないケースもあるが、児童福祉の専門家などはシングル・マザーを歓迎する傾向にあるという。(大)
◎…東京の約四十の日本語教室が集まり、「東京日本語ボランティア・ネットワーク」を結成した。一月二十四日には初総会を開いたが、今後は毎月一回、運営委員会を開き、情報交換をしたり日本語教授法の研修をしたりしてレベルアップに努める。
◎…「日本語なら特別な勉強をしなくても教えられる」「先生になれば外国人と交流が持てる」——。こんな安易な考えがまかり通っていると代表の伊藤美里さんは嘆く。教室がつぶれたり代表者が代わったりするのは日常茶飯事という。外国人は単に日本語を学ぶだけでなく、日本人の物の考え方や文化も知りたいと思っている。そんな声に応じられる団体は一握りだ。
◎…同会はまた東京都内の日本語教室の名前と連絡先などをまとめた「日本語教室まっぷ東京編」を作り、一部百円(送料別)で配布している。外国語版の「まっぷ」も発行する予定。変更事項、新設教室などは東京ボランティア・センターを窓口にして告知する。問い合わせは東京ボランティア・センター(TEL03・3235・1171)まで。
米国音楽の原点といわれる「カントリーミュージック」が、若者の間で人気を集めている。これまで、全盛時代の西部劇に慣れ親しんだ五十代以上の、いわば往年の固定ファンに限定されていた音楽だったが、本場、米国でのブームをきっかけに若いロック世代に見直された。コンパクトディスク(CD)の購買層が拡大しているほか、ライブハウスでは、西部劇風ファッションの来店客が生演奏で踊る「カントリー・ダンス」のイベントが人気となっている。若い世代はその素朴で明るく、きれいなメロディーに新鮮さを感じ、ひかれているようだ。
テンガロンハットにウエスタンブーツ、ジーンズ姿の若い男女が、カントリーバンドの演奏に乗って、フォークダンス風の踊りを踊る。首都圏のライブハウスでは、このようなカントリー・ダンスのイベントが相次いで開かれている。
一年半前から月一回、同様のイベントを開いている東京・渋谷区のライブハウス、クロコダイルでは「客数は着実に増え、今は毎回ほぼ満員。とりわけステージの合間に設けたダンスの指導コーナーが大好評」(西哲也店長)という。
客のほとんどは昔の「カントリー&ウエスタン」を知らない二十—三十代。男性、女性ともシャツからブーツまで完ぺきなウエスタン風ファッションで決め、ほぼ全員が踊るという。
ヴィンス・ギルやタニヤ・タッカーらのカントリー歌手がイーグルスの曲を歌った「コモン・スレッド—ソングス・オブ・イーグルス」は十二月の国内盤発売から現在までに約一万五千枚が売れた。発売元のBMGビクター(東京・渋谷)では「五万枚は行きそう」(中原文夫ポピュラー部次長)と、この分野では異例のヒットを見込んでいる。他の新発売アルバムも二千—三千枚は売れており、「CDを出すこと自体が難しかった三年ほど前とは様変わりした」という。
都市部の大型輸入CD店では、専用コーナーを設けるなど、カントリーに力を入れる店が目立つ。タワーレコード新宿店では、昨年九月に実施した値引きセールをきっかけにカントリーファンが増え、販売枚数が以前の一・五倍に増えた。同店では「十代、二十代の購入者が増え、買うCDも多様化した」(担当者の高田実さん)ことから、品ぞろえを強化し、約七百点のCDを専門コーナーに並べる。
ヴァージンメガストアーズジャパン(東京・新宿)の新宿店では、一昨年まで月に数枚しか売れなかったのが、昨年は二百—三百枚まで増えたという。
タワーレコード新宿店のカントリー専門コーナーでCDの品定めをしていた会社員の西川淳さん(32)は「最近はハードロックを聞くと疲れる。カントリーはメロディーがきれいで、何よりリラックスできるのがいい」と話す。三十年以上前のブームを知らない世代には「古臭い音楽」といったイメージもなく、耳には新鮮に響くようだ。
京都市の神門佐千子さん(39)も、我が子がいずれ二つの国籍から一つを選ばなければならない。いわゆる「国籍選択」を迫られる立場だ。
十五年前、会話学校でフランス人教師の夫(48)とめぐりあい、結婚しようと決めた。家族に「この人と結婚する」と切り出すと、両親は驚いたが、反対はしなかった。パリで日本語を学び、結婚前にすでに日本での暮らしが十年に及んでいた夫。いつもこの国の文化を知ろうと努めていた彼の姿勢に、家族も好感を持ったのだろう。
使い古したシーツを熱湯で洗って食器をふくフキンを作ったり、こまめに電気をつけたり、消したり……。「合理的とも、けちとも思える向こう流のスタイル」に、最初は戸惑ったが、今は楽しい日々が続いている。
今春、地元の中学に進学する十一歳の長男は、三歳までフランス国籍。「京都で日本人の私から生まれた子供なのに、どうして両方の国籍が対等に扱われないのか」と、納得がいかなかった。
同じような疑問を感じた母親たちが多かったのだろう。東京、大阪などで、「国際結婚を考える会」が相次ぎ結成され、佐千子さんも、十数年前、京都の会が発足以来、参加している。そこで、それぞれの夫の国籍の違いを超えて交流を深めるうち、日本人と結婚していたら見えなかったものが、よく見えてきたような気がする。
結婚前から、「実子は一人だけにして養子を迎えよう」というのが夫の持論だった。「人口があふれているのにたくさん子供を生むことはない」という主張に最初は驚いたが、欧米では養子縁組は特別なことではないのだという。今、六歳になる二男は、こうして生後二カ月余りで家族の一員になった。「血のつながり」のない家族。自分にとっては新たな価値観に出合えたのも、国際結婚のおかげだと思う。
父と母。二つの文化の間に立って成長していく子供たちは、幼い時ばかりでなく、思春期の難しい年ごろに、互いの影響を受けて自己のアイデンティティーを形造っていく。
夫は近ごろ「老後は母国で」とほのめかすようになった。会員同士で話しても、ベテランになればなるほど、同じような話を聞くことが多い。外国人と結婚した日本人女性の中には、夫の在留資格や、互いの両親の事情などによって、夫の母国と日本を行ったり来たりしている人も大勢いる。
将来、家族がどこでどういう形で暮らすのかだれにもわからない。その上、国籍法改正でようやくフランス籍に加えて日本籍も取得した長男も、二十二歳までに再びどちらか一方を選択する決断を迫られるのだ。二つの国籍を持ち、二つのパスポートを使い分けて行き来できる今の長男に、「選択」を強いるのは決してやさしいことではない。佐千子さんの疑問はなかなか解消できそうにない。
東京、大阪などで国税局が特設会場を設け所得税の還付申告を受け付けているが、これら「還付申告センター」は各国税局が独自に開設しているため開設期間や時間帯、受け付ける相談の内容はまちまちだ。対象となるサラリーマンやOLは上手に利用するために、よく情報収集してから出かけることが肝心だ。
国税庁によると、今回開設される「還付申告センター」は全国十五カ所で、東京、大阪(二カ所)、仙台、福岡、北九州、熊本、鹿児島の計八カ所は一日にオープンした。札幌は十七日から、名古屋は三カ所のうち一カ所が十四日、二カ所が二十一日から開く。一日にオープンした八会場の最終日は二月十五日(東京)、同二十八日(大阪)など三種類に分かれる。
受付時間帯も異なる。東京駅日本橋口のセンターの場合、正午から午後一時までは昼休みで、終了は毎日午後五時。管轄の税務署に関係なく勤務先の近くで申告できるのは便利だが、「昼休みに会社を抜け出したり、退社後に寄れればもっといい」と残念がる声もある。
また、東京国税局は今年は、「利用者の待ち時間の短縮」などを理由に、書き込んだ結果わからない部分をアドバイスする程度になった。何も用意なしにセンターに行っても何とかなるかどうかは、各国税局に問い合わせておいた方がよさそうだ。
【シカゴ7日=山本浩司】米国のプロバスケットボールのスーパースターだったマイケル・ジョーダン氏(30)と米大リーグのシカゴ・ホワイトソックスは七日記者会見し、ジョーダン氏がホワイトソックス傘下の3Aチーム、「ナッシュビル・サウンズ」に入団することで正式契約したことを明らかにした。十五日から始まる合同キャンプでの成績次第ではホワイトソックスの開幕戦にレギュラーとして加わる可能性もあるという。
ジョーダン氏は十五日からフロリダ州で予定されているキャンプに参加する見込み。キャンプ中の成績がよければホワイトソックスの二十五人の登録選手の中に開幕戦から加わる可能性もあるという。
敗訴が確定した作家、伊佐千尋氏の話 裁判所は前科を暴いたのがいけない、というが、「逆転」はその前科そのものが間違いである、と訴えた本。彼が無実だということこそ大切なのであり、名前に触れざるを得なかった。裁判所は問題の本質が分かっていない。公益性を認めないのは納得できない。自分は常にプライバシーの保護に十分配慮して執筆するようにしており、犯罪報道では匿名主義をとっている。その上で(「逆転」では)名前を公表する意義があると考えた。広く一般の人にもこの問題を考えて欲しい。
【ニューヨーク7日=津川悟】国連は七日、女性差別撤廃委員会の委員改選を実施し、日本が推薦した佐藤ギン子在ケニア大使=写真=を新委員に選んだ。女性差別撤廃条約の締結国百三十カ国の投票で有効投票数百二十四票のうち九十五票を集めトップ当選した。現在の二十三委員のうち赤松良子文相ら十二人が任期切れとなるのに伴う改選で、労働省婦人局長、総務審議官を歴任した佐藤氏は四月から四年間にわたり、各国の女性の地位向上について調査・勧告する任務を負うことになった。
大阪府水道部の会議費や懇談会費などをめぐる公開訴訟で、最高裁第三小法廷は八日、府側に情報の全面公開を命じる判決を言い渡した。この訴訟では公開請求された情報が、公文書公開等条例の例外規定に該当するかが争われたが、判決は、非公開処分にあたっては府側に立証責任を課し、今回のケースではそれが行われていない点を指摘、結論として府側の主張を退けた。「原則公開」を前提とし、住民の「知る権利」を尊重した判断で、住民側の行政監視に一定の道を開くものといえる。
最高裁は先月、知事交際費公開訴訟判決で「相手方が識別されるような情報については公開しなくてもよい」との判断を提示した。今回、これと異なり「原則公開」の判断が下されたのは、自治体の事業遂行のためで目的なども多岐にわたる会議費などと相手方との友好、信頼関係維持などを目的とした知事交際費との性格の違いに着目したためだ。
判決は情報を非公開とするには自治体側に厳格な立証を迫っており、行政側に厳しい判断となった。その意味で行政当局の不明朗な公金支出などに一定の歯止めをかけるものともなりそうだ。
豊島良三大阪府水道企業管理者の話 判決内容の詳細については、まだ承知していないが、今後、判決の趣旨に従い、大阪府公文書公開等条例の定めるところにより、速やかに所要の処置を講じたい。
東京都衛生局は八日、都内で今シーズン初めてインフルエンザウイルス(A香港型)が検出されたと発表した。同局は学級閉鎖のあった学校の欠席児童の検査を実施しているが、今年は全国的に流行が遅れており、ウイルスの初検出の時期は過去五年間で一番遅かった。
初検出されたのは日野市立第四小学校(片岡千寿子校長)の一月十七日の学級閉鎖の際の欠席児童。都内の公立小・中学校などでは昨年十一月末から七日までにインフルエンザによるとみられる学級閉鎖が計百十八校、二百十七学級にのぼっている。ただ昨年の同時期には二千七十校、二千九十学級だった。
民間の行政監視グループ「市民オンブズマン」の会員で原告の植田肇さん(72)の話 情報公開の流れから後退した一月の大阪知事交際費訴訟の最高裁判決で意気消沈していただけに、喜びでいっぱいだ。妥当な判決内容に胸をなでおろしている。公金の使い道を市民の前に明らかにすることは民主主義を守ることにつながる。大阪では議会や監査委員の与党化が進み、行政に対するチェック機能が弱い。市民の手で不正防止に監視の目を光らせることが必要だ。
東京都二十三区で半透明ポリ袋を使う新しいゴミ出しのルールの本格実施が始まってから、八日で三週間たった。都清掃局は「予想以上にルールが守られている」とみており、ルール違反が多い集積所に注意喚起ステッカーを一斉に張り出すという当初の計画を変更し、今月に入ってからいきなりルール違反の黒ポリ袋などの取り残しを実施した所もある。都清掃局と各清掃事務所は“うれしい誤算”の中で、ルールが早く徹底されるよう今後も知恵を絞っていくとしている。
清掃局が事前に立てた一月十七日の本格実施当初の目標は「都推奨袋や容器などルール通りが全体の五割」。
ところが初日に「ルール通り」が七割を超え、約一週間後には八割に。予定では二週間後から違反が半分以上を占める集積所に注意喚起のイエローステッカーを張る予定だったが、「該当する所が少ない」と、地域の状況に応じた作業をするよう各清掃事務所に指示した。
このため、飲食店の多い繁華街、銀座を抱える京橋清掃事務所は一日から四日間、いきなりルール違反のゴミを取り残した。本格実施開始当初はルール通りが九割近かったのが「違反したゴミも持っていくと思われたのか、八割以下に後退した」(同事務所)という事情と、「違反のゴミをなぜ集めるのか」と苦情電話があったためだ。
取り残しは四日間で百五十二カ所、三百六十九個。放置した分を翌日に回収した際には六、七割がルール通りに出し直された。全体の順守状況も九割に戻り「効果が出ている」(同事務所)という。
「歌舞伎町を中心にまだ目に余る集積所がある」とみる新宿西清掃事務所は、今月から半分以上違反している所にステッカーを張るという清掃局の当初の作業予定を実行。初日には三十枚ほど張った。またイエローステッカーを張る基準を「違反が二割以上」とした所もある。
一方、用意したステッカーの出番が全くない所も。杉並西清掃事務所は「一〇〇%近くがルール通り」と胸を張り、「今のところは様子を見ている」という。同様に住宅が多い調布清掃事務所(大田区)もまだステッカーは使っていない。
公文書の公開を規定した大阪府公文書公開等条例に基づいて、府水道部の会議費や懇談会費の明細などの文書公開を請求、非公開処分とされた住民が、府水道企業管理者を相手取って処分の取り消しを求めた訴訟の上告審判決が八日午前、最高裁第三小法廷(千種秀夫裁判長)であった。千種裁判長は「懇談会等に係る支出伝票などは条例で公開の例外を定めた文書に該当するとはいえない」として全面公開を命じた二審判決を支持、府側の上告を棄却した。これで住民側の勝訴が確定、請求した文書は全面公開される。自治体が事業遂行の目的で支出する会議費などの使途公開をめぐる最高裁の初判断で、情報公開をめぐる自治体の取り組みに影響を与えそうだ。
この訴訟では水道部の会議費や懇談会費に関し日時や目的、出席者数などを記した文書が、「行政事務に支障があるもの」として府条例の八条で規定された「公開しないことができる」文書の各規定に該当するかどうかが問題となった。
判決で裁判長は文書が条例で公開の例外を定めた企画調整事務(同四号)、交渉事務(同五号)などにあたるか検討。情報は懇談の開催日や人数などにとどまり、公開がただちに事務に著しい支障を及ぼす恐れがあるとはいえないと判示。ただ、一部に相手方が記録されているものなどがあり、水道事業のための買収予定地に関する折衝など、内密の協議を目的とするものが含まれていることを指摘した。
そのうえで「内密の協議を目的としたものについては事務遂行に支障を及ぼす恐れがある」との判断を示した。しかし、「そのためには府側でそのような判断を可能とする程度に具体的な事実を主張、立証する必要がある」と府側の立証責任を強調。「府側にはこの点についての主張がない」と述べ、結論として一、二審の判断を是認、全面公開を命じた。
八三年四月、東京都江戸川区で食品会社専務、加瀬和夫さん(当時50)を殺害したとして逮捕された加瀬さんの前妻、緒方文代容疑者(48)が、犯行の約半年前にも実行犯と別の元暴力団組員(54)に加瀬さん殺害をもちかけていたことが、八日までの警視庁小松川署特捜本部の調べでわかった。この元組員は依頼を断ったという。
調べによると、緒方容疑者は加瀬さんと離婚後、千葉県内でスナックを経営していたが、八二年秋、店の常連客で当時暴力団松葉会系組員だった男性(54)に、深夜ほかの客が帰ったのを見計らって、「前のオヤジが悪さをして困っている。やってくれないか」と加瀬さん殺害を依頼した。元組員が断ったところ、「ほかにやってくれる人はいないか」と別の実行犯の紹介も頼んでいた。
同容疑者はその後、やはり常連客だった稲川会系組長の千坂繁容疑者(44)=殺人容疑で逮捕=に犯行を依頼、八三年四月に加瀬さんを殺害した。
同容疑者は元組員に「この間の話は冗談」と話しており、元組員に五十万円を貸したうえ、返済要求していないことから、同本部では口止め料の意味で渡したものと見ている。
細川首相の突然の会見に始まった「国民福祉税」騒動が八日、ようやく決着した。三日未明の会見から五日。連立与党の足並みの乱れから、いったんは増減税ともに「白紙」に戻す事態になるなど、混乱を極めた国会だが、最後は国民福祉税構想の事実上の撤回ということで収拾した。自らの会見に始まった混乱に、協議に当たった各党代表者に「ご苦労様でした」と、ねぎらいの声をかける首相。強硬な反対姿勢を見せていた社会党の村山委員長は「(結果は)主張していた通り。国民も納得してくれるだろう」と笑み。一方、構想の推進役とも言われる新生党の小沢代表幹事は「べた降りだよ」と全面譲歩をにおわせた。社会党が粘り勝ちで押し切った協議はそれぞれの立場を象徴する言葉で幕となった。(1面参照)
前日までの協議を引き継ぎ、最終決着の場となった、与党代表者会議は午前十時半、国会内で始まった。十一時二十分、突然各代表者が室外へ。公明党の市川書記長は開口一番「まとまった。まとまった」。続けて「合意、合意」と、こちらも二度繰り返した。また官邸側とのパイプ役を務めていた、さきがけ日本新党の園田代表幹事はそのまま、同会派の控室へ。待ち受けていた議員に結果を報告すると、一斉に拍手が沸き起こっていた。
各代表者はこの後、報告のため官邸へ。「総理からはご苦労様ということだった」と肩の荷を降ろし、淡々とした表情の園田氏。対照的に小沢氏は「べた降りだよ」と、苦笑を浮かべ官邸へ入っていった。
正午過ぎからは政府与党首脳会議。渋い表情の小沢氏は市川氏とひそひそ話。笑みを浮かべながら姿を現した首相は、まず、村山委員長に歩み寄り笑顔で握手を交わしていた。
会議は約十五分で終了したが、会議を終えた参加者の表情はまさに各人各様。批判の矢面に立った形の藤井蔵相は険しい表情。「大蔵省の意向がだいぶ変わったが」と聞かれても、「いや」。続けて「(国民福祉税という)名前の問題ではない」とムスッとしたままだった。また園田氏は「具体案が白紙になっても、総理の考え方は残っているから」といつもながらのポーカーフェース。そんな中で村山委員長だけは「税は何に使うか納得してもらわないと」と、自らに言い聞かせるようだった。
一方、自らが会見で発表した構想が事実上撤回された首相はメンツ丸つぶれといったところ。記者団から「会見の予定は」「詳しい合意の内容は」と矢継ぎ早に質問が飛んでも、「まだわからない」「後で聞いてください」と、首脳会議の際とは違って、厳しい表情を崩さないままだった。
奥村 美枝子さん(おくむら・みえこ=奥村正巳蛇の目ミシン工業前社長の妻)6日午後6時30分、脳しゅようのため神奈川県鎌倉市の湘南鎌倉病院で死去、61歳。自宅は鎌倉市七里ガ浜東二ノ二二ノ八。告別式は10日午後1時から藤沢市大庭三七六一の藤沢市斎場で。喪主は夫、正巳(まさみ)氏。
裏松 きぬさん(うらまつ・きぬ=裏松昭光元日本石油輸送常務の妻)8日午前零時51分、脳挫傷のため東京都目黒区の国立東京第二病院で死去、78歳。自宅は大田区下丸子二ノ二四ノ一〇、多摩川ハイム二ノ七〇一。告別式は10日午後1時から同多摩川ハイム集会所で。喪主は夫、昭光(てるみつ)氏。
98年満期スイスフラン新株引受権付き社債の発行条件 ▽行使価格3268.30
西武第二球場の日陰には雪が残っていた。主力選手はハワイのマウイ島でキャンプイン。屋外プールの水泳トレに歓声を上げている。残留組による「もう一つのキャンプ」に話題の選手は少なく、訪れる報道陣も数えるほどしかいない。
同じ残留組キャンプでも、ジャイアンツ球場の巨人二軍キャンプには報道陣が群がっている。故障の松井、槙原、木田がいる。テスト参加の西本がいる。注目の松井は自主トレで背筋を痛めた。調整ミスを悔やんでいるところへ、報道陣から回復状況について雨あられの質問。めっきり口が重くなった。
西武にも松井がいる。松井和夫。PL学園のエースだったドラフト3位の新人だ。巨人の松井よりはるかに小柄だが、野球センスはあふれるばかり。プロでは内野手として鍛えられるが、「ダッシュの良さ、肩の強さなら、今でもウチの一、二軍を通じてピカ一」と黒江二軍監督は言う。少ない報道陣に売り込み、新人に少しでも気持ちの張りを持たせてやろうという親心である。
夢中に練習する新人はまだいい。一軍経験のある若手でハワイ行きメンバーから漏れた選手を、どう奮い立たせるかも、二軍首脳陣の仕事だ。一昨年の日本シリーズで目を見張る好走塁を見せた大塚外野手に、黒江二軍監督はトシをたずねた。「二十六歳? オレがレギュラーになったのは二十八歳だ」。
もっと気を使うのは、二軍キャンプで一年のスタートを切るハメになった三十男たちの扱いだ。一軍経験の豊富な吉竹(33)、安部(31)、清水(30)の残留は、現在のチーム内での戦力としての重みを思い知らされたようなものだ。一軍の練習をより効率的に運ぶための措置とはいえ、プロの世界の残酷な一面を見る思いがする。
救いは三人とも投げやりにならず、若手に悪影響を及ぼしていないことだ。同じ年格好の選手でも、残留させたらどうなるかと思われる選手は何人かいる。だが、二軍へ落とされて大荒れしないような選手は、復原力も乏しいと言えぬでもない。三人は妙に物分かりのいい兄貴にならず、練習でも精いっぱい自己主張をしてほしいものだ。
西武の残留組は今月七日、高知・春野へ移動した。その直前の五、六の両日はファンサービスの「カメラデー」だった。カメラ持参のファンを練習の区切りのいいところでグラウンドに入れて、選手と一緒に収まるチャンスを提供した。ハンサムな選手に人気が集まったが、ハワイ行き“落選”で気落ちしていた選手たちにも勇気のわく交歓風景があちこちで繰り広げられた。
これまでの球界は、ファンサービスにちょっと鈍感だった。練習に集中するのが第一ではあるが、カメラにポーズを取り、サインをするわずかな時間がないわけではあるまい。西武の残留組はポジション争いで一歩後れを取ったが、まずファンサービスでチームに貢献した。巨人・松井もそう割り切って、少しはファンにほほ笑みを……。
道企画振興部経済調査室が七日発表した九一年度道民経済計算推計結果によると、九一年度の道内総生産は名目で十七兆六千三十八億円となった。経済成長率は前年度を一・七ポイント下回る五・二%、実質では一・五ポイント低い一・六%にとどまった。国の成長率よりも名目で〇・二ポイント、実質では二・〇ポイント低く、減速ぶりが顕著に表れた結果となった。
産業別に見ると、漁獲量が落ち込んだ水産業が前年度比四・六%減となったのが響き、第一次産業は一・四%減の九千六百九十九億円。第二次産業は一・七%増の四兆三千三百十億円で、自動車関連など製造業が五・七%の伸びを見せたものの、建設業が二・〇%減と低迷した。
一方、第三次産業はサービス業が一一・九%の高い伸びを見せるなど、七・一%の高い成長率を示した。道内の第三次産業の比率は前年度をさらに一・二ポイント上回って七二・六%となり、工業力向上を図る行政の狙いとは裏腹の結果となった。
道民所得も全国より〇・九ポイント低い三・八%増の十四兆七千七百二十五億円となり、一人当たりの道民所得は国民所得より九・六%低い二百六十一万五千円となった。
道民総支出は、名目で十八兆三千四百九十九億円(四・八%増)、実質では十六兆千七百四十六億円(一・二%増)。民間最終消費支出が〇・一%減、民間住宅投資が一二・七%減と落ち込んだが、公的固定資本形成が四・〇%増えたことなどから総支出はプラスになった。移輸出入別に見ると移輸出が三・三%増の四兆八千四百五十三億円、移輸入は一・三%増の七兆三千二百九十六億円だった。
国鉄清算事業団北海道支社